第120話 第25章 HOME 2 足音
モチオ:「おお、コツ勉猫! 何かあ――」
バシッ!!
背後から忍び寄ったがり勉猫の手により、モチオの口にガムテープが貼られた。
ネコロボ:「あれだけ、普通に接しろってがり勉猫さんが言ってたのに……。警告を無視するからです」
モチオ:「もごもごもごも!!(理不尽ニャ!)」
ネコロボ:「何を言っているのか、さっぱり分かりません。ノイズとして処理します」
2日後の朝。
コツ勉猫は、何事もなかったかのように、キッチンで軽快にフライパンを振っていた。
モチオが、自力でガムテープをベリベリと引き剥がす。
モチオ:「わかったニャ! わかった! 飯が食えんだろうが!! 粘着力が殺人的だぞ!」
モチオは、差し出されたオムライスを必死に頬張る。
そこに、コツ勉猫が音もなく、影のように近づいた。
コツ勉猫:「モチオさん。……これは、何ですの?」
差し出されたのは、一枚のクレジットカードの明細。
モチオ:「もごもごもごもご」
一同:「もうガムテープ貼ってないだろうが!!!」
モチオ:「いやー、毎月5万匹、キャッシングしただけなんだけどねー」
ネコロボ:「そのフレーズ、CMで聞いたことがあります……」
コツ勉猫:「それがダメだと言っているのです!!!」
モチオ:「最大3600万匹ニャ!」
コツ勉猫:「それもCM! それはネコには適応されません!そんな給付金!しかも話に関係ない!」
モチオ:「大丈夫、リボニャ。」
コツ勉猫:「もっとダメでしょうが!! 手数料の鬼!!
怒声が響き、いつもの騒がしい朝が戻ってくる。
昼
モチオ:「あれ? コツ勉猫、買い物は? 気晴らしに毎日行くはずだが…」
コツ勉猫:「え……あ、モチオさん。買い物に行ってきてほしいんですけれど……」
モチオ:「?? いいぞ。研究、忙しいのか?」
コツ勉猫:「そうそう……研究が……。あ、買い物リストはテーブルに置いておきましたから。あと、お駄賃でプリン買ってきていいので」
モチオ:「おい、コツ勉猫! 俺はおっさんネコだぞ! そんなプリンで喜ぶとでも思ってるのかニャ? ……まあ、行ってやるけどよ」
モチオは鼻歌まじりに買い物へ出かける。
魚屋:「あれ? 今日はモチオさんかい」
モチオ:「そうニャ。親父、今日のおすすめは?」
魚屋:「今日はこのカンパチだね! 安くしとくから、買っていきなよ!」
モチオ:「そこのサンマもつけてくれ。出ないとコツ勉猫が怒る。本当はサンマ買ってこいって言われてるからニャ」
魚屋:「しゃーねーなー、わかったよ! コツ勉猫さんは、今日も研究かい?」
モチオは「相変わらずだニャ」と頷き、袋を下げて家路につく。
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夕食
がり勉猫:「カンパチの刺身……豪華ですね……」
モチタ:「おいしい!!」
モチクロ:「うまい! うまい!!!」
コツ勉猫:「もう、モチオさんは私の買い物を無視してカンパチなんて買ってきて!」
モチオ:「違うニャ、サンマを買ったらカンパチ1匹ついてきたニャ」
ネコロボ:「サンマが3000円で、カンパチがタダですか……。計算が合いませんね」
コツ勉猫:「そんなわけないでしょ! ……でもまあ、カンパチもだいぶ安く買えているみたいだから、いいけれどね」
モチオ:「魚屋の親父、ネコ好きだからニャ。お気に入りのミミを連れて行ったからニャ。ミミなんて、金も払わずにタイの切り身をもらってた……。ずるいニャ」
モチオは満足げに刺身を口に運ぶ。
モチオ:「ところでさ……コツ勉猫」
コツ勉猫:「……何?」
モチオ:「魚屋の親父から聞いたんだけどよ……」
コツ勉猫:「……何?」
モチオ:「お前のことを探している人がいるってさ。商店街で聞き回ってるらしいぞ」
コツ勉猫:「え……?」
その瞬間。
コツ勉猫の手から箸が滑り落ち、卓上で乾いた音を立てた。
彼女の動きは、彫像のように凍りついた。




