第118話 第24章 傷のある宝石たち 完 4 正義の代償
「なんで! 今年は運動会に大型テントを張らないんですか! 熱中症対策は!」
「なんで! 先生は飛行機ってやってくれないんですか! 家で娘がねだってきて困ってます!」
「なんで! お庭でヒーローごっこの悪者になってくれないんですか! 幼稚園が退屈だと言ってます!」
「はあ??なんで! プールの時間は大幅短縮なんでしょうか!!みんな楽しみにしているのに!」
校長室には、保護者たちの抗議の嵐が吹き荒れていた。
”前学期まではやってくれてましたよ!!!”
我慢に我慢をしていた校長が
とうとうキレた。
校長「あなたたちが、大事なトシロウ先生を追い出したからでしょ!! うちにはもう男の先生はいません! 幼稚園に男性職員はとても貴重な存在なのです! せっかく何度も何度もスカウトして、やっとトシロウ先生が来てくれたんです! 」
校長「それをあなたたちは……子供のおむつ交換の時の目がいやらしいだの! 教師と不倫してるだの! あることないこと言って トシロウ先生を追い出したのはあなた達でしょう! しかも 子供の前でも言ってるでしょ!! トシロウ先生は、自分は何を言われてもいいけど、子供たちに影響が出ている事を察知して、幼稚園を去ったのです!」
校長は、机に一冊のノートを叩きつけた。
校長「モチオさんが貴方たちの家に来たでしょ! あの情報! 全部これ! トシロウさんが子供たちから聞いた情報です!!! トシロウ先生は全力で子供たちに向き合ってくれたのです! あんな先生 何処を探してもいません!」
……黙り込む保護者たち。
保護者1:「じゃあ……戻ってきてもらうっていうのは?」
「そうよ、そうよ」と調子のいい声が上がる。
校長:「行ったり来たり……人の人生をあなたたちはどう考えてるんですか!トシロウ先生はもう、幼稚園の先生はやめるらしいです! イベントを今まで通りやれですって? ならイベントは保護者全員参加! 必須! お話は以上です!!!」
校長はこれ以上の会話は不要との威嚇に圧倒され、校長室を後にする
保護者達。
校長は保護者を出口まで送り、バタン! と扉を強く閉める、、
そして校長は電話をかける、今日でもう何回目だろうか、、、、
校長「もしもし トシロウ先生? やっと出てくれた、、、」
その頃、
事務所ではネコロボがコトミを抱えて「飛行機」をしていた。
コツ勉猫:「コトミちゃんも、トシロウ先生がいなくなってつまらないと言っていますね。校長先生は実は、何度も何度も幼稚園に戻ってきてほしいと頼んでいるようですが、トシロウ先生、意思が強く、もう戻る気はないって」
がり勉猫:「でしょうね。トシロウ先生は幼稚園児ではなく、保護者に振り回されてましたから。子供好きの彼でも、大人のお世話はもう勘弁でしょう、、、」
ネコロボはコトミを抱えたまま言った。
「あの、幼稚園から運動会のお手伝いのオファーが来てますが、どうしましょうか」
がり勉猫:「保護者が行けばいいと思いますね、校長先生の意見に賛成です。あ、私はその日は実験があるので無理です。断っておいてください」
コツ勉猫:「私も……。あ、モチオさんは聞くまでもないか……」
ネコロボ:「了解」
都会のビル街。
リクルートスーツに身を包んだトシロウは、就職活動の面接会場に向かっていた。
「誰か! 誰か!!! 助けてください! お願いします!」
路上で女性が倒れている。連れ添いの女性が必死に叫んでいた。
「誰か! 心臓マッサージ、人工呼吸できる方いませんか! 誰か!!! お願いします!!誰か!!!!」
悲痛な叫び。
だが、大都会の孤島の中では、弱者の声は誰も聞こえない、いや、聞こうともしない。
そう、足を止める者は誰もいない。
そんな中
トシロウは、一瞬だけ息が止まり、足を止め、倒れている女性を見た。
そして、
トシロウは——。
前だけを見て、走り出し
面接会場へと向かった。
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表層の正義に振り回され
深層の正義が葬られていく
でも表層には事実悪魔がいる
僕たちはいつになれば
深層への疑いの目をやめられる日が来るのだろうか。
第24章 傷のある宝石たち 完
次回より 1日1話更新に戻ります 16:50分更新で続けるニャ。
宜しくニャ。




