第113話 第23章 善意と善意 4 コンプラ最優先
モチオ相談所の公式HPには、過去の騒動に対する「精査された釈明映像」が次々とアップロードされた。
【映像1:コツ勉猫の体調不良について】
台所でえずくコツ勉猫の映像。
「このような下衆な依頼は、ネコであっても彼女はまだ10代です、お控えください。決してミユキさんの依頼を喜んで受けたわけではございません」
【映像2:公園での給餌活動について】
「こちらは公園奥地の私有地です。保護ネコ活動の一環として市からも正式に許可を得た食事提供であり、不法な餌やりではございません」
【映像3:音響実験の正当性について】
「本件は深夜ではなく午後7時の実施です。騒音値は40dBと適正範囲内でした。一方で、苦情主である近隣男性は午前3時まで60dBの騒音を伴う宴会を行っており、本件との因果関係は皆無です」
【映像4:教育への不干渉について】
「塾を拒否する児童を友人が引き留める行為は、極めて自然な児童心理です。家庭教育の不備を当事務所に転嫁するのは、しつけの放棄と言わざるを得ません」
【映像5:モチオという個体について】
「このネコは馬鹿です。当研究所とは一切関係ありません。ちなみに家賃を4ヶ月滞納しています」
モチオ「馬鹿って何ニャ!! しかも速攻でトカゲのしっぽ切りかよ! 家賃滞納は公表しなくていいだろうが!!」
モチオはキレた。
「ああそうか!じゃー俺もニャ!!! 世の中コンプラか! なら俺もコンプラ全振りで行ってやるニャ!!!」
モチオはスーパーへ出かけた。
*スーパーとは一般的なスーパーマーケットを指し、特定のスーパーを揶揄するものではありません。さらに一般的なスーパーとは従業員数、敷地面積、陳列商品数の総合判断による作者の独自表現であり、登記簿を確認しスーパーマーケットであると断定したものではございません。さらに「出かけた」という行為は家を出発しスーパーへ到着するまでの一連の移動を指すものであり、出口付近でさまよっている様子を指すものではございません。曖昧な表現を用いたことを心より謝罪申し上げます。
そこでモチオはお遣いのコーヒーを探すためにコーヒーコーナーへ踏み出す。
*お遣いとは頼まれただけであり、暴力的な強要を示唆するものではございません。なお「コーナー」とは角ではなく、そこに陳列されている商品の一般名称分類であり、コーヒーコーナーのない店舗を差別する意図は全くございません。さらに「踏み出す」とは何か特定の物体を踏んで取り出すという物理攻撃ではなく、一般的な歩行開始を指すものであり、歩行においても決して足を「出し切って」いるわけではございません。さらに「歩く」とは時速4kmほどを想定した一般的な移動速度ですが、個人の主観によっては「走っている」と誤認される場合がございます。しかしこれは小説上の演出であり、あくまで歩行とご解釈いただければ幸いです。なお「コーヒー」におきましても一般名称を指すものであり、特定のメーカーを宣伝、あるいはコーヒー以外の飲料を否定し、印象操作する意図は一切ございません。
特売をしており、安かったので、モチオは頼まれたコーヒーを2パック取った。
*取ったという行為においては、カゴに入れたという表現であり、窃盗を試みたという行為ではございません。また窃盗をコツ勉猫は指示はしておりません。特売においてはそのスーパーにおける価格と比較した場合、いつもより値段が安いというモチオの主観であり、別のスーパーが高いという社会批判ではございません、また安いという表現ににおいてもモチオが感じる主観であり、実際にコーヒーが安価かどうかにつきましては各種メーカーへお問い合わせください。さらに安価だから2パック購入したというものはモチオの買い物感覚であり、決して安い場合は2パックを購入せよという印象操作ではございません。さらにコツ勉猫は1パックでよかったかもしれないのに2パック買うことは物語上の問題としてとらえられた場合、その点はモチオとコツ勉猫の関係性を鑑みて大きな問題になる可能性は極めて低いと考えられます。さらに買い物を頼まれれば行かないとならないという印象操作ではございませんので各ご家庭でよく相談の上、決定してください。
そして帰ってきた。
*「帰った」という行為においては、レジに整列したのち、会計を済ませそのまま帰宅するという一連の法的手続きを遵守した行為であり、会計を済ませぬ窃盗行為は一切含まれておりません。また「帰った」という行為は現時点での住所登録先への帰還と解釈されるべきであり、本文にて訂正いたします。帰り道においては道路交通法を厳守し、信号無視等の違法行為は皆無です。「そして」という接続詞がコーヒーのみを携えて帰宅したとの誤解を与える可能性は作者独自の表現であり、寄り道の自由を束縛する意図もございません。さらに「帰ってきた」地点が玄関かリビングか、あるいは受渡完了かについては物語上の演出であり、特定の住宅レイアウトや玄関のタイルの模様、システムキッチンの推奨を示唆するものではございません。なお、主人公モチオは特別な訓練を受けた個体であり、買い物は虐待に該当しません。衛生面においても行政指導に基づき、ネコ通過後の清掃を徹底しております。皆様におかれましては、今後もスーパーでのお買い物をお楽しみください。
ネコロボ「モチオさん……すごい汗……。温度が上昇していますよ」
モチオ「ああ……。なんでこんなに死ぬほど疲れるんだニャ……」
買い物袋を落とし、魂が抜けたように座り込むモチオ。
がり勉猫「そもそもですね。なぜネコが喋るのか、なぜネコが買い物に行くのか、という根本的な存在定義に対する注釈が抜けています。」
モチオ「……え? ……じゃあ、もう一回、定義しに行ってくるニャ」
一同+作者「もうやめてええええええ!!!!!!!!」
結局、この回、モチオがただコーヒーを買いに行っただけで終わった。




