表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
110/126

第110話 第23章 善意と善意   1  クレーム

「きゃーーーーー! ゴキブリ!!!!!」


依頼者「早く殺してよ! そのために依頼したんだから!!!」


モチオは依頼者のマンションの中で立ちすくむ。


モチオ「何を言ってる。ゴキブリ様はお前より何億年前からの先住民様だ。お前らが勝手に住み着いて、ゴキブリ様も迷惑してるニャ」


依頼者「私達が買ったマンションなの!」


モチオ「誰からだ? 所詮人間だろう。その不動産屋はまさか、哺乳類→爬虫類→ゴキブリ様から家を買ったのか? 違うだろう。嫌ならお前が出ていけ。ネコロボ行くぞ……。くだらねー依頼だ、二度と電話かけてくるな!」


モチオは背を向けて去っていく。



帰りの公園では……。


モチクロが近所のおばさんに怒鳴られていた。


おばさん「あなたネ! 野良猫に餌やりして!」


モチクロ「違うよ! これは友達で……」


おばさん「うるさい! 迷惑でしょうが! 勝手に!」


そこに、モチオが割り込む。


モチオ「おい、ババア。勝手に説教していいって誰が決めた」


おばさん「私は注意を!」


モチオ「日本語通じないか? 勝手に注意していいって権利はあるか? モチクロは勝手に餌をあげた? つまり許可がいるんだろう。で、お前は勝手に注意している。誰の許可を取った?」


おばさん「あ、こいつ! 屁理屈で有名な猫だわ!」


モチオ「お前は不細工ヒステリーで有名だけどな」


おばさん「誰がそんな事言ってたのよ!」


モチオ「俺だ」


おばさん「勝手に決めつけないで!」


モチオ「勝手に決めつけるなって勝手に言うな。許可を取れ!」


さらに家の前では、別のおじさんが怒鳴り散らしていた。


平謝りするコツ勉猫とがり勉猫。


おじさん「うるさい!! 近所迷惑だ!」


コツ勉猫「申し訳ありません……」


どうやら研究に対する否定的な意見も根強いようだ。


モチオが再び割り込む。


モチオ「おい、おっさん。今の声、うるさい!」


おじさん「私は注意してただけだ!」


モチオ「こっちは実験してただけだ!」


おじさん「こっちは迷惑なんだ!」


モチオ「俺は、お前の声に今迷惑している」


おじさん「ネコのくせに人間に逆らうな!」


モチオ「人間のくせにネコに逆らうな!」


おじさん「人間はな! ネコより賢いんだ! お前ら、警察に言うからな!」


モチオ「わかった。だったら警察に行け。こっちに来るな。最初からネコでもそれぐらいわかるぞ。お前は馬鹿か?」


おじさん「テメーら、覚えとけよ!」


モチオ「お前の命令に聞く義務はない。2秒で忘れる。うせろ」


バババババン!!


ママ「モチタさんでしょ!! マサキちゃんに嘘つかせて塾サボらせて、ゲームしようって誘ったのは、この汚いネコ!!」


モチオ「まあ、あいつもきれいじゃない。それは認める。で、何が悪い? 本人がサボりたいと言ったからだニャ。お前も顔中細菌だらけだぞ! 顕微鏡で見ろ!」


ママ「嘘つかせるなんてサイテー!!!!」


モチオ「お前、ぶっ細工だニャ。どう見ても無理。無理ゲーだ」


ママ「何言ってるのよ!!!!!!!」


モチオ「嘘がいけないんだろう? 俺は正直者だ。お前は不細工だしヒステリーだし、子供の気持ちも何にも考えてないな。ドアを叩くなんて異常だニャ」


ママ「あなたにそんなこと言われる筋合いないわ!」


モチオ「また公園ババアと同じ種族か……。そもそも、お前にそんなこと言われる筋合いはないし、ドアを叩く筋合いもない。まず、その『筋合い』を持ってこい。話はそれからだ」


ママ「この害虫が!!!」


モチオ「害虫ってのは、人間にとって不都合なだけだ。地球全体で見れば役に立ってる。お前とは違ってな。お前は地球の何の役にも立たない、有害にも無害にもなれないただの有機物だニャ」


ママ「な、何よ地球って!!」


モチオ「今お前が住んでるところだ。お前はまさか冥王星にでもいるつもりか?」


ママ「何よこの屁理屈ネコ!!!」


モチオ「お前のは理屈にもなってないから『屁』だな。単なる『屁』。くせーーーニャ」


ママ「あなた、このままで済むと思わないでくださいね!!!」


モチオ「いいや、このままで済む。思想弾圧か? 人権ってのはどこに行った。おい、200年前の日本にタイムスリップしたつもりか?」


バタン!! 激しくドアが閉まる音がした。


嵐が去った後、研究所の仲間が集まってくる。


がり勉猫「モチオさん、ありがとう」


コツ勉猫「モチオさん、助かりましたー」


モチタ「サンキュー、モチオ!」


モチクロ「モチオ、助かったよ。マジで」


モチオ「?????」


わけがわからぬまま席につくと、コツ勉猫がオムライスを運んできた。


そしてモチオにだけ、そっと耳打ちする。


コツ勉猫「モチオさんのだけ、ウインナー増やしておいたからね♡」


モチオ「????」


一方、隣の席ではモチクロがオムライスの中のウインナーを必死に探している。


モチタもオムライスをひっくり返して中身を確認していた。


モチオ「おお、モチクロ、モチタ。なぜか俺のにはウインナーがいっぱい入ってるニャ。ちょっと分けてやるニャ」


「「わーーーい!!」」


モチオ「コツ勉猫も失敗するんだな……。中身の量がバラバラだぞ」


がり勉猫、コツ勉猫、ネコロボは、そんなモチオを優しい眼差しで見つめている。


モチオ「??????」


がり勉猫「いえ、何でもありませんよ」


コツ勉猫「ふふふ……」


ネコロボ「私もウインナーください。ビビビ」


モチオ「ネコロボ、お前食えねーだろうが!!」


はははははは。


笑いが部屋を包む。それは、外で誰が何を言おうと、ここだけは決して変わることのない、いつもの光景であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ