第48章 オリビアは人を運ぶモノラックに替えます。 そういえば農業用でなくて人輸送用のモノラックも乗ったかも。
第48章 オリビアは人を運ぶモノラックに替えます
翌朝、オリビアは起きて支度を済ませ、しらかば亭で朝ご飯を食べました。冒険者ギルドへ行く前に、先に馬車と馬の管理施設の横へ向かいます。
「昨日の車両は、いったん収納」
果物用のコンテナを使ったモノラック車両だけを収納し、山頂まで続くレールは残しました。
昨夜見つけた人員輸送用の4両編成を選んで召喚します。
現れた4両は、最初からきれいにレールへ載っていました。車輪の位置が合っているだけでなく、ラックも正しく噛み合い、レールから外れないためのガードまできちんと通っています。
「これ、上からそのまま載せられない形ですよね」
ガードは、車両を上から置くだけではレールの内側へ入らない形です。それなのに、召喚された時点ですでに正しい位置へ収まっていました。
「さすが神様です」
オリビアが顔を上げると、水平部分のレールも昨日より長くなっています。4両全部が収まるところまで延び、その横には単管足場で組まれたホームができていました。階段が付き、ホームにも階段にも柵があります。
「ホームまで鍾乳洞と同じだ。工事現場みたい」
前世で乗った鍾乳洞のものと、車両もホームもそのまま同じです。座席には、昨日の4人乗りにはなかったシートベルトも付いていました。
「4両で16人乗りですね」
オリビアは前の座席へ座り、まず山頂まで試運転することにしました。
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走り始めると、昨日の貨物用車両より2割ほど速くなっています。ギヤ比も変わり、昨日の車両のような非常識な傾斜には対応できなくなりましたが、この線路の最急勾配は30度までです。
「30度までなら大丈夫そう」
4両の連結部の動きも見ながら山頂まで上がります。最急勾配へ入っても走りは安定しています。
山頂へ着くと、こちらも水平部分のレールが4両分へ延び、麓と同じ単管足場のホーム、階段、柵ができていました。
「こっちも同じですね」
車両とホームを見てから、いったん麓へ戻ります。
今度は16人乗ったときの状態も確かめたくなりました。
「あと15人分のバラスト……何かあったかな」
収納の中を探すと、純金の板が大量にあります。
第27章で山上村ダンジョンの探索区域へ入ったとき、オリビアは攻撃してきた矢や魔物などの質量を1000分の1、危険性が大きい場合は100万分の1にする防御魔法を使っていました。質量そのものを減らすと質量欠損によって莫大なエネルギーが発生し、核兵器レベルの危険な現象になります。そのため、質量は全体として減らさず、対象から減らした分と同じ質量を、密度の大きい金として収納へ移しています。第27章では、蜘蛛型の魔物などにこの防御魔法が働き、対象側から金へ移した質量が大量に収納へたまりました。
「これが使えますね」
1枚10kgの金板でも、オリビアの前世の単位なら体積は約0.52Lです。500mLペットボトル1本分ほどの体積です。
空いている15席へ、1席につき10kgの金板を6枚ずつ載せます。1席60kg、15席で合計900kgです。
「行ってみよう」
もう一度山頂へ向けて走らせます。
最急勾配30度では空車のときより少し速度が落ちました。それでも余裕を残して登り、4両の連結部も素直についてきます。
山頂へ着くと、オリビアは車両とホームをぱぱっと点検しました。そのまま15席へ60kgずつ載せた状態で麓まで戻ります。
下まで着いてから、10kgの金板90枚、合計900kgを全部収納へ戻しました。
「便利なバラストですね」
*
それから冒険者ギルドへ行くと、受付のお姉さんがオリビアを見ました。
「あら、今日はいつもより朝ゆっくりね」
「先にモノラックの車両を替えて、試運転していました」
「安全確認に行く人たちが、あと30分ほどしたら出られます。ここで待っていてください」
「分かりました」
オリビアはギルドのバーでジャム入り紅茶とピロシキを買い、待合の席へ持っていきました。朝ご飯は食べてきましたが、そのあとモノラックで山頂まで2往復しています。
ピロシキを食べながらジャム入り紅茶を飲んで待っていると、30分ほどして受付のお姉さんが戻ってきました。後ろにはベラミラ先生とギルド長がいます。




