第47章 オリビアはお祭りの話を聞きます。
第47章 オリビアはお祭りの話を聞きます
受付のお姉さんから確認用の依頼書を受け取ったチャトラ、タマ、ミミは、オリビアと一緒にもう一度山へ戻りました。
「今度は倉庫の扉も見るよ」
「そこだけ見てなかったもんね」
「じゃあ、もう一回行こうか」
馬車と馬の管理施設の横から4人でモノラックに乗り、山頂へ向かいます。さっき往復したばかりですが、チャトラたちは車体が斜面に沿って傾くたび、木々の間から別の景色が見えるたびに、また楽しそうに声を上げました。
山頂へ着くと、3人は依頼書の確認欄を見ながら展望台へ向かいます。
「倉庫の扉、これだね」
「きれいになってる」
「これで全部見たよ」
見ていなかった倉庫扉まで確認して書類へ記入すると、4人はまたモノラックで麓へ下り、そのまま冒険者ギルドへ戻りました。
*
「確認してきました」
チャトラが終了確認書類を受付のお姉さんへ渡しました。最後まで確認してもらうと、今度はオリビアが自分の依頼書を出します。
「これで終わりですか?」
「はい。芝刈りと蜘蛛の巣取り、終了ですね。報酬は3フローリンです」
「ありがとうございます」
オリビアは3フローリンを受け取りました。チャトラたちにも、現地確認の依頼の報酬として5/10フローリンが支払われます。
受付のお姉さんは次の書類を出しました。
「それと、あの山のお祭りが明後日からなんです」
「お祭り?」
「はい。その前に展望台と広場を整えておきたかったんです。明日は安全確認をします」
受付のお姉さんは祭りの予定を書いた紙を出しました。
「何を確認するんですか?」
「チャトラさんたちから、山を上り下りする面白い乗り物ができたって聞いたんです。問題なく人を乗せられるなら、お祭りのときにも使わせてもらえませんか?」
「モノラックですね。大丈夫ですよ」
受付のお姉さんは、紙に書かれた式の場所を指しました。
「昔は山頂の展望台の近くで式をしていたそうなんです。でも、毎年来られる来賓のお二人がご高齢になって、最近は麓の馬車の駐車場で式をしています」
オリビアにも、何を頼みたいのか分かりました。
「お二人をモノラックで山頂まで運ぶんですね」
「はい。それができれば、今年は山頂で式をしたいんです。それ以外の時間は、乗ってみたい人を有料で運んでもらえたらと思っています」
チャトラがすぐに笑いました。
「乗る人、絶対いるよ」
「私たち、今日だけで何回乗ったっけ」
「まだ乗りたいし」
受付のお姉さんも笑いました。
「では、明日こちらでも確認しますね」
「分かりました」
*
チャトラたちと別れたあと、オリビアはしらかば亭へ戻りました。
夕食のときに山の祭りの話をすると、カメリアさんが言いました。
「うちも毎年、山頂に店を出してるよ」
「山頂までお店を持っていくんですか?」
「売り台も商品も持っていくよ。デイジーとアカシアが上で売って、デンゼルとアルガーが運ぶんだ」
デイジーさんの夫のデンゼルと、アカシアさんの夫のアルガーは、最初の荷物を山頂へ運んだあとも、商品が減れば補充のために何度か山を往復します。
「今年は、祭りで売る分を全部まとめておいてください」
「全部?」
「はい。私の収納に入れて、一度で山頂まで持っていきます」
デイジーさんが顔を上げました。
「じゃあ、途中で補充しなくていいの?」
「最初に全部上へ持っていけば大丈夫ですよ」
「それは助かるわ」
デンゼルも笑います。
「今年は何往復もしなくて済むな」
「売り台も一緒にお願いします」
「はい。まとめて持っていきます」
祭りの日に使う売り台と商品は、朝にオリビアがまとめて山頂へ運ぶことになりました。
*
夕食後、自分の部屋へ戻ったオリビアは、ベッドに腰を下ろして翌日のことを考えました。
「お祭りなら、コンテナ用の貨物車両より座席の多い車両の方がいいよね」
今の車両は果物用のコンテナを使った4人乗りです。来賓のお二人を運ぶだけなら足りますが、一般の人も乗るなら座席は多い方が使いやすくなります。
ふと思って、召喚できる乗り物の一覧を開きました。よくあるステータス画面のような半透明の表示に、オリビアが実際に利用したことのある乗り物が並びます。
「モノラック……」
探していくと、見覚えのある4両編成が出てきました。
「あ、これ乗った」
前世で鍾乳洞へ行ったとき、駐車場と入口の間で人を運んでいた座席付きのモノラックです。4両編成で、今山に出しているものと同じメーカーでした。レールの規格も共通です。
「明日の朝、これに替えよう」
そう思って横になり、もう少し明日のことを考えるつもりでした。
そのまま寝落ちしました。




