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マンション型ダンジョンの101号室で特大のガバをかましたら、次の部屋が133号室だった  作者: 葦原エイ


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9/10

9話目 手ごわいギャンブラー

 ネクストゲームでは僕が勝ち、“次の部屋は156です”の光をまた浴びる。いやあ、うまく回ってるときは淡々と続行だね。


 しかし、そうは問屋がおろさないらしい。


「お兄さん」


 アガベのリザーブしていた宝石を補充しにきた受付の女性が、ニコリとほほえんだ。


「同じ精霊相手だと、単調でしょう? 私と勝負しましょうか」


 僕が返事する前に、受付は周りを見た。


「みんなも、見たいよね!?」

「見たい!」

「ルミノと初めてのお客さんの対決、見たーい!」

「負けナシだもんね、ルミノは!」


 えっ……、無敗だって?



L:カジノでVIPルームに通されたかな、ポン吉?



「そんないいものじゃないよ」


 やれやれ、ヨソモノがカジノを荒らしてるから、凄腕のディーラーがつけられた感じか。だとすると、断ったら出禁って流れだろう。


「タクロー、チェックを頼むね」

「承知シマシタ」


 ため息をついた僕が、ルミノと呼ばれた受付にうなずくと、周りの精霊はさらに盛り上がった。


「お兄さんには、賭け金の4倍をバックします。ただし、お持ちの宝石はすべて賭けていただきます」

「1回勝負か。僕が山を作るならOKだよ」

「分かりました。では、お願いします」


 少し考えて、僕は山を作った。


「これに託すよ。【4、8、12】の山だ」

「――へえ」


 山のカウントを終えたルミノが、感心した素振りを見せる。12の山をぐるぐると混ぜた後、1つ取った。


「では私は、慎重にスタートしますね」

「じゃあ、僕も慎重に。4の山を1つ取るかな。【3、8、11】だ」

「再び私ですか」


 ルミノはネコの手を作ったまま、11の山をグルグルかき混ぜ、4つの宝石を取った。


「ふむ、じゃあ僕もいっぱい取ろう」


 8の山から4つ取る。【3、4、7】だ。


「――お兄さん、強いです」

「君もね、ルミノ」


 出来るだけ誤魔化したかったけど、まぐれで取れる個数じゃないからな。必勝法を知ってることはバレたか。


 そして、ルミノが山へと手を伸ばしたとき。



 ブーッ! ブーッ!



 突然のアラーム音。

 みんながうろたえるなか、僕はルミノの手をガッチリつかんだ。


「ルミノ。――そこのタクローはね、悪い所を(・・・・)感知(・・)できるんだ」

「!」

「君は、体調が(・・・)悪い(・・)のかな?」

「ううっ……」

「一度、手を下げるといい。手を開いて、落ち着くんだ。そのあと、手を広げて(・・・・・)再開するといいよ」

「あっ……!」


 僕がやんわりと押し返した手を、ルミノはおずおずとテーブルの下に置いた。その後、再度ネコの手を作って山へと手を伸ばすが、宝石は(・・・)隠し(・・)持たれて(・・・・)いない(・・・)ので、タクローはアラームを鳴らさない。


「――ふふっ、ダメですね」


 ルミノは頭を振り、しっかりと手を開いて山に手を伸ばした。もちろん僕は最善の応手をして、ルミノに最後の1個を渡す。


「参りました。完敗です」


 ルミノが深々とお辞儀すると、僕らは天井から光で照らされた。ギャラリーは熱狂の渦に包まれる。


「ポン吉~! あたし信じてたよ~!」

「スゥは、さっきヘタクソって言ってなかった?」

「ごめーん、あたし記憶喪失だから」

「忘却をネタとして使うなよ……」

「お客様」


 ルミノが席を立った。


「宝石のお支払いと、景品交換をいたしますね」


 ◆


「お客様は30個をお持ちでした。それを賭けて4倍バックのため、現在120個です」


 僕は、受付後ろの棚を見上げた。


「ふむ。100個の景品なら届くね。狼人になれるオーブとか」

「ポン吉~、悪魔の羽と尻尾が宝石100個だって! あれ、格好いいよ!」

「そうかなあ」


 僕も一瞬目には留まったが、貧相な悪魔ばかり見ていたため、微妙だったりする。

 するとルミノが、申し訳なさそうな顔をした。


「実は、その悪魔の装備ですが……実用的ではないのです」

「おや。なんでかな?」

「悪い心が強くないと上手く飛べないようでして。当カジノでも、長いこと残っているのです」

「なるほど」

「別の物を選ばれますか?」


 僕は少し考えたのち、首を横に振った。


「いや、これにするよ」

「え?」

「正直に教えてくれたからね」


 ルミノが目を丸くする。


「なぜ……?」

「君は、隠して交換も出来たはずだ。でも、ちゃんと知らせてくれた。だから信用できる」

「――ありがとうございます」


 ルミノは、せめてもの配慮ということだろう、詳しい使い方も教えてくれた。


 僕らはその後、残り分で精霊用のドリンク薬とも交換し、悪魔の羽と尻尾ともども受け取る。


 その瞬間、光に照らされた。


「やった~、特殊クリア!」

「ヤリマシタ、“次ノ部屋ハ157”ト出マシタヨ」


 受付の看板に、新しい文字が浮かび上がった。



――――――――――――――――――――


 154 カジノ


・宝石を賭けた勝負で勝つ。

・景品と交換する。


――――――――――――――――――――



「やったね、ポン吉~!」

「ああ、これでキマイラは回避だ」


 僕らはファイブタッチした。

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