10話目 閉じた世界
ワープまでは時間があったため、僕らはカジノで宝石を賭けずに遊んでいた。
――主に、スゥが。
「もう一回!」
ぽーい。
「こ、今度はいける!」
ぽーい。――パタンッ。
「やったー!」
「おー、ついに」
空箱に当てた直後、視界がぐにゃりとゆがむ。
「おっと、時間か」
「みんな~、じゃあね~!」
ぶんぶんとみんなに手を振るスゥ。精霊たちも振り返してくれる。
慌ただしくお別れした次の地は、鬱蒼と生い茂る森の中だった。風はずっと一方向から来るのか、微妙に木々が傾いている。
「ポン吉~、看板あったよー」
「おー。スゥも発見がうまくなってきたねえ」
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157 絶海の孤島
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「よし、157だった……けど、サバイバルとかじゃないよね?」
「ねえねえ、ポン吉? なんかあたし、変わったトコなーい?」
「え」
スゥがイメチェン? しきりに指で差してるけど……あっ!
「左手が骸骨じゃない!」
「せいか~い! フフーン、なんかあたし、この部屋に来てから調子いいんだー」
「それは……ドリンクを飲んだからかもねえ」
さっきのカジノで、ルミノがお勧めしてくれたのが精霊ドリンクだった。鉱山に戻るとエネルギーがみなぎると言ってたから、「部屋を移動すると効果発揮」と予想していたけれど、どうやら正解だったらしい。
L:ああああああああ!
L:す……スゥ!
「お、Lも気付いたみたいだね」
L:いや、スゥ、お前そんな顔だったのか……!
L:そうか……
L:そうだったのか……(泣
「うん? Lのテンションが、またおかしいなあ」
L:え……?
L:もしかしてポン吉、お前はスゥをずっと、この少女の姿で見てたのか?
「そうだよ。左手だけ骨だったけど、今はそれも肉体がある」
L:そうか……
L:えっとなぁ、俺たちからは、「スケルトン」だった
L:マジに骸骨の姿だったんだよ、見えてたのが
「え」
つまり僕は、子供の骸骨とお喋りしてた構図か。
L:骨を肩車したり骨を抱えたり、よくそんな絡みができるなあと感心してた
「おい」
そんなこと思ってたのかい。
L:だが……、こんな可愛いレディの姿として見えてるなら納得だ
L:ポン吉、お前の旅に必要な精霊だ、大事にするんだぞ
「う、うん」
――あれ、もっと皮肉を言うかと思ったけど、わりにあっさりだった。Lは骸骨姿を長く見てたって言うから、生前の姿みたいに映ってるのかな?
「グワッハハハハー!」
突然の野太い声に、慌てて辺りを見回す。
「ポン吉! 上!」
スゥの指差した空を見上げると、全身真っ赤な悪魔がタクローを握っていた。
「バカめ! このイフリート様がいるのに、偵察が出来るわけなかろう!」
シュボッ!
握ったタクローが炎に包まれる。
「きゃあ!」
「タクロー!」
燃え盛るタクローがこっちに投げられた。慌てて軍手をはめ、Tシールドの中に回収する。
「自己、スキャン……シバラク、安静ニシテイレバ、大丈夫、デス……」
「そ、それは……良かった」
見た目は真っ赤に熱せられてるから、とてもヤバそうだけど。――うわ、タクローの落とされた場所の草が燃えてる。火が点きやすいのか。足でダンダン踏んで消火する。
「コラー! なんでタクローを焼くのよー!」
「グワッハハハー! なんだ、お前も精霊か!? 好き勝手に生きるのが精霊だろうが!」
「ううぅ~っ……。あんたなんか、《透明》になって後ろから刺してやるもんね!」
「グワッハハハー! 身を隠すしか使いようのない、チンケな特技だな! 無力さを思い知るがいい!」
真っ赤な精霊は飛び去っていった。
L:イフリートか。本来、火に限ったわけじゃないそうだが
「あー。でも、この島なら燃やしてくるよね」
「何のんきなコト言ってるの、ポン吉!? なら、めっちゃヤバイじゃん!」
スゥがイフリートの飛び去った風上を指差すと、そこから火の手が上がった。
「ほらー! 絶体絶命じゃーん!」
タクローが、上空から撮った島をホログラムで見せてくれていた。島は円形に近く、僕らはほぼ真ん中にいるらしい。
「オヨソ、一時間ホドデ……島ノ木ハ、全テ燃エマス……」
「んー、それを避けようとしても、周りは断崖絶壁かあ」
「もうダメじゃ~ん!」
仮に海に飛び込んで九死に一生を得ても、向こうは飛べる。波間に漂う僕らを焼くぐらい、朝飯前だろう。
「でも、希望の火はあるよ」
僕はジッポライターを取り出すと、シュボッと点けた。
「スゥ、君のおかげで出来る作戦だ」
「ほえ?」
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