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マンション型ダンジョンの101号室で特大のガバをかましたら、次の部屋が133号室だった  作者: 葦原エイ


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6/10

6話目 ウナギの怪

 電撃を受けてスゥは吹っ飛ばされた。


「あ、あうぅ……」

「スゥ!」


 慌てて駆け寄り、抱きかかえて走り去る。


「おい、ヌシ! 何で攻撃した!」

「フフン! 電気ウナギたるワシの川へ、大人しく入れば良かったものを! まあよい、お主らはとっくにワシの餌食よ!」

「くっ……」


 タクローが、スゥの全身をスキャンした。


「状態ヲ、チェック中……判明。損傷ハ無イデスガ、ショック状態デス」

「どうすれば治る?」

「安静ニシテイレバ大丈夫デス」


 ふう……、不幸中の幸いだったか。



L:油断したな、ポン吉。悩みの解決でクリアだと早合点しちまったか



「ああ……。会話できるってことは、ウソも言えたんだ」


 全員がタクローとは限らない。

 僕だって、ミーシャ相手にウソをついた。


「今度は、こっちがダマされただけさ」



L:なら、俺たちも遠慮はいらねえな



「うん。そうと決まれば」


 手頃な石をつかんだ僕は、電気ウナギに勢いよく投げた。


 ガツッ!


「むぅ!? おのれ、乾いた者め! 卑怯なり!」

「よく言うよ!」


 どんどん石を探して手当たり次第ブツけていく。しっかり見ると、わずかに電気ウナギの帯電が分かるので、タクローにはヌシのチャージ完了時を教えてもらい、そこをかわす。タクロー自身もTシールドも、電撃との相性は最悪だろうから、止めずに避けるのみだ。


「あんまり、英雄っぽい行為じゃないけどね」



L:バッカお前。投石ってのは、世界で一番売れてる本に書かれた英雄行為だぞ?

L:羊飼いが巨漢倒すシーンとか大人気だよ!



「あー、なら僕らも、向こうの方が大きいからセーフか」


 周りの石は粗方投げ尽くしたので、ちょっと近めに寄る。電気ウナギはもうフラフラだ。


「お、お主……」

「なんだ!?」

「――川に、入ってこい」

「誰が入るか!」


 そりゃあ今後は、川に入ってクリアする人も出るんだろうけどさ。

 それは今じゃないし、僕でもない。


 思いきり投げた最後の石が致命傷になったらしく、巨大電気ウナギは唸りながら消滅した。


 直後、空から光が差し込んでくる。


「ヤリマシタ。“次ノ部屋ハ153”ト出マシタヨ」

「ふぅ……。危ない所だったね」



――――――――――――――――――――


 152 川のヌシ


・川のヌシを倒す。



――――――――――――――――――――



L:お? この部屋、これで終わりか

L:なんか、ちっこい電車の先に針がついてて、風船どけるゲームみたいだったな



「ユルい見方だねぇ、L。実は全滅の大ピンチだったんだけど」


 僕はスゥをなでた。


「よく留まってくれたね、スゥ」

「えへへ……」


 ショックから目覚めた功労者は、さっと手を出した。


「ごほうび、ちょうだい?」


 ――本っ当に、現金だなあ。


 僕が苦笑しながらカロリーメイトを一本渡すと、満足げにポリポリ食べ始めるのだった。


「あ、でもね」


 食べる手を止めるスゥ。


「あたしが川から戻ろうとしたのは、ウナギの電気に気付いたわけじゃなくて。昔、川でイヤなことがあった気がしたの」


 骨の左手で自分を指すスゥ。


「ほら。あたしだって、なんとなくは分かるもん。ポン吉は、こんな感じで骨がむきだしじゃないでしょ?」

「スゥ……」

「今のあたしは、上級精霊だけど。それってきっと、人として死んじゃったあと、こうなったのよ」



L:フーム……、過去が断片的に蘇るようだな

L:全体の記憶がないのは、壮絶な死に方をしたことによる自己防衛機能ってトコか?



「もしくは、シンプルに『転生したから』でいいかもね」


 転生前の記憶を持ってる人は稀っていうし。


「ともあれ、スゥはスゥだよ」


 僕は、レインコートのフードごしにそっと撫でた。


「これから、楽しい思い出をいっぱい作ればいいのさ」

「マスター・ポン吉ノ言ウ通リデス」

「えへへ……。ポン吉、タクロー、ありがとう」



L:――あれ? 俺への礼は?



「え~? Lって、なんかお礼言うようなことしたっけ?」



L:待てコラ、記憶の考察をしただろ?



「それ、メンドイ話だったから、いいよ」



L:ぐはあ! こ、この骸骨少女め……!

L:21世紀にもなって、電撃食らうガイコツの絵面を拝ませるとはな! 骨身にしみるぜ!



 何を言ってるんだか。


 体が透けてきた。153へのワープが始まったらしい。


「じゃあ、L。次の部屋でまたすぐ会えるね」



L:おう! 視聴者への呼びかけをしといたからな。今度は倍ぐらいになるぜ!



「さすがに頭打ちでしょ? でもまあ、ありがとう」


 そして僕らはワープし、ほんのりと明るい鍾乳洞に来た。


 やれやれ、そんな劇的に変わるわきゃないよ……と思いつつ、気にはなるのが、底辺根性の抜けない悲しさか。


 苦笑しながら、たいして変化のないであろう同接数を確認した。


「――え?」








 200万人。








「ええーっ!?」


 1分で100万人増えるの!?

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