第五章 真実の地、富士山へ 55話【龍の咆哮、熱き刃の決着】
土方たちが左のドラゴンを巧みに足止めする中、葵は右のドラゴンの懐を駆け抜けた。巨大な翼の付け根に飛びつき、必死に爪を立てる。
「振り落とされるなよ!」
近藤の叱咤が、鼓膜を震わせる。葵は己の身体をさらに高く引き上げ、背中へと駆け上がった。翼の付け根、まさにその一点を見据え、葵は全霊を込めて刀を突き立てた。
その瞬間、刀身に宿る「龍の核」が、かつての同胞の熱に応えるように脈動する。
「……俺が戦ったドラゴンは、こんな脆い命じゃなかったぞ!」
葵の叫びに呼応し、刀からあふれ出したのは、高出力に圧縮された極限の炎の刃だった。鋼をも溶かす高熱が付け根を焼き切り、ドラゴンの翼が空中で断ち切られる。
翼を失ったドラゴンが身をよじって後方へ飛び上がった。葵はその反動で空高く放り出されたが、地面に着地するより早く、強靭な腕が葵を空中で受け止めた。
「……良い攻撃だ」
近藤は葵を地に下ろすと、労うようにその頭を撫でた。その眼光は、獲物を前にした猛獣のように鋭い。
「畳み掛けるぞ!」
近藤の号令は、迷いのない絶対の命令だった。
翼を失い、地に伏したドラゴンへと、二人は同時に突進する。葵の刀にはまだ余熱が残り、近藤の大剣には砕いた地面の岩片すらも纏っている。
地底のコロシアムで、新選組の刃が再び一つになる。逃げ場を失った怪物の命運は、今、二人の猛攻によって決しようとしていた。




