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紅蓮の絆 —果てなき戦記—  作者: 縷禾
第五章 真実の地、富士山へ
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第五章 真実の地、富士山へ 52話【罪深き記憶、浄化の炎】

エレベーターが地底深く、富士の最奥へと到達した。

重厚な白い扉が音もなく滑り開き、隊士たちの目の前に現れたのは、言語を絶する光景だった。


広大な通路の左右には、無数の強化ガラスのポッドが列をなしている。その中には、異形の化け物たちが蠢いていた。まだ人間としての面影を残したまま変異の苦痛に喘ぐ者、すでに人知を超えた怪物へと成り果てた者。それが軍の行ってきた「実験」の正体であった。


「これは……ひどい、ひどすぎる」


近藤を先頭に、土方が殿を務める陣形で歩を進める隊士たちは、皆一様に言葉を失う。ただの兵器開発ではない。これは、尊厳を奪われた人々の墓標だった。


「原田、証拠はとったか」


近藤の問いかけに、原田左之助は苦渋に満ちた表情でカメラを下ろした。その手は震えていたが、瞳には確かな怒りの炎が宿っている。


「……送信済みです。山南さんにも、すべての惨状が伝わっています」


遠く離れた指令室の三番隊員たちも、モニター越しに映し出される地獄絵図に息を呑んだ。もはや、この施設を壊すことは彼らの義務であり、死者たちへの弔いでもあった。


「藤堂、四番隊、ここをすべて爆破し、焼き払え」


近藤の冷徹にして慈悲深い命令が下る。四番隊が手際よく爆薬を設置し始める中、葵が不安げに尋ねた。


「局長、ここを潰せば、戻るための出口はどうするんですか?」


近藤は振り返らず、真っ直ぐに次のセクターへの扉を見据えた。


「こんな非道なことをしでかす奴らが、いざという時の緊急避難口を用意していないわけがねぇ。必ず出口はあるさ」


近藤の力強い言葉に、葵は深く頷いた。準備は整った。

近藤が最後の一瞥をポッドの列へと投げかけ、「やれ」と短く命じる。


爆破音が連続して響き、要塞の骨組みを根底から揺さぶる。空気を切り裂く轟音の中で、罪深き実験の記憶は火炎に包まれていく。近藤は、崩れゆく施設を振り返ることさえしなかった。彼はただ、すべての罪を灰にするべく、迷いなく次の扉を蹴り開けて先へと進んだ。


新選組の怒りの業火が、この地底の地獄を浄化していく。

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