第五章 真実の地、富士山へ 51話 【集結の刻、深淵への降下】
エレベーターホールを制圧し、制圧の余韻が残る中で、次々と他隊が合流してきた。四方から包囲網を敷いていた二番隊、四番隊、五番隊の姿がそこにある。
「派手だな、近藤さん。おかげで迷わずに済んだよ」
土方歳三が歩み寄り、エレベーターのコンソールを操作する葵のそばに立つ近藤の肩を、力強く叩く。
「遅かったじゃねぇか、土方」
近藤は肩越しに振り返り、ニカっと笑う。二人は互いの拳を軽く突き合わせ、この激戦の中で無事に再会できた喜びを分かち合った。かつて同じ釜の飯を食った同志の絆が、そこにある。
「山南さん、これで設定は完了ですか?」
葵は無線機に神経を集中させながら、山南からの指示を仰ぐ。このエレベーターは、本来なら異形の実験体を搬送するためのもの。全員が乗っても有り余るほどの巨大な空間が、地下の闇へと口を開けている。
『……その設定で最奥階層まで直通します。ギミックの反応もこちらで抑え込みました。くれぐれも、気をつけて』
山南の頼もしい声を聞き、葵は最終調整を終えた。
「近藤さん、準備完了です。いつでもいけます!」
葵の報告に、近藤は大きく頷くと、隊員たちに向けてその巨躯を翻した。
「野郎ども、乗り込め! 異形の化け物どもを根こそぎ一掃するぞ!」
近藤の雄叫びが要塞の壁を揺らし、新選組の全隊士が一斉にエレベーターへと駆け込む。
鉄の扉が静かに、だが重々しく閉まる。エレベーターは、富士の地下深く、軍の隠し続けた「心臓部」へと音もなく降下を始めた。
昇降機が運ぶのは、新選組の誇りと、断ち切れない呪縛を終わらせるための決意。
闇の底で待ち受ける何かが、隊士たちの血を求めているとしても、彼らの心は揺るがない。今、真実の地がその全貌を現そうとしていた。




