第五章 真実の地、富士山へ 50話 【最深部への疾走、死線のダンス】
エレベーターホールへと続く最後のギミックを強引に破壊し、一番乗りで到着したのは近藤勇率いる一番隊だった。
「なんだ、俺たちが一番乗りか。少し物足りないな」
近藤が豪快に笑みをこぼした、その瞬間だった。背後の闇から無数の銃火が噴き出し、空気を裂く音とともに弾丸が襲いかかる。
「まだいやがったか……しゃらくせぇぇぇぇ!!」
近藤は背中の大剣を一閃させ、その強烈な風圧だけで飛来する銃弾の列を弾き飛ばし、遮蔽物に隠れていた軍兵ごと吹き飛ばした。
「ひゅー、局長は相変わらず派手ですね。僕は、直接切り込むほうが性に合ってますよ」
沖田総司は、近藤が弾いた敵の隙を逃さず、壁を蹴り上げて空を舞う。重力などないかのように跳躍すると、冷徹な一太刀で軍兵の首を跳ね上げた。
その後ろで、葵は二人の猛攻を補うように隊員たちを背に庇いながら、龍の核から打ち出された刀を振るう。飛んでくる弾丸を正確に弾き、迫りくる敵を迷いのない一撃で両断していく。
「……はは、俺から言わせれば、お二人……いや、隊長たちは全員、強すぎて……」
自分の戦いなど取るに足らないとでも言うように恐縮する葵を、近藤は豪快に笑い飛ばした。
「お前も大概だけどな、葵!」
近藤のその一言は、単なる称賛以上の熱量を帯びていた。隊長たちが死線を遊び場のように駆ける姿、そしてそれを支える葵の成長。その光景を見るだけで、一番隊の士気は限界を超えて高まっていく。
エレベーターが目の前に到着する。
扉が開くと同時に、中から重武装の兵士たちが飛び出してきた。だが、今の彼らの前では、どんな防壁も無意味だ。
「行くぞ!」
近藤の合図と共に、新選組の刃が、富士の地下深淵を恐怖の色に塗り替えていく。彼らにとって、この戦いはもう実験場を壊すだけの任務ではない。仲間を奪った場所を浄化する、正義の行軍となっていた。




