第五章 真実の地、富士山へ 48話 【制御室の制圧、中枢への道】
「その先はギミックだらけですよ、近藤さん。注意して進んでください」
山南からの無線連絡に、近藤は足を止めた。目の前に広がるのは、軍が隠し持っていた広大な地下通路だ。
近藤は肩をすくめ、隣に並ぶ葵へと視線を送る。
「葵、俺は細かい仕組みなぞ苦手でな。あとは頼んだぜ」
「了解です、局長。……まずはコントロール室があるはずです。そこを制圧して、エレベーターの制御を奪いましょう」
葵の確かな指示に従い、一番隊が動き出す。
要塞内部は想像以上に広く、近藤が大剣を振り回しても天井を突く心配すらないほどだ。葵を先頭に、沖田と近藤が軍兵たちの隙を突いては次々と無力化していく。
進むこと数分、周囲の雰囲気とは明らかに異質な、無機質な鉄の扉が現れた。
「ここですね」
葵が勢いよく扉を蹴り開けると同時に、左右から近藤と沖田が風のように躍り込み、中にいた兵士たちを瞬時に斬り伏せた。
「どうだ葵、操作はできそうか?」
近藤の問いに、葵は機器の前へと駆け寄る。
沖田が刀の切っ先を機器に向け、面白半分に口を開いた。
「ねえ、壊せばよくないっすか? 手っ取り早くていいですよ」
「ダメです、沖田さん! ここを壊したら、土方さんや藤堂さんたちが侵入しているエリアの安全装置まで狂います。……少し待ってください」
葵が集中してコンソールを操作する。モニターに、地下深くへ続く巨大なエレベーターの回路図が浮かび上がる。
カチリ、とボタンを押した瞬間、眼前の巨大モニターにエレベーターが作動を開始する映像が映し出された。
――次の瞬間、室内全体にけたたましい警報音が鳴り響いた。
「あ……アラームの解除を忘れていました」
葵が苦笑いを浮かべる。どうやら、自分たちの侵入が軍の全セクターに露見したらしい。
だが、近藤はそれを聞くと、むしろ愉快そうに大剣を肩に担いだ。
「いいぜ。隠密ごっこは終わりだ。……派手に行こうじゃねえか!」
近藤の豪快な笑い声に、葵もまた力強く頷いた。
警報の嵐の中、一番隊は中枢へと続くエレベーターへと駆け出した。富士の深淵、その最深部へ向けた突撃が、今始まる。




