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紅蓮の絆 —果てなき戦記—  作者: 縷禾
第五章 真実の地、富士山へ
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第五章 真実の地、富士山へ 45話【不退転の決意、全隊士の進撃】

翌朝、屯所の庭に全隊士が整列した。冷たい空気の中、近藤勇が壇上に立ち、昨日語られた軍の蛮行と、富士山地下への強襲任務についてすべてを打ち明けた。

動揺が隊士たちの間にさざ波のように広がる。軍の機密を暴き、その中枢を叩くということは、国家という巨大な権力に対し、新選組が真っ向から反旗を翻すことを意味していた。


「これは新選組の『義』のための戦いである」


近藤の声は低く、しかし力強く響いた。


「この任務、無理強いはせぬ。参加希望者のみを連れていく。軍に喧嘩を売ることになるのだ、死線を越える覚悟が必要だ。この機に隊を抜けたい者がいれば、上長へ進言せよ。それを止めることはせぬし、規律違反にも問わん」


隊士たちに激震が走る。組織の存続を賭けた究極の選択だった。


その静寂を破り、葵は一歩、また一歩と近藤のもとへ歩み寄った。握りしめた新しい刀が、腰元で静かに震えている。


「局長……参加します! いえ、させてください。もう二度と、あんな悲劇は起こさせません。俺が、この刀で食い止めるんです」


その瞳には、かつてない強固な意志が宿っていた。

近藤は葵のまっすぐな視線を受け止めると、満足げに目を細め、力強く頷いた。


「……お前なら、そう言うと思っていたよ。ただし、命を無駄にするな。お前の命は、お前一人のものじゃない。俺についてこい」


近藤の言葉は、その場にいた全隊士の心に火をつけた。

葵の覚悟、そして彼を死地から救い出した局長の信念。その絆を目の当たりにした隊士たちの間に、迷いは消え去った。


「局長と共に!」


誰からともなくあがった声は、瞬く間に屯所全体を包み込む咆哮となった。


結果として、誰一人として隊を離れる者はなかった。新選組の全隊士が、それぞれの胸に刃を抱き、軍の偽りを断罪するために富士の裾野へと進軍を開始する。


霧深い富士の麓、彼らの足取りは重い。だが、その背中には迷いがなく、誰もが誇り高き「誠」の旗を心に刻んでいた。

決戦の地、富士の地下深淵へ――新選組の総力戦が、今始まる。

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