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紅蓮の絆 —果てなき戦記—  作者: 縷禾
第五章 真実の地、富士山へ
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第五章 真実の地、富士山へ 44話 【真実の地、富士山へ】

夜半、屯所の空気は張り詰め、見回りの足音だけが遠くで響いていた。

幹部たちが集まった密室のテーブルに、一枚の設計図が広げられる。三番隊が命懸けで解析し、山南が沈痛な面持ちで突き止めた「真実の地」の地図だった。


「三番隊の調べによれば、間違いないようです。軍が隠し続けてきた異形の実験施設……その中枢は、富士山の地下深くに築かれています」


山南の報告に、土方は苦虫を噛み潰したような顔で煙管を握りしめた。


「灯台下暗し……まさか帝都の騒乱の裏で、あんな場所を本拠地にしていたとはな」


「人為的な兵器作り……その根源を叩き潰せば、この忌まわしい化け物騒動も終止符が打てるかもしれませんね」


原田の言葉に、他の隊長たちも無言で頷く。それはもはや、軍と新選組の小競り合いではない。人道に悖る悪意の連鎖を、武士の矜持で断ち切るための戦いだった。


近藤はゆっくりと顔を上げ、集まった隊長たちの顔を一人ずつ見回した。その瞳には、これから始まる修羅の道の重さが宿っている。


「……いいか。軍上層部の深部へ乗り込む。奴らの計画のすべてを暴き、根こそぎ破壊する。戻ってこられない可能性も十分にある……それでもいいのか」


問いかけに迷いはなかった。

斎藤、沖田、永倉、藤堂、原田。全員が深く、力強く頷く。近藤の背中を信じ、共に死地へ赴く覚悟は既に決まっていた。


「……行くぞ。富士山の地下深く、奴らの巣窟へ。こんな馬鹿げた実験、これ以上続けさせるわけにはいかん」


近藤の言葉を合図に、隊長たちは一斉に立ち上がった。

その姿は、かつてないほどに雄々しく、決意に満ちていた。


深夜の屯所を静かに出た一行は、富士の闇へと向かう準備を整える。

かつて葵を蝕んだ悲劇を繰り返さないために、そして軍という巨大な闇を払うために。新選組の命運を賭けた、最後の戦いが幕を開けようとしていた。


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