表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮の絆 —果てなき戦記—  作者: 縷禾
第四章 黒き覚醒と家族の絆
PR
43/62

第四章 黒き覚醒と家族の絆 41話 【生還、そして誓いの帰還】

異形の咆哮が施設の天井を揺るがし、やがて虚無へと消えていく。爆発の煙が晴れたあとの修羅場には、凄絶な静寂が降りていた。


床に横たわるのは、刀を胸に抱いたまま、微動だにしない葵の姿だった。

駆け寄る足音が響く。近藤勇が真っ先に葵の傍らに跪き、震える手でその胸元に耳を当てた。


「……大丈夫だ。生きてる!」


貫いたように見えた刀は、葵の魂を蝕む呪いと共に霧散し、その身体には致命的な傷跡を残していなかった。近藤の言葉に、周囲を囲んでいた隊士たちの肩から力が抜ける。張り詰めていた空気が、安堵の息と共に大きく入れ替わった。


「まったく……。やりやがったな、あの新人は」


土方は苦笑しながら、眠る葵の額を軽くこづいた。その声には隠しきれない安堵と、愛おしいまでの苛立ちが混ざっている。藤堂もまた、葵の手を握りしめ、濡れた瞳で大きく頷いた。


「やるべきことはまだ残っている。……だが、今日ばかりは神に感謝だな。葵の奪還、これにて完遂だ!」


近藤は背を向け、葵の小さな身体をしっかりと背負い上げた。

軍の兵たちが次々と追いかけてくる気配がするが、もはや彼らの目に迷いはない。仲間を背負った局長の背中は、どんな障壁も切り開く絶対的な信頼の象徴だった。


「帰るぞ、俺たちの場所へ」


新選組の一行は、軍の要塞を背に歩き出す。

東京の冷たい夜風が、葵の寝顔を優しく撫でていく。

軍の横暴を叩き伏せ、大切な「家族」を取り戻した彼らの足取りは、かつてないほどに力強く、そして穏やかだった。


修羅の夜が明けようとしていた。

新選組の物語は、また一つ、絆という名の強固な刃を手に入れ、新たな夜明けへと向かっていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ