表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紅蓮の絆 —果てなき戦記—  作者: 縷禾
第四章 黒き覚醒と家族の絆
PR
39/62

第四章 黒き覚醒と家族の絆 37話 【紅蓮の檻、静寂に満ちた死の宴】

軍事要塞の正面、近藤が門を粉砕し、一番隊・四番隊と共に内部へなだれ込む。軍の混乱は予想を超え、銃撃と斬撃が入り乱れる大乱戦となっていた。


しかし、施設内部の隔離区画では、さらに異様な事態が進行していた。


葵が監禁されていた部屋は、軍の科学者たちが並べた測定器のノイズで埋め尽くされていた。彼らは葵の刀から発せられる異常なエネルギー反応を調査し、さらに葵の精神を無理やり繋ぎ合わせて刀を「兵器」として制御しようと試みていたのだ。


だが、刀の渇きは彼らの制御など容易く踏み越えた。


「……ッあぁぁぁあああ!!」


葵の瞳が妖しく明滅し、刀の柄を握りしめるその指から、漆黒の殺気が溢れ出す。刀は「血」を強要し、周囲の兵士たちの命を養分として啜り上げた。科学者たちが叫ぶ間もなく、部屋は肉塊と鮮血で塗りつぶされ、施設内には警報のサイレンが虚しく鳴り響く。


「……遅かったか」


施設裏門を突破し、血の匂いを辿ってその部屋へと辿り着いた土方歳三。

重い鉄扉を蹴破った彼が目にしたのは、悪夢のような光景だった。


部屋中に転がる軍兵の亡骸。その中央に、血に染まった刀を握りしめたまま、うずくまる葵の姿があった。

葵の身体からは、人間離れした禍々しい瘴気が立ち上っている。それはもはや、かつて縁側で無邪気に話していたあの「新人」の姿ではなかった。


「……葵」


土方は刀を鞘に納めたまま、一歩ずつ葵へと歩み寄る。

葵は、土方の気配に気づくとゆっくりと顔を上げた。その瞳には、すでに理性の光はほとんど残っておらず、ただ鋭い獣のような飢えだけが宿っていた。


「……土方、さん」


葵の掠れた声が、血の海に響く。

土方は、葵の足元に転がる死体の山を横目に、迷うことなくその手に手を伸ばした。

葵が何を殺したのか、どれほどの血を浴びたのか。そんなことは土方にとってどうでもよかった。

ただ、目の前で壊れかけ、闇に飲まれようとしているこの少年を、何としてでも連れ戻す――。


「……帰るぞ、葵。俺たちの場所に」


土方のその一言が、狂気へと傾きかけていた葵の均衡を、わずかに引き戻した。

しかし、刀はまだ止まらない。土方の言葉に呼応するように、刀はさらに高熱を帯び、部屋全体を焦がすほどの殺気を噴出させ始めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ