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紅蓮の絆 —果てなき戦記—  作者: 縷禾
第二章 龍の頂へ
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第二章 龍の頂へ 18話 【刹那の合図、龍の喉元へ】

頂が、すぐそこまで迫っていた。

空気が異様なほど重く、濃密な血の匂いが立ち込める。そこへ、山頂の主を守らんとせん大型個体の群れが、山の地表を埋め尽くすほどの勢いで突撃してきた。


そのあまりの迫力と質量に、一瞬だけ隊列の足が止まる。

だが、そんな躊躇は一瞬で打ち砕かれた。


「あらら、随分と賑やかだこと!」


沖田と永倉が呼応するように躍り出る。沖田の鋭い突きと、永倉の叩き割るような剛剣が、群れを内側から切り刻んでいく。二人の動きはもはや一対の竜巻のごとく、大型個体を紙屑のように舞い上げていた。


その後方で、土方は冷静に周囲を警戒しながら、襲いかかる個体をいなしていた。


「……まるで水を得た魚だな」


土方は不敵な笑みを浮かべ、眼前の大型個体を最小限の動作で捌き、反撃の一撃を見舞う。その戦いぶりには、余裕すら漂っていた。


一方、葵は局長である近藤と背中を合わせ、戦列の最も脆い部分を支えていた。

彼らが守るのは、後方で観測と指示を出し続けている3番隊。斎藤たちの作業を邪魔させまいと、葵は紅い核を激しく共鳴させ、近藤の力強い太刀筋に合わせて次々と敵を屠っていく。


その時、無線機を通じ、山南の冷徹な声が響き渡った。


『大型個体の数が減ってきました。今です。局長、副長、突撃してください』


「待っていたぞ、この時を!」


近藤が雄叫びを上げると、土方もまた鞘を鳴らして応える。

二人は待ってましたとばかりに、沖田と永倉が切り拓いた二人の間を、矢のごとく駆け抜けた。その走りは、山の傾斜をものともしない凄まじい速さだった。


「置いていかれるなよ、葵!」


近藤の力強い声に、葵は黒刃を強く握りしめ、負けじとその後を追った。

大型個体の屍を足場に、頂上へと続く道を疾走する。

龍の絶対領域へ。ついに、新選組の刃がドラゴンの心臓部へと食い込もうとしていた。


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