五話 落下の謎
とりあえず短編で書きたかったところまで書けました。
うまく書けていませんが……。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
「はじめまして、カーバンクルのクゥンなの」
夕方に目覚めたカーバンクルが、ペコリとみかんに挨拶した。
「喋れるんかい!しかも言葉が通じているし!」
誰もが思ったことを山爺が突っ込む。
ここは山爺の家。魔力切れなら静養先はここしかないね。
クゥンは子猫くらいの小型生物なので、家にあった猫用の布団を使っている。もちろんみかんのお下がりだ。
「ニャ」
「助けてくれてありがとうなの」
「ニャ」
「そうなの。ここは違う世界なのね」
「ニャウ」
「そうなの。魔力が少ないので、ちょっと苦しいの」
「ニャー」
「ありがと。……お水とご飯」
パタパタと僕を二本の尻尾で叩くみかん。
わかってるよ、やるから大丈夫。
お水はコップ?それとも深皿?皿ね。ご飯はなに食べるの?なんでも?じゃあ、ラスティくんと同じおじやで。
可愛いものが好きな琴婆が、おじやをふぅふぅしながらスプーンで食べさせてやる。
美味しかったらしく、何度も美味しいを繰り返すクゥン。かわいいです。
言葉が通じているのは、クゥンが聖獣だから。精霊や聖獣などの高位の存在は、言葉に苦労しないらしい
なんだかんだで、早朝から探索して、気がつけばもう夕方。今日はもう空島に遊びに行くのは無理かな。
「やぁ、こんばんは。カーバンクルが起きたって?」
ラスティくんのお見舞いにきた男爵が、クゥン用の部屋にやってきた。
「起きたよ。それより、ことの次第は判明したのかね?」
すかさず吉爺が男爵に質問をぶつける。
「それを話にきた。できれば、カーバンクルにも同席して欲しい。話の補足を頼みたい。
あ、食事しながらで結構。
衰弱していた男は、元アカデミーの錬金術師だった。アカデミーは王都にある研究機関だ。我が領はラクト王国に所属している。
王都から空島にどうやって来たか?
それはハンターギルドにある魔法陣から転移で行くことができた。今はなぜか動かんがな。
話を戻そう。
錬金術師は魔人の召喚の研究をしていた。だが魔人を召喚するには莫大な魔力が必要でな。成果が出せずに、クビをきられた。
なぜ我が領にきたかの理由は知らんが、うらぶれた錬金術師は、下水道のネズミの魔物を使って、魔力の流れの研究をしていた。
そこで例の地下洞窟を見つけたそうだ。
地下広間にあった魔道具は、空島を浮かすためのものだそうだね?」
男爵が尋ねるとクゥンはコクンと頷いた。
「そうなの。あの魔道具は世界に還元された魔力を使って、空島を浮かすもの。クゥンはそれをずっと守ってきた」
「恥ずかしながら、そのような魔道具で島が浮いていたことを知らなかった。地下の洞窟も。
私と同じくそれを知らなかった錬金術師は、クゥンからそれを聞いた。そしてあの魔道具が集めている魔力を使うことで、念願の魔人を召喚した」
「悪い人に見えなかったの。クゥンが悪いの。
……久し振りに誰かと話せたから、余計なことを言ってしまったの」
「召喚途中でクゥンが邪魔したから、弱い魔人が召喚されたらしい。
魔人は人類の敵であり、我が空島の敵にもなる。
その魔人は短期間しか召喚出来ない。
クゥンは召喚切れを狙い、魔人を洞窟に閉じ込めることにしたんだな?バリアを張って。
そのせいで三日間、魔法でだす水以外、口にできなかったとあの馬鹿者は言っていた」
「ごめんなさい。島が落ちたのは魔道具の魔力を取られたからなの。あの人が魔道具と召喚魔方陣を、無理やり繋げたから、誤作動が起きて異世界に飛んだの」
「そうか。原因がわかってスッキリしたよ。
空島ことはどうあれ、魔人召喚を止めてくれてありがとう。
皆さんも、魔人を倒してくれてありがとう」
「どういたしまして。
イーズも頑張ってたから褒めてあげてね」
僕も謎がとけてスッキリしたけど、青には新たな疑問ができたみたい。
「ところで魔力が貯まれば、また空島は飛ぶのか?」
「飛べないの。無理やり魔方陣と連結させたから、魔道具壊れたの。でもなおせば飛ぶの」
「古代の魔道具を直せる職人は空島にはいない。……そうか、それでは空に帰れないんだな」
ぽつりと男爵は呟いた。
「空は無理でも転移の魔道具は魔力が貯まれば、繋がるの」
「っ!それはハンターギルドの転移魔方陣のことか?」
「そうなの。大元の浮かす魔道具に大量の魔力とられた。だから今は転移魔方陣が動かないの。
転移魔方陣の魔道具は壊れてないの。魔力が貯まればつながるの」
ということは、もしかして僕も異世界に行けるってこと?凄い!
今日宝物は見つからなかったけど、この情報が一番の宝物だね。
「それってどのくらいで貯まるの?」
ウキウキしながら僕はクゥンに質問する。
「世界が違うの。わからないの」
そうか、わからないかぁ。残念。
「希望にはなったよ。
私の代で帰れなくても、息子の代で帰れるかも知れない。
ともかくしばらくはお隣同士、よろしく頼むよ」
清々しい笑顔の男爵。この人強い人だね。尊敬するよ。
「こちらこそ。
ところで明日はうちから大勢がハンターギルドに登録に行くと思う。その辺よろしく頼むよ」
村長がとても大事なことを言った。
そう。いい加減、ハンターギルドいかなきゃね。
「わかった。今日の魔人討伐の件も依頼として出しておこう。そうすれば報酬とランクポイントがもらえる」
「本当?嬉しいな!ランク上がると、やれる依頼増えるんでしょ?」
「太一、修行も忘れんなよ」
「木村さん、太一だけじゃないよ。
今回の魔人は弱くて、体力と集中力きれてたんだよね?
魔人なんて災害がいつ現れてもいいように、村としても対策しないとね」
村長に吉爺が突っ込む。吉爺は厳しいけど、言っていることは間違ってない。
修行も頑張ります。
まずは今日無事帰ってこれたのを神様に報告と、クゥンの名札作らないとね。
ご飯を食べ終えたクゥンをかかえて、僕は家に戻った。
そして次の日。
今日はハンターギルドに人が集中することがわかっているので、適度に分散して行くことになっている。
今は学校から帰ってきて、青と合流して空島に向かおうとしているところ。
「ニャ」
みかんについてこいと言われた。なんだろう。
みかんの隣にはピンクのカーバンクル。暇なので、遊びにきてたんだって。ラスティくんと違ってクゥンの症状は魔力切れと疲労なので、寝たらだいぶ魔力が戻って、元気になったみたい。
へぇ。こっちのご飯食べると、めちゃくちゃ元気になるって?ばあちゃんたちが滋養強壮、疲労回復にきく食材使って、料理したからじゃない?
凄い薬草を使ったのかって?ううん、薬草は入れてないかな。あれ?ニンニクって薬草?
みかん、そっち裏の畑エリアだよ?こっちに用がある?畑しかないけどな。
村の畑エリアはかなりの広さを誇る。
主食の米、小麦や大麦。長期保存がきく各種根菜やイモ類などを多く育てている。
またビニールハウス数棟もあり、野菜の自給率は高い。
数日後には夏野菜の種まきがある……ってあれ?夏野菜用にあけてあったエリアに木の苗木が植わっていた。植林用?
これがみかんの用事?
この苗木を引っこ抜けって?
む。小さな苗木なのに簡単に抜けないよ。青と協力して一気に引っこ抜く。
ズボッ。
苗木を抜いたら根じゃなくて、女の子が引っこ抜けた。
「ええっ!!なにこれ」
女の子って畑で育つの?
とりあえず痛そうなので、地面に下ろす。
「あれはドリアードなの」
「あ、聞いたことがある。木の精霊だっけ?それがなんでうちの畑に……」
「ニャー」
『勝手に入ってすみません。あなたの領域ですか。とてもいい土の匂いに誘われて、仲間ときてしまいました』
「空島からきたの?」
『はい』
「ここ、夏野菜植える予定なんたよね。ナス、トマト、キューリとか。出ていってもらえる?」
地主様から立ち退き要請が。
『でもここの土地のほうが栄養たっぷりで、凄いんです。居させてもらえないですか?』
「だけど予定決まってるから」
「ねぇ、君たちって畑の作物の収穫早めたり、大きく育てたりとかできるの?
それができるなら、この子たち用の畑作ってあげたら?互いにWin-Winじゃない?」
『出来ます!』
「……わかった。悪さはするなよ」
『ありがとうございます。
ついでに、ひとつ助言を。
こちらの土地の作物は、空島と比べて味もさることながら、効能の効果が高いようです。
特に魔物にはその効果が倍増されるでしょう。
こちらに紛れ込んだ魔物がまだたくさんいます。 早めに討伐をした方がいいですよ』
「…… そうなの? じゃあ魔物が この土地のものを食べたらすごく強くなるということ? 何匹か倒したけど 、そんな感じはしなかったな」
『 長期間食べ続けたらです。 短期間 ならそれほど影響はないと思います。
もともと魔物は影響受けやすい動物です。 空島では 魔力に影響されて魔物になった』
「やはり早めの山狩りが必要だな。 城壁が出来る前に逃げた魔物は 一体どのくらいいたのだろうか」
「どのくらいってわからないよ。山狩りをするにしたって普通の動物と 魔物の違いがわからないから、出会った動物全部倒すってこと?」
青と僕の懸念にクゥンがいい提案をしてくれた。
「 魔物よけを使うの 。魔物にしか効かないから 魔物よけを使って追い込み猟をすればいいと思うの」
いいね。それ 村長に提案するよ。
そろそろ空島に行っていいかな?
ギルドの登録が終わったら、空島の街でおやつ食べたいね。ギルドの入会金や買い食い用に空島のお金に換金しないと。
村長と吉爺の頑張りで、通貨の初期交換レートが決まった。十円で鉄貨一枚。百円で銅貨一枚。
同じ十進法をつかっていたので、それぞれ十枚で繰り上がる感じ。だから千円で銀貨一枚。
空島の貨幣はいつ補充できるかわからないので、将来的にはうちの村と空島で使える共通貨幣をこっちで作って、順次入れ換えていく予定。
どうやって作るのか想像つかないけど、吉爺が頑張るらしいので、丸投げです。
何人いるんだろう、吉爺。一人の仕事量じゃないよ。
話を戻すけど、通貨交換ね。これは空島で交換所を門の前に設置してくれるらしい。
職員はスコットさん達、門番兼任のお仕事。
門番、結構暇らしいよ。
事前情報だと、ハンターギルドの入会料が銀貨二枚。二千円だね。
入会すると、ハンターギルドの会員証がもらえる。
会員特典は主に四つ。
依頼という名のお仕事を受注できる。
ハンターギルドの転移魔方陣を格安で使える。
素材の買い取りをしてくれる。
ギルドの提携商店または宿屋で割引がきく。
最初の特典である依頼は、ハンターランクによって受注できる依頼が変わる。
ランクは大きくブロンズ、シルバー、ゴールド。
その中細かくを一から八まで八段階で表す。ブロンズの一が一番下で、最初のランクになる。
ハンターギルドは国家間をまたがる独立組織なので、ハンターランクはどの国でも同じ基準になるんだ。
予習はバッチリ。とりあえず三千円持ってればオーケー。
「ニャ」
えっ。みかんも登録するの?
いやー、出来ないんじゃない?うん。わかった。一応聞いてみるから、パンチしないで。
「クゥンも一緒なの」
もじもじと上目遣いで僕らを見上げるクゥン。
ずっと空飛ぶ魔道具を守り続けていたけど、壊れちゃったしね。自由になったクゥンは、好きに生きることを決めた。イイネ!
「それじゃ、一緒に行くぞ」
青はクゥンを抱き上げ、自分の肩に乗せた。
「初期ランクに魔人討伐のポイントを加算して、ブロンズの六スタートですね」
お姉さんがギルドカードを僕らに渡して、そう言った。
なんと、みかんとクゥンも、ギルドに登録できた。獣人と同じ扱いみたい。単なる獣なんだけどね。いや聖獣とお使い様か。
青銅で作られたギルド証をクゥンは掲げ、キラキラと眩しそうに見上げる。
「クゥン、お揃い初めて」
嬉しいみたいだね。よかったね。
僕のギルド証はこんな感じ。
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蛍火 太一
職業 巫見習い レベル6
スキル 生活魔法、神託
隠形術lv1、気功術lv1、剣術lv1、
投擲lv1、軽業lv1
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青は忍者見習いだった。
「ところで、このランクでゴブリンの討伐はできるのかな?」
「いやですね、魔人討伐ができているだから、当たり前ですよ。オークも討伐できますよ。
ゴブリンを討伐するならダンジョンですね。このランクでダンジョンの十層までは入れますよ」
「ダンジョンあるの?」
「ありますよ 。空島のダンジョンは初心者向きのダンジョンなんで、ブロンズクラスにはいい稼ぎになります。
午前中に来たおじいさんとおばあさん達は、ダンジョンに行きましたよ」
「青、ダンジョンだって!凄くない?行くよね、もちろん」
「今日は町の探索の予定だっただろう。そっちは 行かなくていいのか?」
「ニャー 」
「クゥンも街でおやつ食べる」
くっ。 3対1で負けてる。ダンジョンは今度だね。
「 じゃあ 、お姉さん。空島の名物は何? 何がおすすめ?」
「 そうですね。 西部地方の湖でとれるお魚の蒸し焼きかな。 ジューシーでふわふわなんですよ」
「ニャーン」
美味しそうだけど、おやつにしてはちょっと重めかな。 みかんはがっつり食べそうだけど。
「 もう少しおやつになりそうなものはないの?」
「 三日月亭のまんまる焼きが美味しいですよ」
まんまる 焼きか。お饅頭 かな? とりあえず 三日月亭の場所を聞いておく。イーズも呼んで食べるかな。
僕はギルドを出ると犬笛をピューと吹く。 この犬笛はイーズに渡された呼び出し用。 何回かピューピューと吹いてると、イーズがやってきた。
「なんだまた何かあったのか?」
慌ててやってきたイーズにそう聞かれた。 おやつを一緒に食べに行くだけと答えたら、脅かすんじゃねえと怒られた。
イーズにしてみると、僕らは毎回何かしら問題を起こしてるらしい。きのせいだよきっと。
あ、そうそう。一応ドリアードの件を伝えておくかな。
「 やっぱり問題起こしてるんじゃねえか! 普通、精霊に簡単に会えねぇよ!」
「そう言われても向こうが勝手に来たんだし、 僕らのせいじゃないよ。
ドリアードって住人扱いになるのかな? そうだったら名札を作らないといけないね」
最近毎日住人増えてない?いいことだよ。
脱!限界集落だね。
空き家はまたまだあるし、もっと増えてほしいね。
僕の願いが叶い、この後村に人がやってくる。
いい人だけならいいけど、悪いやつも。
その話はまた今度ね。
じゃあ、またね!
とりあえずおしまい。
続きはモチベーション次第なので、また書くかもしれません。
そのときはよろしくお願いします。




