第33話 君に決めた、雪乃【終】
パンチボウルのかたわらにいる、内気な雪乃に近づく。
「雪乃、なんでこんなところで突っ立ってるんだ?もしかしてダンスを避けてるのか?」
からかうように声をかけると、彼女は顔を赤らめる。
「バカ言わないでよ。どうせ私なんかをダンスに誘う人なんていないんだから、ここにいるのよ」
「それならさ、ちょっとそのパンチを置いてみたらどうかな……だって、まさにそれを誘いに来たんだからさ」
彼女は目を丸くしてこちらを見る。
「雪乃、僕と一緒に踊ってくれないか?」
「レンジ……うん!ありがとう……!」
僕は彼女の手を取ってダンスフロアへと連れ出し、スローダンスを踊る。最初はぎこちなく恥ずかしそうにしていた彼女も、すぐに緊張をほぐしていく。
「レンジ……君がダンスに誘ってくれて本当に嬉しいよ。これ以上ない最高の夜の締めくくりだわ」
「僕もだよ、雪乃」
ダンスが終わっても、彼女は僕の腕の中にいた。離れたくないようで、僕も同じだった。やがてパーティーもお開きの時間となる。
「雪乃、もう遅いし……家まで送ろうか?」
「えっ……本当に迷惑じゃない?」
「全然そんなことないよ」
僕は彼女の手を取る。彼女は頬を赤らめてこちらを見つめた。
「あのさ、言いたいことがあるんだ。でも、ここではちょっと……」
「レンジ……」
「よし、着いたね」
「送ってくれて本当にありがとう、レンジ。すごく嬉しかったわ」
「どういたしまして」
「それで、えっと……話って、なに?」
ドーーーン!!!
突然、その会話が雷鳴にかき消される。
「うわっ!どうやらギリギリセーフだったみたいだな!」
「大変、すごい嵐になりそう!レンジ、中に入ったら?よかったら、中で話しましょう……」
「本当はそうしたいんだけどさ……こんなすごい嵐じゃ、いつ止むか分からないだろ。ひどくなる前に走って家に帰ったほうがよさそうだな!」
「そっか……」
彼女は残念そうな顔をする。
「ごめんよ、雪乃。でも、また明日ゆっくり話せるよね?」
まさにその時、彼女は手を伸ばし、僕をぎゅっと抱きしめた。
「雪乃?」
「ありがとう、色々と。行かなくちゃいけないのは分かってるけど……その前に、私も言いたいことがあるの。待ちたくないのよ。あなたが同じ気持ちかどうかは分からないけど……レンジ、あなたのことが本当に……大好き」
「雪乃……」
僕は彼女を抱きしめ返す。
「実はさ、それも君に伝えようと思ってたんだ。嵐が過ぎてから言おうかとも思ったんだけどさ……こんな暗い夜をこれ以上に明るくする方法なんてあるかい?」えっ……どういうこと?」
「つまりさ……僕も君が好きだよ、雪乃。そして決めたんだ……僕の彼女になってほしい」
「レンジ……」
雷の音が再び鳴り響くまで、僕たちはしばらく抱きしめ合ったままだった。
「本当にありがとう、レンジ」
「どういたしまして。ほら、風邪をひく前に中に入って。天気が良くなったらまた話そうって約束するよ。あ、それと雪乃?」
「¿?」
「色々とありがとう。愛してるよ」
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