第8話 督戦隊の銃口
極限状態の中で、逃亡しようとする兵士が出始めた。
だが、彼らを待っていたのは、敵の弾丸よりも残酷な「味方」だった。
ある朝、部隊全員が招集された。
森に向かって逃げようとして捕まった二人の兵士が、木に縛り付けられていた。
「見ろ!」
政治将校が叫ぶ。彼の顔は栄養状態が良く、血色が良かった。
「この卑怯者たちは、神聖な義務を放棄し、敵前逃亡を企てた。祖国への裏切り行為だ!」
縛られた兵士が泣き叫ぶ。
「違うんです! あまりに寒くて、薪を探しに……」
「黙れ!」
政治将校は容赦なく拳銃を抜いた。
パン、パン。
二人の兵士がぐたりと首を垂れる。
ニコライたちは、それを直立不動で見せつけられた。
「いいか、後ろには戻れんぞ。我々に許された道は、前進のみだ。命令に背く者は、私がこの手で処断する!」
ニコライの拳が、ポケットの中で白くなるほど握りしめられていた。
前には見えない死神。後ろには狂った政治将校。
俺たちは挟み撃ちにされている。逃げ場など、最初からどこにもなかったのだ。
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