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赤き星の震える指 ——死神を撃った男の告白  作者: beens
第2章 緑の地獄

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第8話 督戦隊の銃口

 極限状態の中で、逃亡しようとする兵士が出始めた。

 だが、彼らを待っていたのは、敵の弾丸よりも残酷な「味方」だった。

 ある朝、部隊全員が招集された。

 森に向かって逃げようとして捕まった二人の兵士が、木に縛り付けられていた。

 

「見ろ!」

 政治将校コミッサールが叫ぶ。彼の顔は栄養状態が良く、血色が良かった。

「この卑怯者たちは、神聖な義務を放棄し、敵前逃亡を企てた。祖国への裏切り行為だ!」

 縛られた兵士が泣き叫ぶ。

「違うんです! あまりに寒くて、薪を探しに……」

「黙れ!」

 政治将校は容赦なく拳銃を抜いた。

 パン、パン。

 

 二人の兵士がぐたりと首を垂れる。

 ニコライたちは、それを直立不動で見せつけられた。

 

「いいか、後ろには戻れんぞ。我々に許された道は、前進のみだ。命令に背く者は、私がこの手で処断する!」

 

 ニコライの拳が、ポケットの中で白くなるほど握りしめられていた。

 前には見えない死神。後ろには狂った政治将校。

 俺たちは挟み撃ちにされている。逃げ場など、最初からどこにもなかったのだ。

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