第7話 禁じられた焚き火
襲撃が終わると、再び静寂と寒気が戻ってきた。
負傷兵のうめき声だけが、寒空に響く。
日が落ちると、気温はさらに下がった。マイナス40度近い。
立っているだけで、生命力が吸い取られていくような寒さだ。
「寒い……死にそうだ」
若い新兵が、震える手でマッチを擦ろうとした。
小枝を集め、小さな焚き火を作ろうとしたのだ。
「やめろ! 火をつけるな!」
古参兵が止めようとしたが、遅かった。
ボッ、と小さな炎が上がった瞬間。
――ターン。
森の奥から、乾いた一発の銃声。
新兵の頭がガクリと揺れ、そのまま焚き火の上に突っ伏した。
即死だった。
「ひっ……!」
周囲の兵士たちが蜘蛛の子を散らすように逃げる。
夜の闇の中、タバコの火一つ、マッチの光一つが、命取りになる。
フィンランドの狙撃手たちは、暗闇の中でも獲物を見逃さない。
ニコライは、死んだ新兵が炎に焼かれていく臭いを嗅ぎながら、嘔吐感をこらえた。
暖を取ることも許されない。
眠れば凍死する。火を焚けば撃たれる。
生きるための選択肢が、一つずつ消されていく。
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