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赤き星の震える指 ——死神を撃った男の告白  作者: beens
第1章 レニングラードの行軍

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第4話 政治将校の影

 最初の戦闘(虐殺に近い混乱)の後、部隊の空気は一変した。

 恐怖と疑心暗鬼。

 

 夜、テントの中で政治将校が巡回に来た。

 彼は清潔な軍服を着て、暖かそうな毛皮の帽子を被っていた。

 

「同志諸君」

 彼の目は笑っていなかった。

「今日の無様な態度はなんだ? 敵はわずかな山賊の集まりに過ぎない。にも関わらず、恐怖に駆られて乱射し、弾薬を浪費した者がいるそうだな」

 

 兵士たちは縮こまり、視線を逸らした。

 

「言っておくが、敵前逃亡は即刻銃殺だ。祖国への裏切りは許さん」

 彼は拳銃のホルスターをポンと叩いた。

「明日はもっと速く進め。ヘルシンキは待ってくれないぞ」

 

 政治将校が出て行くと、重苦しい沈黙が降りた。

 

「……クソ野郎が」

 誰かが小さく呟いた。

 

 ニコライは毛布を頭まで被った。

 寒さで足の感覚がない。

 昼間は森からの銃撃に怯え、夜は後ろからの処刑に怯える。

 

(ここは戦場じゃない。処刑場だ)

 

 ふと、昼間の戦闘で聞いた噂を思い出した。

 隣の小隊が全滅したらしい。

 たった一人の狙撃手にやられた、という話だ。

 

「白い死神だってよ」

 

 そんな馬鹿な、とその時は思った。

 だが、この暗い森の気配を感じていると、あながち嘘とも思えなかった。

 森が生きている。

 何千もの目が、こちらを見ている気がする。

 

 ニコライは知らなかった。

 彼らが向かっているコッラ川の先には、まさにその伝説が、口に雪を含んで待ち構えていることを。

 

 地獄の一丁目が、ゆっくりと口を開けていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

読者の皆様の応援のおかげで、ここまで書き進めることができています。

もし「続編が気になる!」「応援してるぞ!」と思っていただけましたら、ぜひブックマークや、星での評価で応援をいただけないでしょうか。

皆様のポイントが、ランキングを駆け上がる原動力となります!

これからも熱い展開をお届けします!

よろしくお願いします!

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