第17話 神との遭遇
ふと、周囲の銃声が遠のいたような気がした。
エアポケットのような、奇妙な静寂に包まれた空間。
ニコライは荒い息をつきながら、一本の太い松の木の陰に身を隠した。
心臓が早鐘を打っている。
誰かいる。
気配がする。
彼はゆっくりと、木の反対側を覗き込んだ。
――いた。
距離は40メートルほど。
雪に覆われた茂みの中に、そいつはいた。
小柄な体。真っ白なカモフラージュ。顔の半分を覆う白いマスク。
間違いない。
何千回も悪夢の中で見た姿。
「白い死神」だ。
彼は、ニコライの存在に気づいていた。
いや、ニコライがそこに来ることを知っていたかのように、すでに銃口はこちらを向いていた。
目が合った。
マスクの奥にあるその瞳は、怒りも、憎しみも、焦りさえも含んでいなかった。
ただ、氷河のように冷たく、透き通っていた。
(ああ、俺は死ぬんだ)
ニコライは悟った。
逃げられない。あの銃口から逃げられた奴はいない。
俺の人生はここで終わる。トラクターを直すことも、母さんのスープを飲むことも、もう二度とない。
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