第12話 森ごと殺せ
狙撃手でも勝てない。
その事実は、前線部隊の士気を完全に粉砕した。
怒り狂った上層部は、ついに最も野蛮で、最もソ連らしい解決策を選んだ。
「座標44-12! 全砲門、撃てッ!」
翌日、ニコライたちの目の前で、森への「処刑」が始まった。
後方に展開した重砲部隊による、絨毯爆撃だ。
ズドォォォン!! ズドォォォン!!
大地が揺れる。鼓膜が破れそうな轟音。
何百発もの榴弾が、一人の人間を殺すためだけに撃ち込まれる。
木々はマッチ棒のようにへし折られ、土と雪が空高く舞い上がる。
「ざまあみろ!」
隣の兵士が叫ぶ。「これなら生きているわけがない! 木端微塵だ!」
ニコライもそう思った。いや、そう信じたかった。
これほどの破壊の嵐の中で、生物が生き残れるはずがない。
1時間後、砲撃が止んだ。
かつて鬱蒼としていた森は、黒く焼け焦げた荒野に変わっていた。
「偵察隊、確認に行け」
命令が下り、数名の兵士が恐る恐る瓦礫の山へと向かった。
数分後。
パンッ。
一発の銃声。
偵察兵の一人が倒れる。残りの兵士たちが、悲鳴を上げて逃げ帰ってくる。
「い、いたぞ! まだいる! 悪魔だ! あいつは死なない!」
ニコライは膝から崩れ落ちそうになった。
絶望。
圧倒的な火力も、物量も、あの白い影には通用しない。
あいつはこの森そのものだ。森がある限り、あいつは何度でも蘇る。
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