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幽囚葬列  作者: 或鏡α
第一章 軌道と言う名の鎖

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第三話 鉄の箱の執行者 後編

相手は戦意がないみたいだった。

私に死体蹴りする趣味はない。

「栞……」

声を掛けようとした瞬間――。

聖女のような笑みをまた元死神に向けて、首を、切り落した。

ゾンビ人間の時みたいに、一瞬で。

元死神が絶望する間もなく。

鎌が血を吸った。

死体の養分を吸い上げたように。

元死神は物言わぬ肉塊へと成り果てた。

明らかに死んでいる。

私は何を血迷ったのか、死体に近づき揺さぶった。

「起きて、起きて、起きて、起きて……」

栞音は不思議そうに私を見つめる。

「?橘が言ったじゃん。()()()()()()()()()()()()()()()って」

キッと睨みつける。

「確かに言ったけど、ここまでする必要ないじゃない!」

この言葉に栞音は「え?」という顔をした。

「アレ、私てっきり()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って意味かと」

何がどうなったらそんな解釈になるんだ。

私は今一度「雷栞音」という頭のおかしいやつを再認識した。

「最低……」

思わず言ってしまった。

栞音に逆らわないほうがいいのはわかる。

理性的に考えるならそうだ。

でも、わざわざ希望を与えてから殺す必要は無かったハズだ。

呼吸の仕方を教えて、そのまま「人間」として生かしておけばよかっただけの話。

いくら殺そうとしてきた相手でもこれはあんまりすぎる。

「橘は優しいね」

思わぬ言葉が飛んできた。

今、私、確かに最低って言ったよね?

「でも、それは長所であり短所。ずっとそんなんだとシナに付け込まれるよ」

その通りだ。

というか、さっきから私視点でよくわかんない言葉飛んでくるんだケド……。

「理にかなってるのはわかるよ、でもそれにしたって残酷すぎるよ。……後さ、そもそも()()って誰」

沈黙。

「ま、普通聞くよね」

空中に中指を立てる。

「クソ姉貴」

中学生らしい表情(かお)をして言った。

そして、私は最悪な考えが過った。

「ねぇ……もしかしてそのお姉さんのせいでこんな目にあってたり……して」

栞音が黙る。

そして暫くして口を開いた。

「大正解」

……当たってて欲しくなかった。

妹が妹なら姉も姉だろうからぜっったいに関わりたくなかったのに。

喉まで出かかった言葉を吞み込んだ。

「さて、ここまでは序の口。ここからが本番だよ。苦しいことや辛いことが沢山あるから覚悟してね」

真剣な顔で真剣なトーン。

……元死神に対して「苦しいこと」「辛いこと」の二つを強要したのによく言う。

それにそんなのは分かりきってる。

わざわざそんなことを言うのって、絶対私を一人の人間として見てくれていない。

「ああ、それとね。この先は私、できるだけ手を出さないようにするから。自分で頑張って!」

満面の笑みで言われるこっちの身にもなってみろ。

そして私はどことなく感じた。

この言葉が、更なる地獄を呼んだのを。

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