詐欺師とお人好し
今更ですがこのニーサンも美形です。
中東系の色黒加減。艶々の黒髪を襟端だけ伸ばし、金の細工がある髪留めで括っている。
漆黒の眼帯をつけているので何だか海賊っぽい。
瞳は青磁色で神秘的でエキゾチックだ。
頼れる兄貴系の彼はアルフォンス・エンリーケ・ルートヴィヒ、アルフにーさん。
少しくたびれた灰色のコートを纏い、全体的に旅人の服装。
そして物騒な武器をいくつも腰にぶら下げている。
出ている顔が綺麗すぎて其処ら辺にありそうな服装でも目立ってしまっている。
そして所々に金の装飾品を身につけているから胡散臭い感じがバレバレだ。
今は西部劇バリの酒場なはずだが、アルフにーさんが足を投げ出し組みなおした瞬間に
あれ?ここバーだったっけ?てな感じになる。
煙草もロックの強そうなお酒も似合う。
「なんだぁ?そんなに見つめて…俺に惚れたか?」
「いやぁ、胡散臭いなぁと思って。」
「あぁ?また牢屋にぶち込むぞ!」
「今度そんな事したら殺す!!!」
「フン!一度目なんも出来なかったくせに良く言うぜ!」
「…ちょっと、何喧嘩になってんの!お酒は楽しく飲もうよ!!」
「おまえ……まぁいい。俺は人の見る目だけはある。」
「ニーサン何が言いたいの?」
「少し困ってるんだ。手を貸してくれないか?」
「えっと、それを言うなら私達も困ってるので解放して欲しい…。」
「まぁ待て、おまえらにも協力する。俺は伝手が沢山あるからな!」
「じゃあ困ってないんじゃ…?」
「アグネス諸国の関係ない奴じゃないと駄目なんだ。だから頼むよ!!」
(やばい…アグネス諸国じゃないんだけど。異世界人でエドゥアール皇国のお使いなんて言えない…)
「エドゥアール皇国の魔術師が捕まっちゃってよ、俺じゃ戦争になっちまうから行けないんだわ。」
「はい??」
エドゥアール皇国の魔術師、シグさんは飲み友達らしい。
突然行きつけの酒場に来なくなったんで探してたらハインリヒ帝国に捕われてる事が分かった。
もう少し潜って調べたらスパイ疑惑がかかっている。
戦争になっちゃうとか何とかは良く分からないけど…。
というか、目的同じなら組んじゃった方がいいんじゃない?
ちらっとダビドをみる。
(どうかな?組んじゃう?)
「ああ、もう!なんとなくこうなると思ってたよ!」
(ふふふ、ダビドありがとう~!!)
「じゃあいいのか?ありがとな!!いや~、牢に拉致って正解だったな!!ハハハ!!!」
「ちょっと!!!最初からそのつもりで?騙された~!!」
「見る目はあるんだ。あんた困った人いたら断らなそうだったし!」
「…くそぉ、飲んだくれてやる!!!奢ってよ??」
「当たり前だ。どんどん飲め。そっちの妖精もな。」
軽く自己紹介をして、こちらの事情もある程度話した。
結構話せるいい兄貴だった。それにダビドとアルフにーさんは気が合うみたい。
明日は一緒に魔術師に会うことに。やっと最初のミッションに行ける…。
牢屋の流れ、返せ!!!でも、大したことされてないし、ご飯おいしかったし。
ま、いっか。
***
(あ、頭痛い…。昨日飲み過ぎたわ。)
ーだろうな。大丈夫か?治してやろうか?ー
(大丈夫、私が悪いんだし。ありがとう。)
ーだ、大丈夫ならいいんだ。あいつ、心配するからな!ー
(あいつ…ヒュー?ああ、そうだ。怒ってるかなぁ…?)
早速ダビドが聞いてる場所、一軒のカフェに来ている。
普通のカフェだし、一般人も普通にいる。
ここで何の話を?それとも待ち合わせだけで移動するのかな?
紅茶をすすって待っているとこちらに向かってきた人がいる。
「こんにちは。相席いいですか?」
「ああ。」
(え?この人なの??滅茶苦茶普通な感じの女性ですが。)
ーこの人だよ。左耳のピアス見える?あれが目印。ー
へえ、普通のピアスみたいだけど…あれ?
蜜柑色の宝石が付いたシンプルなピアスだけど、良く見るとぽうっとピアスの周りが光っている。
あの七色の霧みたいな魔法の光と同じ光だ。
カサ…
小さなメモがそっと置かれた。
つけられてます。
まじかいーーー!!もうピンチ!
そうだよね、うまく行くなんて甘いと思ってたところだよ!!
(大丈夫だ。俺が引きつける。四半刻たったら裏口から昨日の酒場で。)
ー…信じていいのか?ー
(念話出来るのかい!!先に言ってよ!!ビクッてなったじゃん!!!!)
ぎゃーーーーーーっ!
昨日の牢屋の中の心の声とかバレバレじゃないよね???
今までの心の叫びも、まさか今のも???
誰かばれてないと言って!!!
(文句は後で聞く。じゃあな!!)
「????」
「…えっと、もう一人の連れが何とかするそうです。四半刻後に移動します。」
「へ?」
「なぁ、ニーサンってこの辺じゃ偉い奴なんじゃないか?丁寧に挨拶されてるぞ。」
「え?」
ダビドって高位妖精だったっけ…。
見えないところも見えちゃうんだ。
色々気をつけないと…。
気を付ける事がいっぱいだぁ…。
ー聞こえてる!!そ、そんな事しねえよ!!!!ー
「どうしたんですか?顔、赤いですけど…。」
「うるさい!!」
「す、すみません!!!!」
「コラ!!ダビド!!!ごめんなさい、この子口悪いだけで悪気はないんです!」
ばこっと取りあえず殴っておいた。
「あ、ああ、あの、ところで連れって誰ですか?信用できる方なんでしょうか…?」
「ああ、大丈夫だ。確か名前はアルフ。アルフォンス・エンリーケ・ルートヴィヒだ。」
ガタっっっ
え?どうしたの?
真っ青な顔して突然立ち上がった。
指先をカタカタと振るわせ、気絶した。
「えええええ!!」
「めんどくさ…。ほら、さっさと飯くっちゃえよ。」
「う、うん。」
もう疲れたよぅ。




