118 結界の中へ
二時間後にガリエス隊長はやってきた。転移陣で一人で現れた。まあ、この人は転移陣が使える人だからねえ。
隊長は、私とガリエス先輩とファラーグ先輩を見て、アンリウォルズ先輩に視線を向けた。その場にいたのはガリエス隊長も含めて五人だけだったが、これはどういう面子だろうと思ったのだろう。
「シホ・アリス・ゼンがストームが結界の中に入る前に、結界の中の様子を話してきかせやっててほしいと言われて来たんだが」
「弟君も話をききたいと言ってきてね。生まれ育った土地のことでもあるし、仕方がないと思ったんだが」
「ファラーグ侯爵令息が一緒なのは?」
「フロリゼルがもし暴走したときに安全弁になるとしたら俺でしょうから、俺も話をきかせてもらおうと思いまして」
ファラーグ先輩はにこやかに言う。ガリエス先輩はその傍で無表情のまま、
「兄上、教えてください。結界の向こうはどうなっているんですか」
「お前、もしかして怒っているのか」
「勿論ですよ。兄上が結界の中に入っているなんて、第三者からきかされて初めて知った俺の気持ちも考えてください。しかもそのやり方なら俺にだって中に入れたのに、そのことを教えてもくれなかった」
「教えたらお前はここに通っただろう」
「勿論です。結界の中に取り残された家臣や領民を助けないとならないし、父上だって」
あれ、前侯爵は死んだんじゃなかったのかと私は首を傾げた。でも誰もそのことを口にしない。もしかして、それって貴族の間では公然の秘密ってやつ?
ファラーグ先輩が手を一つぱんと叩いた。
「まあとりあえず、伯爵、教えていただけませんか。フロリゼルはともかくとして、シホちゃんは結界の中に入っていくことになっているんで。予備知識はあった方がいいと思うんですよねー」
隊長は私を見て小さくため息をついた。
「そうらしいな。……申し訳ない、いつも我が家の者のせいで君に迷惑をかける」
「いや、別に隊長さんのせいじゃないんで。それで、結界の中ってどうなっているんですか」
「それよりも前に、結界は見たのかい?」
「あ、いえ、まだです」
結界はストームの町の中でも領主館を中心とした半径五キロほどの範囲にかかっているという。そして私たちが今いるのはストームの一番外側で、結界からは二区画くらい離れているそうな。
「行けば、そこに結界があるというのは誰にでもわかる。結界から先は青いからな」
「青い?」
「ああ。何もかもに濃い青みがかかってみえるというか。青い色ガラスを通じて見ている感じだな。結界の中に入っても見え方は同じだ」
「結界の中は普通に歩いたりできるんですか」
「できる。ただ、何かの拍子に加速がついたり逆に動きがゆっくりになったりする。物を動かすときも同じで、急に軽くなったり重くなったりする。俺としてはそれが厄介だったな。予想していないときに持っていたものが突然重くなったりすると腰にきたりしてだな。領民を外に運び出すのに苦労した」
結界が発生した当時その範囲内にいた人間は全て結界の中に取り込まれた。彼らは存在こそは消えなかったが、結界に飲み込まれたときのまま身動きがとれなくなっていたのだった。それなのに意識だけは生きていて、隊長やタロちゃんによって助けられた人たちの中には、助けられたときに発狂していた人もいたという。
「そういう風に重さとかが変化するのって、原因があるんですか」
「わからん。結界の中の空間全体がそう言う風に変化しているようなんだが、規則性があるかもわからなかった」
「結界の向こうに行くときは、あちらの空間に取り込まれないように魔力を纏っていたということですけど、そうしていても影響が出たんですか」
「ああ。それとこれとは別だな」
「さっき、領主館の外にいた人たちは全て運び出したとききましたけど、領主館の中は……?」
「領主館は高い塀に囲まれていて、それで中の人間を運び出すのが一苦労というだけだ。領主館の一部分以外は他と変わらない」
「一部……?」
「ああ。レオナルドの装置がある付近だな。そこが結界の中心で、特に空間の質が違う。一度ほど近づこうとしたが、体の重さの変化が頻繁に起きるし、魔力の循環を少しでも間違えるとあちら側に侵食される感じがあって、戻れないかもと思いそれ以降は行っていない。本当は行きたいんだが……」
そう言ってから、隊長は深々と私に頭を下げた。
「本当にすまない、結界を消すためにはそこに行ってもらうことになるんだ。俺で何とかできればよかったんだが、力が及ばなかった」
「いや、隊長さんは仕事だってあるんだし。仕方ないですよ。それよりも、一人で領民を助けていたんですから。それだけでも十分凄いです」
「俺一人じゃないよ。途中から神祇庁にも手伝ってもらって。それがなかったら、いつ終わるやらという感じだった。……アンリウォルズ公子、今回、彼も結界の中に入るということだったな」
「ああ。二人で行ってもらう」
「良かった。彼は、タロスは領主館の中も入っているから、大抵のことは彼がいれば何とかなるだろう」
「兄上、父上は」
ガリエス先輩が被せるように訊いてきた。んー、そうだよねー、それ、私も気になってたけど、教えてもらえないんじゃないかなと思って訊かなかったんだけど。
隊長は顔を歪めながら、
「すまない、わからない。少なくとも遺体は見ていない。結界が張り続けられているところからすると、恐らく生きているのだと思うが」
私は兄弟を見比べながら訊く。
「あの……先輩のお父さんって、亡くなったんだと思っていたんですが」
「表向きはな。そうでもしないと家への非難はもっとすごかったろうし、すんなりと俺が家を継ぐことはできなかったろう。ただ、本当に生きているのかはわからない。さっきも言ったが、状況的に生きている可能性が高いというだけで、本当に生きた姿は見られているわけではないんだ。結界の中にはいる筈なんだが」
「結界の中のどこにいるかは?」
「領主館の、レオナルドの装置の傍だと思うが、そこへは近づけていない。装置は領主館の地下にあるんだが、地下に向かう階段の手前辺りから魔力への侵食がきつくなるし、重さの変化がよそよりも頻繁に起こるようになって」
「タロちゃんもそこには行っていないんですか」
「多分。それよりも領民や家臣を助ける方が先だと言っていた。彼は領主館から家臣も連れ出してくれていて、おかげで領主館に残っているのはもう僅かだと思う」
「あとどれくらい残っているんですか。俺も手伝います」
ガリエス先輩がそう言うのに対し、アンリウォルズ先輩が言った。
「気持ちはわかるが、そういう出番はないかもしれん。今回の件、結界ごとなんとかするという話だからな。結界がなくなれば、そういう人々も普通に助けられる」
先輩は下を向いた。私は明るい調子で、
「先輩、先輩はここで待っていてください。私、行ってきますから。結界を何とかして、みんなが助かるようにします。王宮から治癒術師も何人か来てくれてるし、治療も問題なくできますよ」
「それはそうだろうが、しかし」
「あ、そうだ。先輩にお願いがあるんです。もしよければなんですけど、マリちゃんの護衛というか、そういうのをお願いできませんか。ほかの治癒術師が一緒だけど、ハーヴェロイ王子も来ているから、用心した方がいいと思って」
私の言葉に先輩が答える前に、隊長が反応した。
「マリ?まさかフォロ商会の子か?なぜあの子がここに?」
「あれから王宮で治癒術師見習いを始めたんです。今回ここにもお手伝いで来ているみたいで」
「手伝い……?そうなのか?」
隊長はアンリウォルズ先輩を見た。アンリウォルズ先輩は頷いてみせる。
「まだ結界の中に取り残されている人々が解放されたときに治療が必要だろうから、それで治癒術師団が派遣されている」
「そうなのか……。それで、アリス・ゼンが結界に入るのは今日にも?」
「ああ。あと一時間ほど後に行動を開始する予定だ」
「タロスは?」
「今休んでいるが、一緒に行く。彼はさっきまで結界に入っていて、きいた話では、領主館から一人、表に出してきたらしい」
「結界の外までは連れてこなかった?」
「ああ。今日は後でアリス・ゼンと結界の中に入っていくことが決まっているから、無理はしなかったんだろう」
「だったら、今から行って引っ張り出してきていいか」
「それは待ってもらえないか。結界への干渉は今日あと二回しかできない。アリス・ゼンたちの行き来の分で終わりだ」
アンリウォルズ先輩の発言に私はひっかかった。
「結界の中に入ること自体が結構大変なんですか」
「ああ。魔術師団の団員が十人がかりでやっと人が通れるほどの穴を開けられるという感じだからな。しかも、結界の干渉に使った魔力は回復しづらい」
「なんか、そこまでやってもらって中に入れてもらって、責任重大ですね。先輩は結界の中に入ったことはあるんですか」
「いや、ない。結界の中で結界に飲み込まれないようにするには魔力を薄く隙間なく自分の体に纏わせないといけないが、俺はそういう魔力操作は得意じゃない。結界に穴を開ける方はできるが、これも考えなしに大きな出力を与えると反作用でこちら側に影響が出かねないと言われて、手伝いを諦めた。お前なら過不足なく助けになるかもしれんが」
アンリウォルズ先輩がガリエス先輩を見る。ガリエス先輩の目に力が灯ったが、その傍にいたファラーグ先輩は、
「やめてくださいよ、先輩。こいつを焚きつけてどうするんですか」
だが、ガリエス先輩は言う。
「レイ、俺は領地や領民のためになることをしたいんだ」
「そう言うけど、お前に何かあったらどうすんだよ?それを心配して伯爵だって何も言わなかったんだろう。俺だって嫌だからな」
軽くにらみ合いになった二人に割って入るようにして私は言った。
「あー、先輩、私が結界の中に入って何とかしますから。待っていてください」
「しかし」
「何の話をしているんだ」
天幕の入り口で声がした。タロちゃんだった。白づくめの神具は身につけず、黒づくめの普通の服だ。
「あー、おはよう。休めた?」
「ああ。一時間くらい寝られた。大丈夫だ。伯爵はなぜここに?」
「結界の中のことをアリス・ゼンに事前に伝えてほしいと公子に頼まれてね」
「ああ、それで。で、シホ、行けそうか?」
「それって私に拒否権あるわけ?」
「いや、ないけどな。何だ、何か不安があるのか」
「変身時間が一定じゃないっていうのがね。変身が解けそうになったらシュルが結界張って普通の空間と同じようにしてくれるっていうけど、一度変身が解けると結構疲れるから、再度変身しろって言われてもできるかなっていうのがね。そっちはそういうのはないの?」
すると、襟の間からヴィーナが顔を出して、
「タロスはそういうのはありませんわ。半日でもずっと神具を展開していられますのよ」
「半日?」
驚いて声を上げたのはホリィだった。
「そんな長時間、ずっと纏っていられるの?あんた本当に人間?」
「半日っていうのは極端な話だ。できなくもないけどそれをする気はない。一度だけ、どうしようもなくてそれだけもの時間神具を使い続けたけど、その後はとてつもない倦怠感に襲われて動けなくなった」
「それでもタロスがそれだけの時間神具を使い続けることができるのは事実ですわ」
ヴィーナが歌うように言う。
「そちらの小娘にそれだけのことができまして?」
「あー、うっさい!性格が悪いのもいい加減にしなさいよ!それに、どんなに神具を扱うのがうまくても、最終的にはシホの方がこの世界を何とかする素養を持ってるんだからね!」
「そんなこと言ったって、神具を使いこなせなかったら最後の瞬間まで生き残れないんだから、意味がないでしょう。とにかく、結界の中では足手まといにならないようにしなさいよ」
「わかってるわよ!シュルだっているんだから、サポートはばっちりするわよ!ジェラルド、もう行きましょう!」
「タロス殿、良いですか」
アンリウォルズ先輩がタロちゃんに訊く。タロちゃんは頷いた。
私たちは馬車に乗って移動した。隊長だけでなくガリエス先輩とファラーグ先輩も一緒だった。ラヴィは空を飛んで馬車についてくる。
ガリエス先輩たちが来たのは、アンリウォルズ先輩が誘いをかけたからだった。
「魔法使いの疲労がかなりのものになってきているから、手伝ってもらえたらと思うんだが」
それをきいて、ガリエス先輩は一も二もなく同行を願い出た。ガリエス先輩が行くのならとファラーグ先輩も一緒に行くことにしたという感じだった。本当に仲がいいなあ。まあ、私もマリちゃんが危ないところに行くってきいたら護衛のために一緒に行くって申し出るけどね。
「今日は、タロス殿たちを入れて外に出す、その二回ほどは最低でも結界に干渉できると思うが、何かあったときのためにフロリゼルにもレイにもやり方を見ておいてほしい。タロス殿は自分で結界に干渉できるので自力での脱出が可能だが、アリス・ゼンは恐らくそれはできないだろうから、不測の事態に備えられる方法はいくらでもあった方がいい」
アンリウォルズ先輩の言葉に、隊長が重々しく頷く。それを見て、ガリエス先輩とファラーグ先輩の表情が引き締まった。私はすまなく思って隣に座っていたタロちゃんに訊いた。
「タロちゃん、結界に干渉するって、どうすればいいの」
「空間に干渉するようにイメージしながら魔力を集中して一点に投入しつつ薄く広げていく感じだな」
「なんか難しそうだねえ」
「魔素でならお前も似たような操作ができると思うんだが。筍の階と睡蓮の葉とを同時に使う感じと言ったらいいか」
「あー、なるほど。集中しつつ広げる感じね。でも、それを魔力でできるかって言ったら自信ないなあ」
「だろうな。まあお前は魔力を纏って結界の中を進むことだけにとりあえずは集中してくれ」
「それだけ?それって、私、役に立ててないんじゃないの?タロちゃん一人でもいいのでは?」
「俺も地下室にはまだ行ったことがない。かなり危険な感じがするし、俺一人で行って何かあったときのための備えは必要だ」
「私も一緒に遭難とかしなければいいけどね」
「不吉なことを言うな。とにかく、まずは地下室の調査だ。それからどうするかはその後で考える。お前の役割はそのときに決まるだろう」
馬車が止まった。降りると、魔法使いの一団が馬車の行く手に固まっていて、その少し先に青い空間があった。タロちゃんは、青いガラスを透かして見たような、と言っていたが、その通りだった。濃い青、というか薄い藍のような色の何かがその先とこちら側との間に立ち塞がっている感じだ。
「これが……」
呟きながらファラーグ先輩が前に出ようとしたが、それを隊長が止めた。
「国境と同じだ。あまり見ない方がいい」
国境、というのは世界の境のことで、それをじっと見てはいけないと言われている。目が潰れるからとか精神がどこかへ行ってしまうから、とか。私はそうは思わないんだけど。
私が生まれ育った高原は世界の境にぐるりと囲まれた場所で、森に入れば世界の境に出くわすことはしょっちゅうだった。世界の境は真っ黒で、その向こうに何かあるような感じがするけれど何も見えなくて、何もないとわかっているけれど「ない」があるというのが不思議で、子どもの頃、一人で森に入ったとき、私は世界の境を凝視していた。
だってさ、つい見ちゃうんだよね。その先に何かが見えそうで、でも見えなくて、っていうのを繰り返してさ。とはいえ、何度も繰り返していたら何も見えないというのは学ぶもので、いい加減途中で切り上げることを覚えたけど。
そんなことを思い出しながら私は結界に近づいた。魔法使いたちが私をよけて道をあけてくれる。
私の目から見た結界は世界の境とは違って見えた。世界の境とは違って、目の前の結界の先は確かに「あった」。何かにただ隔てられているだけで、その先には空間がある。
結界の前に立つと、手を伸ばし結界に触れてみた。手で触った感じは世界の境と同じだった。
「おい!」
後ろから手が伸びて、私の手を結界から離した。ガリエス先輩だった。
「お前、不用心すぎるぞ。素手で触るなんて、何が起こるかわからないのに」
「あー、ごめんなさい」
とりあえずは謝るが、それでも心からの謝罪にはなれない。世界の端にだって今まで何回も触っているけれど、何もなりはしなかった。
ここに来ても隠れていなかったホリィが呆れたように、
「あんたは平気かもしれないけど、他の人はそうはならないからね。人前でそういうことを考えなしにしない方がいいわよ。あんたの真似をしておかしなことになる人が出たらまずいからね」
「はーい」
一応大人しく返事をしておく。ガリエス先輩は安心できなかったようで、私の手を引いて結界から少し離れたところまで連れていった。
タロちゃんが呆れたようにそんな私の様子を見ながら、
「それじゃそろそろ始めるか。結界への干渉を頼む。シホは、いつでも神具を纏えるように準備しておいてくれ」
「わかった」
私の返事とともにホリィが羽衣を吐き出した。先輩の手を振り払って出てきた羽衣をつかみ、いつでも変身できるように魔力を羽衣に通す。
一方で、魔法使いたちは結界に向けて杖をかざし、魔力を結界の一点に向けて集中して照射し始めた。七人ほどの魔法使いがそうやっているうちに、魔力が当たっていた箇所の青が黒く変わってきた。
「シホ、神具を纏え」
タロちゃんは言いながら、自身はヴィーナがくわえていた小さな鏡の光を自分の体に当てていた。光はクリスタルのようなビーズの粒に変わり、それがタロちゃんの体にまとわりつく。
次の瞬間、タロちゃんの体が光り、それが収まったと思ったら、白づくめの衣装にその身は包まれていた。
「シホ」
タロちゃんの声かけに、私も羽衣に注ぐ魔力を強くした。ラヴィと話ができるようになって以降、魔力を自分で扱うという感覚がよくわかるようになった。何で前はこの感覚が全くなかったんだろうかと不思議に思うくらい。
こうなってわかるのは、魔素と魔力とでは本当に何もかもが違うということ。魔素と魔力は勿論そのものが違うけれど、そのあり方や扱い方も違う。魔素は周りにあるものを取り込んで使うけど、魔力は自分の中からひねり出す感じだ。だから、魔法を使った後はかなり疲れる。魔素術を使った後はそうでもないのに。
今回の変身では、衣装は白いドレスだった。ふわふわした羽のような飾りが襟元や肩、裾についている。白い手袋に白いブーツという白づくめだ。これもマリちゃんと考えたデザイン。ちょっとお嬢様っぽくてお上品な感じでいいんだけど、この衣装になったときってちょっと変身持続時間が他の衣装のときよりも短くなるんだよねえ。
「大丈夫、僕が助けるよ」
私の肩の上で姿を現したシュルが言った。ホリィもシュルも、私の変身の傾向はわかっているから、この衣装のときの変身ができる時間が短いのも知っている。
私はシュルに囁いた。
「ありがとう。よろしくね」
「シホ、準備ができたようだ。行くぞ」
タロちゃんの声かけに見ると、結界の青い部分が人が通れるほどの大きさでなくなっていた。その向こうに薄暗い町が続いていた。
「えー、僕も行きたいよー」
ラヴィに、タロちゃんがすぐに言った。
「駄目だ。お前が入ると結界の中の空間がどうなるかわからん」
「でも、小さくなったらさー」
「そういう問題じゃないの、わかってるでしょ。そこで大人しくしてなさい」
ホリィが言い、ラヴィは黙った。
すぐにタロちゃんは結界の中に入っていき、私もそれに続いて入った。
そして、結界に開いていた穴は閉じた。




