114 マリちゃんも行くってよ
私とマリちゃんは先輩たちに魔法部の部室へ連れていかれた。図書室で話すことじゃないだろうとファラーグ先輩が言ったからだった。勿論ホリィもついてくる。
確かにあそこでは話せないんだけど、ファラーグ先輩、もしかして事情を知ってる?
マリちゃんはマリちゃんで思わしげに私をちらちらと見ていた。何か私に訊きたそう。うん、私もマリちゃんに訊きたい。何でマリちゃんもストームのことを調べようと思ったのか。
魔法部の部室のうち、個室になっている部屋に入る。私とマリちゃんが並んで座り、相対してガリエス先輩とファラーグ先輩が座る。
それぞれが椅子に座ると、ガリエス先輩が対面に座る私たちに問うた。
「で、何でストームのことを調べていたんだ」
いや、何でそんな真剣に訊かれないといけないんだ。いろいろ訳ありかもしれないけど、自分の家の領地について調べられただけでさ。
マリちゃんが先に口を開いた。
「私は治癒術師局の依頼で今度ストームに行くことになったので、詳細を確認したかったんです」
私は驚きでマリちゃんを凝視した。どういうこと?ラヴィの修復にマリちゃんも同行するの?
「何でそんな依頼が?」
ガリエス先輩は当然の質問をする。
「王宮の魔術師たちがストームに遠征することになって、もしもけが人が出たときのために同行してほしいと」
「王宮が……?」
呆然とガリエス先輩が呟く。それから我に返ったように私を見て、
「シホ、君はなぜストームのことを調べていたんだ?」
「ええっと……どこにあるのかなあ、って?」
「だから何で」
そこでマリちゃんが何かに思い当たったように訊いてきた。
「もしかして、シホちゃんもストームに行くの?ストームには人形師も行くってきいたわ」
「いや、えっと」
「シホ、どういうことだ。何で人形師がストームに?あそこには何もないぞ」
「え、そうなんですか?いや、だからかな」
「シホ」
「シホちゃん?」
二人に迫られて、私は弱りきった。それを見ていたファラーグ先輩が、
「シホちゃん、話したらいいんじゃないの?ちなみに俺は大まかに知ってるけど」
「先輩?」
「レイ?」
「いや、義理の姉が宮廷魔術師団に所属しているのだけど、そちらからきいたんだ。ラヴィの修復をストームでやるって。修復は人形師がやるけど、それに伴ういろいろのために魔術師団が同行するんだって」
「ラヴィ?」
マリちゃんが小首を傾げながら私を見る。
「えっと……何て言ったらいいか」
「私たち神使とは同じではないけど、似たようなものよー」
ホリィが代わって言う。
「そうなんですか!それで人形師が行くんですね。それでシホちゃんも。納得しました」
「そう、そういうこと」
ファラーグ先輩はにこやかに言うが、いや先輩、そんなにあっさりばらしていいんですか。
私が無言で呻いていると、ガリエス先輩が言った。
「レイが言うことが正しいんだな。それでお前もそれに参加する、と。言わなかったのは、俺には黙っているようにと誰かから指示があったのか?」
「先輩にだけじゃないですよ。誰にも言うなって」
もう隠せないと思い、私は言った。ガリエス先輩の眉間に深い皺が寄る。
「お前、ストームがどういう場所かわかっているのか」
「先輩の家の領地でしょう?」
「何故ストームだけがうちの領地として残されているか、わかるか」
「領都だったから?」
「違う。あの土地は扱うのが難しい場所になってしまったので、取り上げられずに俺の家に残されただけなんだ」




