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急転直下

短いですが投稿します。

司馬欣しばきんは咸陽に滞在中、用心の為に自宅には戻らず城門の外の粗末な貧宿を使っていた。


張黶ちょうえんと接触してから何らかの動きがあることを(もちろん援軍)期待していたのだが、あくる日下男らしき男がおびえる様にやってきて涙ながらに司馬欣へ伝えるのだった。


「司馬欣様、咸陽は危険でございます。


我が主、張黶ちょうえんは趙高に捕らえられました。


それだけではありません。


章邯将軍のご一族、董嬰とうえい将軍のご一族、そして貴方様のご一族も既に趙高の手のものに捕らえられてございます。


一刻のゆうよもございません。


すぐに咸陽を脱出なさってください!」


司馬欣は絶句した。


下男は泣きながら


「もはや秦の命運は尽きました。


皇帝陛下に敗戦を知られた趙高はその責任を章邯将軍にかぶせ始末するつもりです。


司馬欣様あなただけでもお逃げください。


趙高は張黶ちょうえん様からあなたさまの事を掴むでしょう、ここは危険です」


さ、馬を用意しております。夜闇に紛れて再起をお謀りください。


ご武運を!」


「待て!我が家族はどうなったのだ!」


下男は悲壮な顔を隠そうともせず首を振る。


「それを確かめる余裕は残念ながらございません。


ですが、あの趙高が慈悲など与えるはずもございません。


これまでただ一つの例外もなく、みな処刑されております。


今はあなたさまの命が大事でございます。


なんとしても章邯将軍へこの現状をお伝え下さい。


もう援軍どころではございません!」


「なんと、なんということだ……」


司馬欣は衝撃のあまり呆然と立ち尽くしてしまったが、下男が強引に馬に乗せその尻を思いっきり叩いた。


「ヒン!」


高い声でいななくと直ぐに函谷関の方向へ目がけて走り去った。


「司馬欣様、どうかご無事で……」


馬に騎乗している司馬欣は涙で前が見えなかった。

「済まぬ、済まぬ張黶ちょうえん

そして妻よ、子らよ、父を許してくれ……あぁ」


こうして司馬欣は虎口を脱出することが出来、函谷関へ戻ることができた。

改めて書くと趙高の下衆さが際立つ……。

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