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夜襲の後

新年明けましておめでとうございます。

本年も國士無双をよろしくお願いします。

韓信は夜襲の結果を戦場を歩く事で確認していた。


まだあちこちで火がくすぶっており時折うめき声も聴こえ、さながら地獄絵図のようだった。


今宵の戦いは楚の勝利と言っても良いだろう。


夜襲に来た秦の部隊はほぼ全滅したようだ。


夜襲部隊を指揮していたのが王離おうりという将で秦の伝説的名将王翦おうせん※将軍の孫であった。


※王翦将軍……始皇帝が天下統一時に大活躍した将軍。

キングダムとかにも出るよ!

戦のみならず処世術にも長けており、猜疑心の強かった始皇帝からも自身と一族を守った。

功績が余りにも大きいと独裁者からは警戒されるのです。


王離おうりは項羽によって戟の柄で落馬させられ、捉縛された。



一方、黥布げいふ甬道ようどうを急襲し、破壊する事に成功する。


夜が更けていた事もあり、兵糧を運んでいる部隊はいなかったが、数十里に及ぶ甬道はしばらくは使えないだろう。


これにより秦軍の優位な点であった兵糧の多さが楚とほぼ同じ条件になってしまう。


十五万~二十万の兵を食わせていくには莫大な食料が必要である。人だけでなく馬もいるのだ。


まさに范増の狙いはその点であり、目論見は上手く行った。


楚陣営に攻め込んだ部隊だが、将は有名であったが兵の数はさほど多くはなかった。

一~二万ほどであろうか。


だが、これまで散々章邯にやられっぱなしであった楚軍にとっては値千金の勝利であった。


章邯は夜襲に失敗した事を悟るとさっさと後続の部隊を退却させ、自身も秦の陣へ戻り固く閉ざし守りに入ってしまった。


軍議の席上で范増が語る。


「ここはゆっくり様子を見ている場合ではありませぬ。


甬道ようどう を破壊し兵糧が秦も残りが少ないとは言え、楚はさらに少ないのです。


夜襲でお疲れかと思いますが部隊を三つに分け、交互に攻め立て秦を休ませてはなりませぬ。


これまで後手後手に回っておりましたが、始めて先手を取れる戦況になりました。


ここは死に物狂いに力押しで攻めるのです。」


項羽が立ち上がって言った。


「よし!我らはそれで行くぞ!

先鋒は俺が行く!二番手は黥布げいふ、三番手は季布きふ将軍にお願い致す」


「「応っ!!」」


范増が続けて

「それと伝令で早馬を鉅鹿きょろくへ出していただきたい。

既に秦軍と戦っている我が軍の存在は分かっているでしょうが、籠城とは過酷なもの。

援なき場合は特にです。

ここで我が軍が秦と戦っている、この状況を知れば趙は歓喜しましょう。

趙王、張耳殿に門を開け我が軍と呼応して挟み撃ちを進言するのです」


「よし、伝令は任せた!!

俺は出る!!」


言うや項羽はすぐに出て行ってしまう。


慌てて兵達がその後を追うまでがいつもの光景だ。


「それでは我らはしばし休息だ。

油断はするなよ?

充分とは言えんが兵と馬に食事をさせよ!

それと戦況によってはすぐ戦う事になるかもしれん。

各自そのつもりで!」


黥布げいふが的確に指示を飛ばす。


項羽が仕掛けた背水の陣、戦いは佳境へと向かっていた。




新登場人物、王離、季布

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