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甬道

短いですがアップします。

簡単なあらすじ~


楚軍は食料を捨て船を壊し退路を断って決死の覚悟で章邯率いる秦軍と雌雄を決さんとしていた。


だが敵将章邯に翻弄され初日は秦に軍配が挙がる。


その日の夕刻の軍議にて両陣営とも同じ作戦を考えていた。





范増が問う。


「時に黥布げいふ将軍。

将軍は甬道ようどうはご存知ですかな?」


甬道ようどうですか?

いや?残念ながら」

黥布げいふは首をひねる。


「将軍は以前、咸陽付近で秦の工事に携わっていた人夫、工夫だったと聞き及んでおります」


「いや、お恥ずかしい。

ちと何人か殺してしまいましてな!

ははは!……、それが何か?」


「ふむ、将軍も聞いたこと無いとは。


では甬道ようどうは全くの章邯の創作となりましょうな。


甬道ようどうとは元々宮殿同士を繋ぐ回廊に使われた道路の事。


章邯の恐るべきは甬道ようどうを本来の使い方ではなく兵糧を運び込む為に作った事です。


黄河より秦の陣地へ運び入れる兵糧専用の道路。


ほぼ西へ一直線に真っ直ぐ伸び、石を敷き詰め荷車が通り易い様に工夫されております。


さらに石を積み上げ、壁を作る事により敵襲から兵糧を守りながら運ぶ事ができるものです。


秦は首都咸陽から北方の万里の長城へいち早く軍を送るための道路を築いておりましたからその技を使ったものと思われます」


范増の話を聞いた韓信は戦慄した。

このような道の話など古今東西聞いたこともない……


兵糧を運び込むだけに専用の道を築くなどとは。


何と恐るべき発想!

しかもこの短時間で築きあげたという。


韓信はドキドキと心臓が早鐘のように響いているのが自分で分かった。

身体の奥から驚きと興奮とそして押さえがたい衝動を同時に感じる。


(ああ……、章邯という将は一体どんな男なのか?!


願わくば!章邯と戦い知勇を競ってみたい!


章邯はどんな奇策を繰り出してくるのか!?)


韓信の込み上げてくる思いを余所よそに范増が淡々と説明する。


黥布げいふ将軍にはこの甬道ようどうへ当たっていただきます。

既に夜に入りますから兵糧を運び入れはしておらぬでしょうが、壁を破壊し道を塞ぎ兵糧を運ばせないお役目です。


これは将軍にしか務まりませぬ。

実際に人夫として働き、秦の工法を知っている黥布げいふ殿しか


作り方を知っていれば壊すのも早い。

違いますかな?」


その言葉に黥布げいふは背筋がぴんと張る思いがした。

「承知しました!」


「さて他の部隊ですが……」

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