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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
791/812

第164話-5 仕組まれた暴発という名の反乱

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。

 一太刀―…。

 それが軽くではあるが、「若大将」に入る。

 言葉に出すことはできないだろう。

 何が起こったのかは分からない。

 「若大将」は、自分がどうされたのか分からない。

 分かるはずもないだろう。

 戦闘の訓練を受けたわけではない。

 そんな一般人なのかは分からないが、戦闘素人に対して、達人かどうかは分からないが、戦闘慣れした人の動きを越えることができる者の一撃がどういうものであるのかを―…。

 だけど、それでも何もかもが分からないわけではない。

 人は白と黒とはっきりとさせたがるだろうが、現実はそんな簡単に白とか黒とか、とはっきりさせるようなことはできない。

 人は、完全に物事の全てを把握できる存在でもないし、できない存在でもない。

 物事の全てを把握するのであれば、人に成長というものはなく、ただ惰性のものでしかなく、物事の全てを把握することができない存在であれば、そもそもこの場で生き残っていることすらできない。

 なのに、人はある段階において、できたとか、できないとか、という区別をつける。そのことによって、自らの心を安定させようとしているからであろうか?

 この不安定とも言えるかもしれない世界において、安寧の地を欲するがゆえに―…。

 そして、「若大将」が大きなダメージを受けるようなことはなかった。

 なぜなら、何となく嫌な予感がした「若大将」の両側にいた護衛もしくは用心棒と言える人物の二人が、距離を少しだけ取ることをしたからだ。

 それは本能の類であり―…。

 (クソッ!!!)

 用心棒の片方に、後悔の念を抱かせるほどには、ダメージを与えることになった。

 そして、用心棒が領主側に雇われたと思われるリーダーと目される人物の動きを読むことができなかった。武器は一般的な片刃になっている剣であり、その剣がいつの間にか抜刀されていたのだ。

 ゆえに、この「若大将」を斬った人物が自分達には敵わないと思えることぐらいはすぐに分かった。

 いくら用心棒であったとしても、天成獣の宿っている武器を誰もが扱っているわけでもないし、選ばれているわけでもないし、手にすることができるわけでもない。

 天成獣の宿っている武器を手にするには伝手も必要だが、同時に、その人自身の運というものもまた、必要なのである。

 そうである以上、巡り合わせという言葉がきっと当て嵌まるだろうし、否定することもできない。

 そして、気づかないうちに「若大将」は、自分達の陥っている状態を判断しないといけなくなる。


 ―虐殺ショーの時間だ―


 領主側に雇われた者の中のリーダーと思われる人物のさっきの言葉が反芻する。

 その言葉の意味は、理解できる。

 なぜ、そうなるのかも分からないわけではない。

 だけど、咄嗟に起こったことを簡単に判断できるほど、戦闘慣れもしているわけではないし、危機の状態を理解しないといけない身に落ちたことはここしばらくないのだ。

 ゆえに、判断が遅れるし、そうなったとしても仕方のないことだ。

 そろそろ聞こえるだろう。

 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」

 「攻撃をしてきたぞ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 「逃げろ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 その声は、「若大将」にも聞こえた。

 聞こえないはずがないだろう。

 そして、ここではすでに、さっきの領主側に雇われた者達や衛兵が束になって、領主の館の入口にやってきたスラム街の者達を殺し始めたのだ。

 彼らにとっては、仕事であると同時に、一部には、この殺しに歓喜を感じている者もいる。

 心の中に残虐性というものを秘めていて、それが顕著になっているのだろう。

 人の心の中に、残虐性というものがないと思っている人がいるのなら、その人は自らの心のある一面に関して、何も目を向けていないということになっているし、自分は綺麗な人間であると盲目に信じているだけの愚か者でしかない。

 人は自らの歴史の中で狩猟を行ってきたし、何かしらの命を狩るという行為を避けて通れるほど世界は優しいものではない。

 ただし、ここで、人が虐殺されることを仕方ないと思っている人がいるのなら、それもまた間違ったことであろう。

 ここで言いたいのは、人の心の中に残虐性というものがないと思ってはいけないし、誰しもが持っていて当然なことであるが、その気持ちというものを社会の中で出すのは憚られるものであり、その残虐性を解放するようなことをしてしまえば、社会を破滅へと向かわせるだけの存在にしかならない。

 要は、人というものは個人の感情もあるのだけれど、社会の中で、他者との関係を上手くやっていくためには、人の中にある心の中に持っているものを、時には出してはいけない、ということがあり、残虐性というものはその中に含まれることが多いということであり、残虐性というものが良い感情であると肯定することはできない、ということなのである。

 主観性というものが入ってしまっているのだろうが、今、段階における一つの考えと思っていただきたい。批判はあるだろうし、そのことは決して悪いことではないと思っている。

 なぜなら、人の視点というものは個人において、何らかの欠落があることを避けられない以上、他者の意見を聞きながら、しっかりと自分の中で考え、自らの意見というものの幅を広げないといけない。

 そう、世界を広げる、という言葉を実践していることを証明し、自らが生き残るためにやっていかないといけない。

 さて、話が逸れたので、戻すことにしよう。

 その悲鳴や大声の類は、「若大将」に考えるという時間を与えるのことになる。

 (……………………殺しに来た!!!)

 どこかしら気持ちの中に、領主がスラム街の住民を殺すようなことはしないだろう、という気持ちがあったのだろう。

 だけど、現実は時に残酷な面を見せる。

 この世界における行動というものは、自分の行動が自分の思い通りになるとは限らないし、その逆もあり、それは、自分とそれ以外の選択と実行が交わったものでしかなく、その交わりは常におこなわれており、その交わりに反応することによって、再度、自分は何かしらの選択をして、行動しているだけに過ぎないのだから―…。

 だからこそ、分かっていたとしても、僅かばかりの淡い希望というもののせいで、驚きというものが発生してもおかしくはないし、判断が遅れることもある、というわけだ。

 「兎に角、皆さん、ここから逃げて領主のもとへ!!!」

 「若大将」はその言葉しか言えなかった。

 生き残れる者がいなければ、領主に自分達の気持ちが届くことはないし、このまま戦闘に類似したようなことになれば、戦闘訓練を受けている領主側の衛兵や兵士の方が有利なのは分かっている。

 だからこそ、少しでも複雑な街路となっている場所へと一人でも多くを逃がし、そこから隠れながら領主の館を目指して、侵入し、領主へと直接、見えるしか方法は残されていないのだ。

 「若大将」だって分かっている。

 このことが、可能性の低いことであり、失敗する可能性が物凄く高いものであることぐらいは―…。

 賭けるしかない。

 すでに、依頼を受けてくれた傭兵がいるのだから、彼らに任せるしかない。

 それぐらいに自分達の状況は悪化しており、鎮圧されるのは時間の問題であると―…。

 民間人であったとしても、領主、権力者側に反抗することは、敗北すれば、権力者側によって殺されるということを―…。

 自らの命が失われることに恐怖の感情を抱かない人間はいないだろう。

 軍人であろうが、そこに変わりはないのかもしれない。

 自分の命が奪われることを心の奥底から恐れない人間は本当にこの世にいるのだろうか?

 もし、そのような存在がいるのであれば、稀少な存在であり、生き残れるか不安な存在でしかない。そのことぐらいは、想像はできようが、現実であるかどうかの判断は、実際に、そういう人に会わない限り分からないことに間違いない。

 想像は空想に近い類のものでしかない。

 だけど、この想像を完全に馬鹿にすることはできない。

 想像が可能性という存在になることができる以上は―…。

 そして、「若大将」の言葉を聞いた者達は、一斉に、逃げるような行動をとる。

 だけど、戦闘訓練を受けているわけでもないし、一人一人が自分以外の走るスピードや逃げ足の類を知っているわけではない以上、ぶつかったりして、倒れたりして、それがドミノのようになることだって発生するし、現に起きている。

 そういう意味で、「若大将」と呼ばれている者は、指揮をする経験がなかった以上、こうなったとしてもおかしくはないだろうが、今回は人の命に関わることになる以上、「若大将」に責任が発生するのは当然のことであろう。

 「若大将」本人も自分に責任がないとは一切、感じていないだろうし、この惨劇を生き残ることができたとしても、後悔がない日々は訪れるようなことはない。

 人の人生に後悔がない時など、本当に存在するのだろうかと思えるぐらいに何かしらの後悔は残っているものであり、だけど、それを一時的に忘れることによって、幸せに過ごせるのかもしれない。これは一つの可能性でしかないのだが―…。

 そんな混乱の発生している中にあったとしても、逃げれる人はいるだろうし、実際に、逃げることに上手くいく人もいる。

 それ以上に、多くの者が衛兵や、領主に雇われた傭兵たちによって殺されていく。

 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 「死ねぇ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 悲喜交々する声たち。

 その一部でしかないが、衛兵がスラム街の者を殺そうとしている声、それ以外にも悲鳴。

 逃げ惑う者の声。

 その声は混じり合い、何が何かを理解させるのを拒むようにさせる。

 そんな中、「若大将」と呼ばれている人物は、心の中で考える。

 (考える暇なんてない。兎に角、必死にここから―…。)

 「逃げよう」と考えるのであるが、それは、今、この場で殺された者に背を向けるのではないかという気持ちが出てくる。

 すでに、自分は軽い傷を負っているので、逃げたとしても文句を言われるようなことはないだろうという気持ちは一切ないが、後悔する日々が訪れてしまうのであれば、自分はこの場で―…。

 そのように思い始めようとした時―…。

 血飛沫が上がるのが見える。

 それは、用心棒に雇っている人間が、領主側の雇った傭兵のリーダーと思われる人物に真っ二つに斬られるのだった。

 さっき、「若大将」を殺されるのを何とか回避した片方―…。

 そして、もう片方もすでに倒れていた。

 辺りには、血の海ができており、とても助かるようなものではなかった。

 真っ二つにされた者は、もう生きてすらいないだろう。

 この世界に戻ることができなくなっている。

 「若大将」は言葉にすることができない。

 そう、こんな悲惨な光景をもう数年ほど見ていないし、さらに、自分の判断のミスで、大きな犠牲が出ていることに無意識に気づいてしまっている以上、その大きさという重石によって動けなくなってしまっている。

 だけど、動かなければ、自分もまた―…。

 そう、近づいてくる。

 トン、トン、トン。

 音をさせているわけではないが、ゆっくりと歩いてくるように―…。

 スラム街の人間の実力は分かっている。

 そのように領主側が雇った傭兵の中でリーダーと思われる人物は、そのように認識する。

 どんな手に入れられる情報が僅かなものであったとしても、判断を下さないといけないことは往々にしてあるし、情報を完璧に集められるようなことは現実、存在しないし、理論上も無理であろう。

 人という存在である以上―…。

 いや、情報を手に入れることに時間というものを消費している限りは―…。

 残念ながら、このことから逃れることはできないし、人とは違うという認識を抱いたとしても意味はないだろう。

 だからこそ、人は限られた情報で判断しないといけないことが成り立ち、その中で上手く世界とやっていくしかない。

 残念なことに―…。

 そして、歩き終え―…。

 (あまりにも簡単な仕事だな。)

 リーダーと思われる人物は心の中でそう言いながら、剣で「若大将」を真っ二つにしようとする―…。

 だが―…。

 「!!!」

 リーダーと思われる人物は、吹き飛ばされたのであった。

 斬られたのではない。

 押されたのだ。物理的に―…。

 そのことをすぐに理解したからこそ、リーダーと思われる人物はすぐに体勢を立て直し、地面に着地して、「若大将」のいる方へと視線を向けるのだった。

 (少女?)

 そう、「若大将」と呼ばれる人物の近くには、銀色のマフラーをした少女がおり、その少女がどうやって、吹き飛ばすようなことをしたのか分からないが、危険な存在と感じたリーダーと思われる人物は―…。

 「スラム街の人間か?」

 そう、つい尋ねてしまう。

 ここで、スラム街に関係のない人間を殺したとしても、よっぽどのことがない限り、問題がないのは分かっている。

 なぜなら、誰がスラム街の人間で、そうでないのかは主要な人物以外は分からないからだし、このような場にいるということは、その危険を理解した上でいる以上、自己責任となるからだと考えているからだ。

 まあ、その自己責任の追及もどこまで適用できるかは分からないし、全ての人間が危険だと認識ができるわけではない以上、簡単に自己責任を問うのは問題であることに間違いない。

 なぜなら、自己責任を他者に向かって追及する人間にろくな人間はいないのだから―…。それは結局、他人のせいにするだけの存在でしかないのだから―…。

 そして、リーダーと思われる人物の今の言葉が聞こえたのか、少女は言う。

 「依頼を遂行しに来た。」

 そう、この少女はアイラであり、彼女は、依頼のため、この場に来ただけに過ぎない。


 【第164話 Fin】


次回、数的に差が―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。


では―…。

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