第164話-4 仕組まれた暴発という名の反乱
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。
そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。
詳しくは本編を読み進めて欲しい。
そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。
一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。
そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。
領主の館の正門。
そこには―…。
『スラム街を潰すな!!!』
と、叫ぶ声が聞こえるのだった。
この声は素直なものであり、決して、領主側に対して文句を言っているのではない。
大事なのは、彼らにはこの声を上げる意味があり、それは正当なものであることは間違いないのだ。
自分達の住んでいる場所を守るため、生きるため。
そのような主張であったとしても、報われるかどうかは分からないものであり、多くは時に残念な結果になることであろう。
だけど、主張をしなければ、何も始まらないのも確かであり、察することができる人はかなり稀少なものであり、気づけて対策できる人はさらに難しいのかもしれないし、かつ、稀少を遥かに通り越したことでしかない。
そして、その察して、気づけて、対策することが、時に、良い結果を導き出すこと、社会や国家などにおいてもたらされることは往々にしてある。
そのことを妥協したから駄目だとか考えているような者達にとっては分からないことであろうが、人という存在は完璧でもなければ完全でもないし、物事の全部が全部を完全に把握することなどできやしないのに、どの口が自らは無意識のうちに人である存在の定義を踏み出すことができるのだろうか?
いや、その定義を踏み出すことはそんな簡単なことでも、簡単できると思って良いようなものではないし、そのために使う労力は時に大きなものなのだ。覚悟がなければならない。
さて、話がかなり逸れてしまったのだが、要は、スラム街の者達の主張が領主の側であり、イスドラークの領主であるバウネッターに通じるとは限らず、結果として、最悪の結果をスラム街の者達にもたらすことだってある。だけど、何も主張しなければ、只々、結果を悪くするだけなのだ。
世界は無常だ。優しくも厳しいのだ。いや、残酷なものと幸運の双方をもたらすのだ。
これを正確に言うためには、善と悪は主観的なものにすぎず、誰かしらの、何かしらの偏見に近いものが避けることができないものが宿るのであり、世界の中で自らにとって起こるものもまた、これと同じなのであろう。
だからこそ、気持ちの持ちようによって、何とかなる可能性は気持ちの面ではあるだろう。そして、ただ、思うのではなく、時に冷静に考えることも、悲観に近い気持ちになることも大切であろう。
悲観は悲しい気持ちや感じ方なのであろうが、結局は、いろんな面を考えるためには時に必要なものであり、それを悪いばかりで考えるようなことをするよりも、それすらも楽しむのも良いのではないだろうか?
かなり難しいことであるかもしれないが―…。気持ちの面で少しでも改善することができるのであれば、少しぐらい縋っても良いのではないか?
話を戻して、スラム街の者達の言葉は続く。
『スラム街を潰すな!!!』
同じ言葉を叫ぶ。
その主張は、間接的ではなく直接的に―…。
相手に自分の意思を伝えるのだ。
そして、間接的に言っても理解されないということが分かっているからこそ、しっかりと分かるように言わないといけない。
なぜなら、彼らは常にスラム街を潰すことによって、このイスドラークという都市が美しく綺麗な都市として栄えられるのだと本気で信じているのだから―…。
その可能性を完全に捨てるようなことはできないが、本当の意味で良い結果になるかは、未来のある一地点で判断されることなので、ここで成功するとか失敗するとか断言することはできないが、決して、多くの人々にとって良い未来だとは思えない結果が導かれる可能性は高いであろう。
『スラム街を潰すな!!!』
その言葉を続ける。
受け入れられるその時まで―…。
そこに嘘や偽りの類が混ざっている場合もあるが、もしそのようなものであれば、結果としては、想像すれば簡単に分かることであろう。
騙す人間への制裁はかなりのものとなるだろう。
怒りという感情は、人を猛烈に動かす原動力となり得るのだから―…。
だけど、それが良い結果をもたらすかどうかは、実際に起こってみないと分からないケースバイケースのものなのであるが―…。
そして、その場に―…。
「!!!」
館の入り口を守っている衛兵の前に、十人前後の人物がジャンプから着地するように登場するのだった。
そのことに気づいたのか、彼らが着地する前に、『スラム街を潰すな』と言っていた者達が少しだけ後ろに下がるのだった。
そして、「若大将」の前にも、その人物のうちの一人が着地するのだった。
(………………噂には聞いていましたが、領主バウネッターが人智を越えた人間を数人雇ったとか。人数は―…。十人前後―…………………。兎に角、攻撃されないようにしないといけない。交渉が重要です。)
「若大将」と呼ばれている人は分かっている。
彼らが自分達を簡単に殺すことができるほどの実力を有しており、この数であったとしても圧倒的な実力で勝利できるどころか、虐殺という場面になったとしてもおかしくはないのだからこそ、「若大将」と呼ばれる人は武力で敵わないからこそ、交渉という作戦へと移行しようと考えるのだった。
この考え方は、自分達と相手の武力という面の実力を考えれば、妥当なことであり、この場においても「若大将」の冷静さというものはしっかりとあり、かなりの頭の良さがあるのではないかと思ってもおかしくはないだろうし、評価もできるであろう。
まあ、一つの面を見て、その人の全てを評価した気になってしまうのはいけないことであることを承知した上でのことであるが―…。
さて、「若大将」は交渉へと移行するにしても、相手にその気がなければ意味がないし、相手側の方が何を考えているのかを探らないといけない。
だけど―…。
「ほお~、こんなにもスラム街の者が集まっているとはなぁ~。俺らとしては、お前らのような真面目な奴らを殺すのは忍びないとは思っているんだよ。」
リーダーと思われる人の口から出た言葉はこれだ。
まるで、自分は積極的に残虐なことをやりたかったわけではないということを言っているが、やらないといけないということを暗に示している。
その気持ちに対して、忍びない気持ちはあるのだが、相手側から言わせれば、そんな理由で、という類のものでしかない。
だけど、そのことに配慮してしまえば、悪夢という代償を支払ってしまうと思い、配慮はすることはできない。自分の精神というものを守ることができなければ、何かをやりたいという気持ちを発火させるようなことが難しくなり、ただ生きているだけの存在になるだけだ。そのような人生の全てを否定するようなことはできないが、そこにある何かをしたいという気持ちを蔑ろにしてしまえば、結局、何のために生きているのかという問いすら浮かばないような存在になってしまうだけだ。
何のために生きるのかを考えることは決して間違っていないし、それは反省と同じような作用を持ち合わせている。そう、自分はこれで良かったのだろうか、正しかったのだろうか、というように自分の過去をしっかりと見つめ、向き合うための行為をおこなっているのであり、人生のしっかりとした軌道修正をしようとしていたり、自分を次のステージへと向かわせる要因にもなっている。
要は、何のために生きているのかを考えるのは、人という存在が完璧にも完全にもなれるはずがないということと、そこに近づくことしかできない、ということを暗に示し、そして、生き残るために必要な新たな可能性を見出そうとしているのだ。
自分の中への意識的な気づきという面を認識させるための―…。
そして、領主側に雇われた天成獣の宿っている武器を扱う者達の中のリーダーと思われる人物は、最初の言葉を言った後に、少しだけの時間を間というものを開ける。
その間というものは隙になるように第三者から見れば思われるかもしれないが、このような強い者と明らかな戦闘力の弱者にとっては、その隙というもの事態が隙になることはかなり低い。相手の実力をある程度、理解しているからこそ起こすことができるという条件を加えないといけないが―…。
そして―…。
「だけど、俺らの雇い主である領主バウネッター様の命令である以上、しっかりと報酬分の仕事をしないといけないよなぁ~。」
そう、その目は、罪の意識なのではない。
あるのは、命令である以上、しっかりとそれを有言実行しないといけないのだ。
プロである以上は―…。
まあ、世間のことが考えられないというわけではないが、領主の権力から考えて、今度のことはしっかりと揉み消すことができるだろうし、領主に逆らう人間がどうなるのかを示す好材料となることぐらいは想像できる。
印象に残りやすい方法は、それだけ人々の記憶の中にこびりつくものだ。
それをリーダーと思われる人物は認識できているからこそ、彼らとの会話という時間は無駄であるし、少しだけの猶予を与えて逃げる時間を確保しようとしたのであるが、そんな裏の意図に気づくようなものはいないだろうし、それに気づけるのであれば、こんな馬鹿な真似はしないだろう。
権力に歯向かうというのは、結局において、歯向かった者達が掲げる目的を達成できる可能性はほぼ皆無というものであるのだ。
まあ、この世に絶対というものがないのは、人が完全で完璧な存在になれない以上、避けることのできないものなのであるが―…。
「じゃあ、行こうか。虐殺ショーの時間だ。」
大きな声で言う必要はない。
メンバーの全員もやるべきことが分かっているので、リーダーと思われる人物の声を聞くことに集中することだけを考えれば良い。
ここには、あの一族のメンバーはいないのだから―…。
そして、この場は悲惨な場となるのであった。
数々の悲鳴とともに―…。
第164話-5 仕組まれた暴発という名の反乱 に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていくと思います。
では―…。




