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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
789/812

第164話-3 仕組まれた暴発という名の反乱

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。

 イスドラーク。

 領主の館の正門。

 そこには人々が大量に集まっており、何かしらのことが今、まさに起こってもおかしくはなかった。

 それは、決して、祭りという類のものではないことは確かであり、人々はそんな喜びと祝祭があるのだという感情とは真反対のものである。

 なぜ、そのようなことになっているのか?

 それは、このイスドラークの領主がスラム街を潰そうとしていて、スラム街の住民の纏め役とされるイブラミーが暗殺されてしまい、その首謀者が今のイスドラークの領主であるバウネッターだからだ。

 ゆえに、バウネッターに対する感情は、とてもではないが良いものではなく、その領主を地位から引きずり落として、自分達のスラム街を守ろうとしているのだ。

 そう、これは反乱であり、クーデターでもある。

 または、革命と言っても良いかもしれない。

 そんな緊迫の状況を作り出したのは、スラム街の者達ではなく、根本の原因はバウネッター自身であり、彼もそのことに気づいているだろうが、双方における気づきの中身にはかなりの違いがある。

 スラム街側は、潰されることに気づいた上で、人々も排除しようとしており、決死の覚悟であり、バウネッターの側は、前者の二つに関しては同じであるが、最後の方は違う。

 それは、これから自分のスラム街の潰滅することによって、イスドラークは美しく、汚れのないものとなり、かつ、素晴らしいイスドラークの繁栄を迎えることになることである。

 要は、生死を賭けたものであるか、繁栄を狙ったものであるか、の違いであることが分かる。

 だけど、前後のことが示されなければ、解釈の違いを起こしてもおかしなものでしかない。

 そして、今回のスラム街の者達の覚悟は、バウネッターの気持ちよりは比べ物にならないぐらいに、強いものであるが、武力の前には通じない場合だって存在する。

 権力とは、時にそれほどの力を発揮するのだ。

 権力者側にとって、気持ちが良いものであったとしても、本当の意味で利益やメリットになることはないとしても―…。

 さて、話が逸れたので戻すと、スラム街の者の覚悟は相当なものであることを理解して欲しい。

 彼らは叫ぶ。

 『スラム街を潰すな!!!』

 その言葉は切実な思いであり、参加していない者でも、彼らの気持ちが伝わるほどの勢いだ。

 そんななか―…。

 (………こんな数を相手にできるかよ。いくら武器を持っていたとしても、あんなのに睨まれたら、一溜りもない。)

 (………………………うっ~、何でこんな日に当番なんだよ。ふざけるなよ!!!)

 (………………こんな奴ら、全員、死ねば良いのに―…。)

 領主の館の正門を守っている衛兵達は、口には出さないが、このような思いを抱いている。

 彼らに共通するのは、スラム街の人達を自らの下に見ているということだ。

 衛兵の中にはスラム街の出身の人もいるが、彼らは領主側の人間との間に人脈があったからこそ、下っ端として、領主側のピンチの時の捨て駒程度に雇われることができただけで、給料もそれなりに貰えるような立場になっただけに過ぎない。

 要は、スラム街出身の衛兵の者は、領主側からも下に見られており、軽蔑の対象でしかないということだ。

 話が逸れたが、衛兵達も領主側の影響で、自分より下の者を見下すような気持ちで見るようになるという良くない影響を受けてしまっており、そのせいで、スラム街の人々の気持ちや実態というものが見えなくなってしまっているのだ。

 スラム街の実態を知ったからと言って、何かができるほどの権力や影響力を実際に有していると断言できるかと言えば、その逆でしかないだろうが、完全に無力であるということは否定しないといけないであろう。

 これもまた、本当の意味ではやってみなければどうなるか分からない、と言った、そういう類のものであろう。

 人における未来の認識はすべてを理解しているわけではないだろうが、何もかも理解できないわけではないだろうし、大まかな予想が当たることもあるぐらいには無知ではないだろう。

 そして、何が起こるかも分からないと言えるものでもあろう。

 ゆえに、人はいろんなことを学び、未来のある一地点に対して、少しでも明るくしていこうとする。そこが最悪の結末になることを完全に避けることができないとしても―…。

 衛兵達は、スラム街の見下しながらも、彼らに恐れというものを抱いている者達だって、この場にはいる。

 数だ。

 目の前ではっきりと大勢だと分かる数がいれば、自分はこんな波には勝てないという思いを抱いたとしてもおかしくはない。

 ここで大事なのは、人ははっきりとした数値で物事を判断するのではなく、大まかなという曖昧性を持ち合わせた上で、主観的に判断しているものであり、さらに人によってこの人の視点に立った時には少しだけもしくはかなり違う判断を下してもおかしくない、ということである。

 それに、正確に数えるというのは時間をかなり消費してしまうものであるし、把握を結論付ける上では良いのだが、時間の区切りが存在している可能性があり、かつ、時間が差し迫っており、数える時間もなく判断を下さないといけない時に、大まかであったとしても結論に達せないのは、選択ミスの可能性をはらむものであり、最悪の結果を導くことがあり、適したタイミングを逃すという結果になってもおかしくはないのだから―…。

 そういう意味では、把握するというのは時間との間に、制約の関係を見出すこともできるかもしれない。

 衛兵の中には、怖さ以外の感情を抱く者がいるが、そういう者は怖さに気づかないわけではないが、怖さという感情がないと思っておかないと自分の気持ちが保てないのか、優位性が崩壊してしまうのではないかと、無意識に思っているからであろう。

 勇ましさの中に、不安があるように―…。

 (……………………………近づくなよ、これ以上―…。)

 別の衛兵にとっては、恐怖という感情と同時に、これ以上近づいてきてしまったら、自分は攻撃してしまいそうだし、しないといけなくなる。

 衛兵である以上、やらないといけない仕事なのだが、殺しが専門というわけではない。

 あくまでも、屋敷を不法侵入者から守るというのが仕事であり、守るために相手を捕まえることなら、いくらでもしようとは思わないが、仕事であると割り切ることは可能である。

 だが、時には殺さないといけない場合もあるので、その時も割り切れるかは不明であろうが、しないといけないことだけは確かであろう。

 そして、殺意というものは感じられるが、それが領主に向けられていることだけは十分に理解している。

 領主のやっていることがおかしいことには気づいているが、結局、自分には力はないし、諫言すれば、自分の地位が危ぶまれるし、自分だけではなく家族にも知り合いにも被害が及ぶのではないかと思っている以上、批判するのには勇気というものが必要であり、それはないのだ、この衛兵は―…。

 そんな衛兵達の気持ちがあるのだが、そのような気持ちをバウネッターという領主は、理解することはしないだろうし、スラム街を潰した後の自らがイスドラークを繁栄させるという考えに取りつかれており、他を考慮するようなことはない。

 自分が世界の中心であり、自分のやることが全て正しいのだと思っているのだ。現実においても、そうではないということに気づける機会もあり、サンバリアとの相手の場合は、気づいているのだが、それ以外の場面では気づいていないような、矛盾な振る舞いをする。

 これは人という存在は逃れることができないのだろうか?

 行動を善悪で判断しているからこそ、矛盾というものが起きているのだろうか?

 疑問に思ってしまうことであるが、これは、人が物事を完全に把握することができないことによるものなのであろう。

 そして、衛兵達の気持ちに気づくこともなく、スラム街の者達は必死に訴える。

 『スラム街を潰すな!!!』

 その声が上がり続ける。

 自分達がどれだけの生命の危機にあり、そのことにしか集中できない状況が続いているのか―…。


 一方で―…。

 領主の館の正門が見える場所。

 そこでは、何人もの人物がいる。

 さらに、一人の人物が現れる。

 「皆様、バウネッター様より指令です。あの正門に集まっているスラム街の虫どもを始末しろ、と。」

 現れた一人の人物が言う。

 この言葉は、バウネッターより受けた指令を一言一句、間違えることないように言ったものであり、バウネッターの忠実な部下の一人として、バウネッターの怒りを買わないように、バウネッターからの旨味を得続けるために―…。

 そのような感情は、権力者に寄生する権益者そのものであり、自分以外の周りがどうなったとしても、気にすることもしない、愚か者である。

 そのような愚か者というものは、自分が満たされるような気持ちになったことがない存在であり、結局は、本当の意味で、一回は満足する機会を得られなかった可哀想な存在であり、これが続けば、周囲を不幸にさせるだけの存在にしかならない。

 その不幸な存在は、最悪の場合、社会や国家を滅ぼす結果を導いてしまってもおかしくないので、さっさと大事に至る前に倒さないと、取り返しのつかないことになる場合だってある。

 だけど、そんなことが簡単にできるのであれば、誰も苦労はしないのだろうが―…。

 「そうか、分かった。」

 この兵士たちのリーダーと思われる者達が返事をする。

 指令というか、命令である以上、どんな理不尽なものであったとしても、受けるしかないし、こちらが不利になれば、バウネッターの依頼を突っぱねるだけの実力を有しているが、資金は必要だ。

 一応、傭兵として雇われている以上―…。

 「始末ってことは、殺しても構わないということ?」

 別の人がバウネッターの指令を伝えてきた者に疑問を言う。

 確認する必要があると判断したからであろうが、その判断は、しっかりと言質を残しておくという意味であろう。

 もしも領主とこちら側で食い違いが発生した場合、自分達に責任はないということを証明するためのものである。

 それに、自分達を蔑ろにするようなことは、こちらの実力が明らかに上である以上、できないと思っているからだ。

 そして、バウネッターの指令を伝えてきた者は、考えることもなく―…。

 「そうで構いません。バウネッター様は、イスドラークの美しさの中での発展をお望みです。」

 嘘を吐いてはない。

 バウネッターは日頃から、スラム街の汚さを嫌っており、スラム街を潰して、美しい街を作ろうと、何度も何度も耳に胼胝(たこ)ができるぐらいには言っているのだから―…。

 そして、この今の言葉を聞いて―…。

 「分かったわ。」

 そして、リーダーと思われる人物は―…。

 「いくぞ!!!」

 彼らは、一瞬にして消えるのだった。

 いや、正確に言えば、領主の館の正門の方へと移動したのだ。

 その出来事を見て―…。

 (彼らを味方にしたのは正解だったようだ。天成獣の宿っている武器を扱う者の実力は人智を越えています。では―…。)

と、心の中で言いながら、バウネッターの指令を伝えた者は、どこかへと向かうのであった。


第164話-4 仕組まれた暴発という名の反乱 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。


では―…。


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