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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
784/812

第162話-3 欲深き者はより良い自身の欲を求めることには真面目なことである

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 一方―…。

 「はあ~あ。」

 目を覚ましたアーサルエルは、のんびりとした表情をしていた。

 いつ、クーデターが起こったとしてもおかしくない状態なのに、こんなにのんびりできるのは大物だからであろうか。それとも、そういう感覚が鈍いからであろうか?

 まあ、アーサルエルは、カルフィーア村の中のかなりの実力者であり、村一番と言ったとしてもおかしなことではない。

 現在、活動している者の中では―…。

 そんなアーサルエルは、ゆっくりと部屋の窓を開け、外を見るのだった。

 (こんな政情が不安定な場所でも太陽は、ちゃんと出るもんだなぁ~。)

 イスドラークの状況を知っている。

 まさに、その場に関わる可能性が高いのである。

 そうであったとしても、変わらないことがあるのは、アーサルエルの気持ちに僅かばかりでも安心という気持ちを抱かせるのだから、変化している世の中であったとしても、変わらない部分というのはそれだけで、不安定にさせる変化というものの副作用をしっかりと抑えてくれるはたらきをするので、人にとってのメリットになると言えるであろう。

 アーサルエルは、窓の外をぼんやりと見終えると、顔を洗ったり、完全に目を覚まさせ、今日も武器の手入れをしようと考えていると―…。

 トントントン。

 部屋をノックする音がなる。

 なので、そちらの方へと向かう。

 応答がないと、宿の職員が部屋の中に入ってくることがあるだろうし、それは、あくまでも、中の状態を確認するためのものであろう。変なことをする輩は一応、いないと思われる宿を選んでいるのだが―…。

 そして、アーサルエルはドアを開ける。

 「何だ―…。」

 そこには、宿の受付をしていた若い男性がおり、その男性は見た目や愛想が良いわけではないが、しっかりと仕事をしてくれる、信頼のおける人物であった。

 宿からの評価も高いだろう。

 なぜなら、受付は見た目の良い人がやった方が初対面の人の印象が良いのは明らかなことであるので―…。

 「下の方にお客さんが来ております。アーサルエル様―…。」

 男性が伝えると、アーサルエルは―…。

 「どんな格好をしているか分からないが、客のいる場所へと案内をしてくれ。」

 アーサルエルも何も準備ができていないわけではないが、すでに、自分の武器はノックをされた段階でとってきており、いつでも対応できるようにしていた。

 それは、戦いに身を置く者達にとっては当たり前のことであり、職業病と言ったとしてもおかしくはない。

 だが、仕事中である以上、これぐらいのことは当然であるし、怒られるような、職業病と指摘されるようなことではない。

 「かしこまりました。」

 そして、アーサルエルは外に出ると同時に、アーサルエルにノックをした受付の男性とともに、フロントの方へと案内されるという形で、向かって行くのだった。

 その歩き方は、なるべく音を立てないようにするものであり、相手に対して、自分が来ていることを敢えて気づかせないようにするためだ。

 仕事での癖というものは、仕事の中で本人の経験や同輩や先輩から得た知識というな実用性を持ち合わせており、マニュアルであり、そして、心構えと同じぐらいに重要なものである。

 そして、アーサルエルと受付の男性とともに、歩きながら、二分ほどでフロントに到着するのだった。

 そこには―…。

 「アーサルエルさん。」

 アーサルエルを呼んだのは、大柄ではないどころか、かなり痩せている人物であり、見るからにすぐに餓死してもおかしくはないほどだ。

 この人物は、イブラミーが暗殺された後に、アーサルエルの参加した話し合いの場にいた人の一人である。イブラミーが殺されたことに対して、イスドラークの領主側にかなりの恨みがあるのだろうということが分かるぐらいに、積極的にイブラミーの計画を続けるべきだと言っていたのだ。

 その体の具合から見るに栄養のある物を食べた方が良いと思えるぐらいに―…。

 アーサルエルもこの人物への哀れみの感情を持ち合わせているが、それは軽蔑ではなく、しっかりと食べないと体を壊すだろ、というような心配の類のものであった。

 ゆえに―…。

 「ああ、イブラミーのじいさんが暗殺された時の会議にいたのは憶えている。あの時は、俺も自己紹介していないが、「若大将」とか呼ばれている人物が俺の名前を言っていたから、憶えていても仕方ないか。で、用件は―…。」

 アーサルエルとしても、少しだけ回りくどい言い方をしてしまったことに対して、反省をする。

 アーサルエルを訪ねてきた者が顔が焦っているというか、何かしらの悔しい感情を抱いているのに気づく。

 その表情を見て、さっさと用件の方へといけば良かった、と感じてもおかしくはないだろう。

 それでも、アーサルエルの言葉に対して、何も文句を言うことなく―…。

 「動きました。」

 その一言だけを言う。

 この人物にとっても、細々と回りくどい説明をしている暇はない。

 あるのは、素早く事態を伝えて、自分も、自分も、あの場へと向かい、協力しなければならない。イスドラークの未来のために―…。

 たとえ、自分の命が消えてしまうとしても、あの場で戦わなければ、自分は一生後悔すると自身の中で強く、強く、感じているのだ。

 その気持ちを理性で簡単に抑えつけれるほどのものではない。理性も同調する。自分のこれまでの経験が教えてくれるのだ。

 戦わないといけない、時だと。

 「分かった。場所は―…。」

 アーサルエルも分かる。

 動いたのは、「若大将」であろうと―…。

 あの「若大将」は頭が良いが人を引き留めるようなことが簡単にできるような人ではない。ナンバーツーなら、上手くやっていけるだろうが、カリスマ性と言われる、人を自然と惹きつけるようなものを持ち合わせてはいないし、いくらカリスマ性というものがあったとしても全員が全員、ついてくるわけではないし、それに、自然と目立つような存在というのは、人々が知っている偉人の中に全員が持ち合わせているとは限らない。

 そして、カリスマ性があったとしても、世の中、現実において、正しい方向と言われるところに向かうとは限らないし、人はすべての物事を把握したりすることができない以上、何かしらのミスから逃れるようなことはできない。

 要は、カリスマ性があろうが、間違った方向にいくことは避けられないということであり、カリスマ性を基準に判断して、ついていこうとするのもおかしなことであり、中身を見ろということである。

 そのことに気づける者達がどれだけいるのだろうか?

 そのために、いろんなことを本質的に学ぶ必要があり、少しでも、知識や自分の中へと消化していき、それと同時に、自分なりの理解という基盤をしっかりと積み上げることを日頃からおこなっていく必要がある。

 忘れるな。

 人が究めることに終わりというのがあるのなら、それは自らの命の灯が尽きる時だ。

 「イスドラークの領主の館です。」

 アーサルエルもこの人物が言った場所を知っているし、疑うようなことはしない。

 疑えるだけの理由よりも、信じられるだけの理由の方が明らかに大きく、そっちの方が正しいと自分なりの判断を下せるぐらいには、分かっているつもりだ。

 つもりという表現なのは、アーサルエルの中にも間違いが存在する可能性を消すことができないからだ。

 今、この時、「若大将」らのイスドラークのスラム街の者の革命への参加者の多くが、イスドラークの領主の館へと向かっている最中だからである。

 「わかった。仲間を起こしに行って、支度を済ませる。それまでの間、領主の館に到着しても、領主の軍との間で、衝突を起こすようなことはなるべく避けてくれ。お前らじゃ、負ける可能性の方が高いからな。」

 アーサルエルは、この人物が何を言おうとしているのかが分かったからこそ、他の今回の依頼の仲間を起こしに向かうのだ。

 「分かりましたが、約束を守れるかは分かりません。それでもよろしいでしょうか?」

 この人物からしてみれば、相手のあることだからこそ、アーサルエルの約束を完全に守れるようなことは難しいと判断している。

 なぜなら、イスドラークの領主側は、スラム街を潰すことに躍起になっている以上、どうしたとしても、スラム街の人間が集まり、領主への批判を口にすれば、殺しても構わないと思っていたとしてもおかしくないし、誰かがやられるようなことになれば、スラム街の側の方も一気に感情や怒りを爆発させて、革命状態もしくは内戦状態になったとしてもおかしくはない。

 そういう意味で、この人物の言っていることは間違っていないどころか、現実を突きつけているような感じだった。

 「ああ、それと―…、ここの飯を食ってから行くようにした方が良い。何かをなし遂げようとするのなら、しっかりと食べてからにしないと、いざという時に力を発揮できない。済まんが、彼の今日の朝食代は、俺が持つから、軽い食べ物でも出してやってくれ。食べ歩きが可能なものを、俺たちにも準備をしてくれると助かる。」

 アーサルエルは、自身を尋ねてきた人が何も食べていないままで、イスドラークの領主の館の方に向かうのは、いざという時に、栄養不足で倒れられるようなことになったら、困るからである。その介助のために、人を割かないといけなくなるからだ。見殺しにするということも十分にあり得ようが、生き残りが多い方が次の行動を一気にしないといけない時にはメリットであるからだ。

 そして、精神的な面で、立ち続けることができるかもしれないが、それを永続に持続させられるようなことは決してない。精神を馬鹿にすることはできないが、精神があれば何でもできるという精神論のような考えはあまりにも愚かなものでしかない。体も技術も双方に必要なのであるから、精神一つで何かを成し遂げられるのなら、誰もがいろんな目的を成し遂げることができていてもおかしくはない。

 だけど、現実はそうではないし、体がある程度成し遂げるために必要な分の耐久力がなければ意味をなさないし、そのために必要な方法である技術を身に付けなければかなりの苦労をすることにもなるので、そういう意味では、体や技術の方を無視した精神論は邪魔でしかない、ということになる。

 そして、ここまで案内をしてくれた受付の男性に向かって、この人物の分の朝食を用意してくれと頼むのだった。

 それぐらいの時間はあるだろう。

 決して、豪華なコース料理でなくて良い。簡単に食べられる軽食の方が自分達の仲間が用意する暇さえあれば、十分であろう。

 それに自分達も食事をとるのは歩きながらや、さらに、ここでゆっくりと食事ができない以上、軽く摘まめるものは欲しくなるし、朝食を食べて、しっかりと体に吸収しないとこっちの力がでない場合もあるし、大量に食べてしまえば、自分達が戦闘の中で動けなくなるのは危険なことでしかない。

 そういう意味で、軽食にして欲しいと、アーサルエルが言っているのは何も間違ったことではない。

 そして、アーサルエルの言葉を受けた受付の若い男性は―…。

 「かしこまりました。」

と、言って、厨房の方へと向かうのだった。

 この人物は、何かしらを察したのは間違いないであろうが、そうであったとしても、口に出すような雰囲気ではないことを察して、ただ、自分の仕事の方に集中するのだった。

 知らない方が得、ということもあるのだから―…。

 それから、ニ十分後に、アーサルエル達は準備完了次第、移動を開始し、がりがりの人の案内でイスドラークの領主の館の方へと向かうのだった。


 さらに、十分後。

 イスドラークの領主の館。

 その大きな玄関の門のある場所では、すでに、イスドラークの兵士とスラム街の者達が睨み合う構図になっていた。

 まだ、アーサルエルらは到着していない。

 (ピリピリしているのが分かりますが、すぐに衝突するのは危険ですけど―…。相手は、悠長に待ってくれるようなことはないと思います。こちらの情報の一部は漏れているとみて、間違いないでしょう。イブラミー様がクーデターを計画しているのは、知っていなければ、このような行動には出なかったと思います。)

 「若大将」と呼ばれる人物は、イブラミーの暗殺の事件の犯人がイスドラークの領主側なのであれば、イブラミーの計画が事前に漏れていたということになり、先に手を打ったと考えてもおかしくはない。

 そうだとすると、スラム街の暴発を狙っているのは分かり切っており、その手にまんまと乗せられたと言っても過言ではない。

 だが、現実、人は物事の全てを把握できない以上、何かしらの想定外は平然と起こるものであり、そこを突くしかないのだ。その判断も難しいのであるが―…。

 そして、この触発になる可能性が刻一刻と近づいていくのだった。


 【第162話 Fin】


次回、衝突するのかな? に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。


今週は、たぶんですが、2026年2月13日ぐらいにいつもの時間に投稿ができないと思いますので、『水晶』の投稿の方をお休みさせていただきます。

誠に申し訳ございません。

後、その翌日の2026年2月14日は、『水晶』を投稿し始めた日から6年の時となりますので、いつもより遅れると思いますが、投稿すると思います。

では―…。

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