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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
783/812

第162話-2 欲深き者はより良い自身の欲を求めることには真面目なことである

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 そして、その夜の中―…。

 領主の寝室では―…。

 「サンバリアのお偉い人の関係者が捕まっていると!!!」

 と、ある報告を聞いたバウネッターはそのように言う。

 なぜ、報告に時間がかかったのかは、暫くの間、調査する必要があり、確認までの時間がかかったからだ。

 まだ、そのことはバウネッターには報告されていないが、これから報告される可能性はあるだろうが、そこまでの間に、バウネッターが冷静でいられるか、癇癪を起さないかは分からない。

 「はい―…、配下の者どもの報告が間違いなのかは分からなかったので、暫くの間、監視をさせたのですが、どうやらイスドラークのとある宿にサンバリアの人間で、バウネッター様にあの武器を売った時にいたラーグラという人物が捕まっています。どうなさいますか!!!」

 報告を上げている者は、このような理由を言う。

 そう、イブラミーの暗殺実行犯がラーグラの存在を見つけ出し、ラーグラが捕まっていることを見たのだ。

 その報告が上にすぐに上げられたのであるが、本当なのかという真偽を確かめるために、幾人かを派遣し、確かめたのだ。

 そして、ラーグラが本当に捕まっていることが分かったし、自身がサンバリアの偉い人の関係者と思われるようなことを言っていたし、捕まえている者達の話からそのように感じられる節があったので、真実だと判断した。

 そして、領主であるバウネッターに報告を上げるのだった。

 自分達が勝手に判断して、何かしらの行動を起こすのは危険だが、真偽を確かめていないものを領主であるバウネッターに報告するのは、もしそれが真実でなかった時の処分を考えれば、真偽は最低限でも確かめておいた方が良い。

 誰も、失脚すること、地位を失うことに対しての恐れがないわけではないのだから―…。

 勇気というのは、そう簡単に実践できるようなものではないし、自分の地位や立場が不利になるのは優位となるのとは真逆のことである以上、避けるのは仕方のないことであり、それが本能によって、感覚的になされるのであろう。

 今まで築いたものがなくなるのを恐れるのが、人なのであるから―…。

 バウネッターは、この報告を聞きながら考えるのだった。

 (サンバリアの関係者か―………。それもあの武器を売ってきた時にいた関係者で、自分が偉い地位のある人間と知り合いであることを言っていたはずだ。自身の姉が―…。なら、ここは一つ恩を売っておいて、新たな最新兵器をサンバリアからお礼としてタダで手に入れることにするか~。ククククククク、これでイスドラークはさらに武力を手に入れ、私の権力基盤がさらに固まる。すべきだな。)

 バウネッターは自身の考えを纏めることができたのか、報告を上げた者達に対して、言う。

 「ラーグラ様は、サンバリアの方―…。ならば、助けるのが道理であろう。そして、ラーグラを捕まえている者達の方は、殺しても構わん。ラーグラ様を助けることに成功したら、我が宮殿に案内して歓待しなさい。最高級の贅沢を―…。行動しろ。」

 「分かりました。」

 バウネッターの言葉を受け、報告した者は返事をし、バウネッターが言った命令を実行するための準備に向かうのだった。

 バウネッターがラーグラを助けようとしているのは、サンバリアへの恩を売って、タダでサンバリアの最新兵器を購入して、それを、イスドラークの領主側に反抗する側に、反抗しても意味がないということを理解させるためであり、バウネッターのやりたい政策に文句を言わせないようにするためである。

 自分が正しい、美しくして、美しくて、素晴らしいイスドラークにするために動いているのだから、文句を言われる筋合いはない、そのように考えているというよりか、妄信してしまっており、間違っていないのかを確かめるようなことをしなくなってしまっているのだ。

 その危険性に気づけないのは、自らの考えることは完璧であるという絶対にあり得ないことを、本当の意味で信じ切ってしまっており、人という性質で逃れることができない、完璧にはなれないということに気づかない存在でしかなく、愚か者であることが分かっていないのだ。自身が―…。

 バウネッターは、まさにその状態に陥ってしまっており、それを諫めて、正してくれるだけの存在がイスドラークの領主側にはおらず、バウネッターの目の届かないところでは腐敗が加速しやすいことになっているのだ。現在進行形で―…。

 だけど、ハウネッターは気づかない。

 気づくはずもない。

 完璧な存在だと思っている者は、自身の間違いの可能性などないと本気で思っているから、確かめることを怠り、自分がどういう存在であり、性質を持ち合わせているのかを忘れてしまっているのだ。

 まるで、身の丈に合わない者でしかないであろう。

 残念だが、人は間違いから逃れることができず、どんなに色んなことを考慮したとしても、間違いの可能性を減らすということしかできないのだ。

 さて、バウネッターは、ウキウキの気分になりながら、今日はもう寝るのであった。興奮したせいか、少しだけ眠れなかったのであるが、それも、これから自分にとって望ましいことが起こることへの強い期待によるものなので、多少眠れなくても、気にするような感じにはならなかった。

 それが本当に望ましい出来事というある未来の一地点による結果になれば―…………、だけど―…。


 そして、翌日。

 ある人物の墓がある場所。

 粗末な石が一つだけの墓であり、その中にはイブラミーが埋葬されている。

 誰もが悲しみの表情と同時に、これから自分達の覚悟が決まったかのような表情をする。

 「若大将」と呼ばれている人物がその石の目の前にいながら―…。

 (駄目でした。もう、スラム街の誰もが止まることを()めました。私も皆さんを宥めるようなことをしようとしましたが、無駄でした。イブラミーさんが暗殺されて、調べた結果、領主のバウネッターが関わっていることが分かった以上、もう、誰もが進みましょう。たとえ、それが死地への入口であったとしても―…。)

 口にはしなかった。

 「若大将」と呼ばれる者からしてみれば、イスドラークの領主側と戦うのはかなりの犠牲を出すものでしかないのは分かりきっているし、計画をしていたイブラミーが暗殺された以上、一旦、計画を白紙にして、もう一度練り直しということをしようと思っていた。

 だけど、イブラミーは、イスドラークのスラム街でかなり慕われていた。

 だからこそ、イブラミーが殺されたことは、スラム街の者達にある感情を与えることになった。

 それは復讐と憎しみというものだ。

 そして、慕っていたからこそ、失われた時の感情というものはより強くなる。

 ゆえに、止めることはできない。

 たとえ、イブラミーの声が今、聞こえてきたとしても―…。

 進むのだ。

 たとえ、そこが自らの命が失われるということがあったとしても―…。

 ゆえに、「若大将」は自身にもある復讐と恨みという感情の強さを止められない、そして、スラム街の者達の同様の感情を止められない、どうしようもないということから、自分がこの取りまとめ役として行くしかないのだ。

 彼らには、イブラミーが依頼した者達がいる。

 彼らも協力してくれることは聞いている。

 なので―…。

 「皆さん、それぞれに覚悟は決まったか、と思います。これは自らの命、皆様の命を賭ける戦いです。敗北して、命絶えてしまうこともありましょう。もし、自分の命が大切であり、少しでもその気持ちがあるのなら、逃げてもらっても構いません。そのような者達を馬鹿にするのだけは、裏切り者だとするのだけは、決してしないでください。」

 「若大将」がこのように言っているが、逃げ出す者はいない。

 というか、ここから逃げるようなことはできない。

 イスドラークのスラム街が自分達の育った場所であるし、それに加えて、砂漠に逃げたとしても、生き残れる可能性は低いし、そのための食糧やら移動方法を持ち合わせていない。隊商との伝手もない。

 やろうと思えばやれるかもしれないが、自分達の故郷というか愛着を持っているイスドラークから簡単に離れるようなことはできないし、そのような選択を簡単に馬鹿にできるのは、これまで何かしらの愛着を持ったこともない人物の過去の経験からのものであろう。

 そして、人は考えるのに時間を消費している以上、どうしたって、気づかないようなことはあるし、他者に指摘されて初めて、気づくこともあるのだから―…。

 そこに個性というものが存在するのは確かであろう。

 そして、「若大将」は続ける。

 「ここに残った皆さん。覚悟がおありのようですね。なら、私に着いてきてください。場所は、領主の館。」

 ここに集まったスラム街の者達の覚悟は決まっており、逃げ出すようなことはなく、それに加え、「若大将」の言葉を真剣に聴く。

 これから自分達が死地となるかもしれない場所に向かうとしても、自分はこのイスドラークのスラム街のために、命を賭けるのだ。ここに住んでいる者達の平和を守るのだ。

 その気持ちが強いから、このような行動ができる。

 一方で、それは現実世界でのネット工作やメディア工作をいくらしたとしても、そこには経験のない空っぽの支持しかないし、その支持は本当の意味での支持であろうか?

 残念ながら、自分達が体験した御恩、過去に経験した者の真摯な言葉を聞いたもしくは気持ちの重さの備わっている本当の意味での経験をしてきて、それをしっかりと糧にしてきた者達の言葉でしか、本当の意味での強い支持を得るようなことはできず、多くの者の心の奥底までには響かない。

 軽い言葉は何度も何度も聞かせることによって、それに近い効果があるように思われるかもしれないが、そんな効果で本当の意味で人を導くようなことはできない。

 たとえ、これが理想論や空論であったしても、完全に否定することはできない。

 本当に大事なのは、他者から優しくしてもらった、ちゃんとした関係を気づくことができたなどのような、相手を本当の意味で良い方向に向わせることができていることが必要なのだ。

 言葉に上手くできていないことであろうが、いくら金銭で自分の支持を買ったとしても、決して、本当の意味で支持を得るためには、金銭以外の利益になることをしたのか、ということになろう。

 それを忘れてはいけないし、忘れてしまえば、空疎なものに引っかかって、自滅する結果になるだけであろう。

 さて、話を戻すと、スラム街の者達には、イブラミーから受けた恩だけでなく、彼がスラム街の治安を少しだけ良くするだけでなく、いろんな貢献をなしてきたことを知っているし、性格が決して悪いわけではなく、人のためという欲望の面がほとんどなかったからであろう。そういう意味で、信頼できる人だと思われたことが、イブラミーを慕うということになっており、そして、イブラミーはスラム街の者達の生活を守るために、しっかりと領主の意見とは反対の意見を大きな声で言ったのだから、自分達の味方だと判断したのだ。

 このような色んな要因が絡み合っているからこそ、イブラミーのために動く。イブラミーの無念を晴らそうとする。

 これがバウネッターにできるであろうか?

 もう、分かっているだろう。答えを言わなくても―…。

 「我々には革命しかありません。」

 後は、結末へと突き進むだけ。

 決して、ハッピーエンドにはならない結末へと―…。



 

第162話-3 欲深き者はより良い自身の欲を求めることには真面目なことである に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。


次回の投稿日は、2026年2月10日頃を予定しております。

では―…。

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