第162話-1 欲深き者はより良い自身の欲を求めることには真面目なことである
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。
そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。
詳しくは本編を読み進めて欲しい。
そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。
一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。
そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。
少し時は戻る。
イブラミーが暗殺された日。
イブラミーを暗殺した実行犯は帰り道の中で―…。
(…………………これで、あの方………バウネッター様のお喜びになられることでしょう―………………………。)
そう、この計画を考えたのは、イスドラークの領主バウネッターであった。
そのことを知っている者は、イブラミーの行動を考えれば、すぐに思いつきもしそうなことだが、クーデターを失敗させるためには、イブラミーの暗殺が最も効果的であるとバウネッターが考えたからだ。
イブラミーからしたら、予想外のことではないにしても、ここで、と思っていたとしてもおかしくはないが、自身の命を失ってしまっている以上、そのようなことを言う機会は保証されることはない。残念なことに―…。
死人に口なし。
まさに、このことであろう。
命を落とした人間の気持ちなど、誰も完全には分からないし、本人すら気づいていないことだってあるのだから―…。
さて、話を戻して、イブラミーを暗殺した犯人は、心の中で喜びながら、歩きつつ、ふと、斜め左上を見るのだった。
そこには―…。
「俺を解放しろ!!!」
どこかで聞いた声だ。
裏の見張りの当番の時、領主執務室にいたことのある人物。
そんな記憶がある。
そして、この人物は、ある人物の間、三下のような振る舞いをしていて、腹に立った人間―…。
頭にくるからと言っても、本人とは限らない。
そして、ある人物というのは、サンバリアからやってきた人物であり、三下の振る舞いをしていたのもサンバリアからやってきたのだと思う。
ある人物は注意していたが、まるで、偉い人の関係者を扱うような感じだった。
気になったのか、その部屋を覗くために、部屋の人物に気づかれないように移動する。
そして、スコープで見る。
このスコープは銃にも備え付けることができる物であり、この暗殺の実行犯にはかなり役に立っている物である。
そうである以上、頼らないというわけにはいかないし、バレないようにするためには、それなり距離を離れないといけない。
そして、どこかの建物の屋上から声のした部屋を覗く。
そこには―…。
「へえ~。」
面白いものを見つけるのだった。
【第162話 欲深き者はより良い自身の欲を求めることには真面目なことである】
時は戻る。
その暗殺犯が覗いた部屋であり、覗きに気づくこともなったのだが、この部屋の宿泊者達は―…。
「あんたねぇ~、こっちの捕虜の分際で、そんな大きな声を出さないでくれる!!!」
部屋の宿泊者の一人であるミランは、ラーグラに対して頭にくるのであった。
キレているとも言う。
そんなミランの怒りの言葉に、ラーグラはさも自分は関係あるかどうかは別だとしても、自分には何も問題がないのか―…。
「俺を解放しなければ、サンバリアで最強の部隊がお前らの命を狙って―…。」
ラーグラは言いかけるのだが、クローナの拳骨によって気絶させられるのだった。
「五月蠅いなぁ~、周りの宿泊客に迷惑。」
すでに錠は解除されているが、ラーグラが逃げ出すようなことがないように、誰かが見張りをするということになっていた。
トイレから逃げるようなことをラーグラは試みたのだが、李章の「緑の水晶」の能力が発揮して失敗しているのだ。
それでも、警戒を強めないのは、数が少ないことが理由であるのと、それと同時に、探している人物が見つけらないどころか、手がかりがないということなのだ。
そんな状況である以上、行き詰り感を抱かないわけがない。
それも、偶発的な出来事がなければ、出会わないという感じな具合に―…。
「はあ~、こいつはこんなことばかりねぇ~。」
「あははははははははは。」
ミランの言葉に、瑠璃は乾いた笑みしか浮かべることができない。
瑠璃からしたら、ラーグラという人物が人としての好感度を抱けるかというと、その逆ではあるが、ミランや礼奈がかなり嫌っているのを見ると、どうしても少しだけ可哀想に見えてしまうのだ。そのことをこの場で口に出すようなことはしないし、ラーグラは嫌いであることに変わりはない。
そして、ラーグラは、自分が嫌われていることに気づいてもいないが、気づきそうにもない。
「だけど、本当に手がかりが掴めないのは嫌ねぇ~。こうなってくると、私たちだけでサンバリアに向かわないといけなくなる。彼らの力を借りれば、サンバリアに対して、こちらが有利に交渉することも、サンバリアに謝罪をさせることも可能なんだけど―…。」
ミランからしたら、弱い勢力のままでサンバリアに行ったとしても、軍事大国であるサンバリアは自分達との交渉や話し合いが発生するとは思えない。サンバリアは、軍事力が強く、自分達が戦うと危険な目に遭うと理解しない限り、威張り散らかしてくるであろうし、武力で瑠璃たちを潰してくる可能性だってある。
そのことを考えると、軍事力というか対抗できる力は必要なことであろう。
だけど、国の力イコール軍事力だという考え方は絶対にしない方が良い。
国の力、国力と言われるものは、軍事力が強いことに越したことはないが、そのことによって周辺諸国の軍事力を強化してしまい、そのループに陥ってしまい、戦争という名の破綻を迎えることになったり、経済規模と軍事力が見合わない結果になれば、人々の生活は窮乏化していくし、食べる物などの生活に絶対必要なものが欠乏すれば、返って、反乱や内乱を招く結果になったりするし、技術力の低下を招くことだってある。
なので、軍事力だけで、国力というものを計るのは危険なことであり、いろんな面から考えないといけない。そして、人々の生活を保障しない国は、どんな強国になったとしても、人々の心の中でおける道理というもの、倫理観の欠如などの気持ちの面における欠陥を発生させ、これは他者や周辺がどう思っているのかということを考える力を奪っていく結果となり、支配者にその傾向が見えるのであれば、最悪の結果である国の崩壊および、その国に住んでいる人々の多大な犠牲を引き起こすことになる。
ここでパーセンテージが低いと冷静に言う人はいるかもしれないが、人々の印象はパーセンテージではなく、人の数や損害の額というもので最初に感じることがあるので、そこからの規模で悲惨さを判断することになる。ゆえに、パーセンテージが低いとしても、その社会および国家の総体の数が多ければ多いほど、そのパーセンテージに占める人の数は増大するので、少ない者を比較し、それを関数グラフのように考えるようにすれば、反比例の関係になる。ここに人の心という概念を含めないのであれば、綺麗に成り立つのであろうが、人は心や、誰かを愛し恨むという感情を持ち合わせている以上、その面を含めれば、簡単な反比例の関係になることはない。
要は、さっきも述べたが、人の数が増大すれば、その総体に占める命を落とした者の数のパーセンテージが低いとしても、悲惨だと感じる出来事になるというわけであり、その面に対して、軽い気持ちで、少ないという言葉を使うのは避けた方が良い、ということである。
人はパーセンテージをすぐに計算するようなことがあるとは限らないのだから―…。
あなたも悲惨な出来事を何でもかんでもパーセンテージで考えることをしないように―…。
さて、話がかなりずれてしまったが、決して、軍事国家が強い国家だということになるとは限らず、決して、その国に住んでいる人の本当の意味で得になるとは限らないことを付け加えて、話を戻すことにする。
軍事力イコール国家の力のすべてであるとみなしているサンバリアには、どうしても軍事力というものを考えないということはあり得ないことでしかない。
なので、ミランとしては、あの一族の力を借りるというのは避けて通れないということになるのだ。
「ミランさん、あの一族について教えてくれないのですか? ここまでくると―…。」
礼奈がそのように尋ねようとするが―…。
「今、私個人で言えるわけはないのよ。それに宿の誰が聞いているのか分からないが、私を向こうが見つけたのなら、何かしらのアクションがあるとは思っているんだけど―…。それがないということは―…。」
ミランは、アイラ達に関する情報を持ち合わせているわけではないし、カルフィーア村に行ったのは一回きりなのだ。そして、瑠璃以外の首筋に水晶が埋め込まれている人にあったのは、イスドラークに入って一回きりだったのだ。
その意味で、あそこで行動を起こすべきではあるだろう。結果論として―…。
そして、ここで無視してはいけないのは、人は完璧にも完全にもなれない存在であり、そこに近づくということができるだけの存在でしかないのだ。
それは人作り出すものにも適応される。
完璧でも完全でもないからこそ、変われる、変化するということができるのだ。
そのことを忘れてはならないし、無視するようなことはできない。
無視して、自らを完璧で、完全な存在だと思ってしまえば、それはすなわち、社会から取り残され、最後は国を滅ぼし、人々に厄災を呼ぶだけの迷惑であり、望まない存在になるだけだ。
なので、自らのことに対して、完璧や完全であると思うことなく、常に、自分の考えの中に修正ができる箇所は存在し、それを状況によって判断し、実行していきながら、それらに近づいていくしかなく、その修正というものに終わりはない、と認識することである。
よって、人々は間違いを犯すことない存在ではないし、間違いを反省することによって、より良い行動を次から為すことができる可能性を手に入れることができるのだ。逆に、最悪の方向に導かれることもあるので、気をつけるようにしないといけない。
ここに、歴史に学ぶという原理、過去に学ぶという言葉の意味があるのだと考えることができよう。
ミランは、ふと、思い浮かぶのだった。
「李章、どうすれば、あの一族の関係者に出会うことができる?」
質問の類である。
「う~ん、曖昧だと分からないですし、「緑の水晶」はあくまでも危機が訪れた時に私に教えてくれるだけですので、ミランさんの質問に答えるとすれば、分かりませんとしか言いようがありません。すみません。」
李章は申し訳なさそうにするのだった。
李章からしたら、瑠璃を襲ったサンバリアの人間を実際に見ているし、対処しているので、サンバリアのことが許せない気持ちはかなり強い。
異性として瑠璃のことが好きだからこそ、その気持ちはかなりのものがあり、自分が役に立てないのは、瑠璃に対する貢献ができていないと思い、そんな無力な自分が許せない、という気持ちを強めてしまうのだ。
自責の念という気持ちであろう。
自責の念というものがあるからこそ、より自分がしっかりとやらねばならないと思っているのだろう。その気持ちが良い方向に向うこともあろうが、その逆もあるので、自責の念というのは使い場面や方法、状態に気をつけないといけないものである。
そして、李章の今の気持ちによる行動もまた、どこに転ぶかは現時点では分かっていないし、分かるのは未来のある一地点においてであろうことは確かであろう。
李章の言葉を聞いたミランは、暴言を吐きかけようとするが―…。
「そう―…。」
と、残念そうになりながら言うのだった。
彼らにもまた、ある意味でピンチと言えるかどうかは分からないが、何かしらの魔の手が迫っていることだけは確かなようだ。
残念なことに―…。
第162話-2 欲深き者はより良い自身の欲を求めることには真面目なことである に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。
では―…。




