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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
778/812

第161話-4 狙い通りにならないのが世の常

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 「あんた!!! 自分が言っていること分かってるの!!!」

 リガの言っていることを、アイラは無視しようとするが―…。

 その時―…。

 アイラの服を掴まれ―…。

 「アイラ!!! 私に話しかけてこないのが頭にくるのよ!!! あの時、あいつに親友が殺されたからって、いつまでそのことに対して、根に持ってるのよ!!!」

 リガからすれば、あの時のことを自分も忘れてはいないが、あの出来事に今も苦しめられているが、そうであったとしても、アイラのように何もかも逃げ出すような奴にはならない。

 あれ以後、自分にも話しかけるようにならなかったのを―…。

 「………………………………………………。」

 アイラの体は僅かに震えた。

 だけど、リガはそれに気づかない。

 アイラにとって、二つのトラウマがあり、その一つがリガの言葉で思い出される。

 あの日のことを―…。

 あの日は―…。

 アイラは、若干ではあるが過呼吸になり、リガと話すことすら余計にできなくなっていく。

 あの日を思い出してしまうからだ。

 殺された親友と、それを殺した親友のことを見て―…。

 アイラにとってトラウマになってしまっている過去は、その事件から今の時まで、彼女は乗り越えるようなことは一切できていない。

 それほどに強い出来事なのだ。

 簡単に乗り越えろよ、と思っている人がいるなら、人という存在をあまりにも何でもできる可能性を秘めている存在だと安易にみなしているだけの現実の見えていない人と同じであろう。

 本当に大事なのは、乗り越えるということは簡単な場合もあれば、難しい場合もあり、人により、時により、異なる結果になるということがあるのだ。

 ゆえに、状況によって異なる場合があり、そのことを無視してはいけないし、無視しては問題を解決することはできないということである。

 そのことをしっかりと理解しておいて欲しい。

 だけど、リガはアイラから事実を聞いていたとしても、アイラの気持ちを聞くことができていない以上、何もすることはできないし、共有すらできない。

 話して楽になるということもあるが、アイラはそのようなことは一切ではないとしても、本人の気持ち的には一切していないものと思われる。

 「チッ!!!」

 結局、リガの方が折れるしかなく、アイラの服から自らの手を離す。

 それは、アイラに対しての失望と同時に、ふざけるな、という気持ちの表れであり、余計に溝を深める結果となっていくのだった。

 アイラの方も理解していないわけではないだろうが、自分のあの時の不甲斐無さを思うと、リガとの関係を回復させるのは危険なことでしかない。

 アイラも自分の中に頑固な面があることは分かっている。

 だけど、仲間に迷惑をかけたくない。

 その気持ちが強すぎるせいで、何も言わなくなってしまっているのだ。

 (……あいつはいつまで頑固になっているつもりだ。そんなに王女が殺されたことがショックだったのか。二年も経つが、癒えないものか。ランドロ様も何も言わないし―…。はあ~、厄介なのを追加で派遣してくるなよ、ランドロ様ぁ~。)

 アーサルエルからしたら、リガとアイラの関係があの時から冷え切っているのは分かっているが、そのような配慮をしないカルフィーア村の長であるランドロに対して、困った気持ちになるのだ。

 そんなに、二人の仲が冷えているの憂いているのか?

 まあ、アーサルエルがランドロの真意というものを完全に理解することができない以上、ランドロの気持ちの全てを把握することは難しいことであろうが、一方で、重要な問題点だけを理解するようなことがある程度できれば分かるという解答を言い出す人がいれば、それは間違ったことではない、ということになるし、そのことよって、その物事を本質的に正解ということになることは可能であろう。

 ゆえに、アーサルエルもランドロの真意を掴めずに困惑するしかなかったが―…。

 今、依頼放棄の可能性もある状態で、仲の悪い二人で意見が衝突するのは止めて欲しい。

 アイラにいたっては、絶対にリガと話す気はない、そんな感じになってしまっているし―…。

 アーサルエルのストレスはかなりのものである。

 そういうことをアイラとリガが察するようなことはないだろうし、無理なことであろう。

 ゆえに、アーサルエルの苦労は絶えないという感じになろう。

 そんななかで、訪れる沈黙。

 この沈黙が余計に空気を重くしているように感じられ、言葉を発するということに払うべき体力をより増やしていくのであり、精神力をも同時に、いつもより多く消費することを強いるのだった。

 そんななか、我関係もなく、エンゲルが言いだすのだった。

 「俺は、リガの意見も間違ってはいないが、アイラに賛成だな。今回の依頼は、スラム街のクーデターに協力して、イスドラークの領主側がサンバリアから購入したとされた兵器への対処をすること。それに、この暴発は俺らが依頼放棄をしたところで、起こる。それに、大きな犠牲が出るのは分かっている。逃げることもできるが、領主側も俺らがスラム街と協力していることを知れば、確実に、カルフィーア村を危機に晒すことになる。ならば、相手に気づかれていたとしても、先に俺らで対処していた方が得だしな。アーサルエルさんがいるからこそ、アイラの意見も採用できる。それに、アイラの言っていた、首筋に水晶を宿している、絶対に俺らと同じ先祖を持っている女にも会いたいしな。知っている奴かもしれないし―…。」

 エンゲルはこの重い雰囲気を一切、察していないわけではない。

 だからこそ、無理をしてでも、場の重い雰囲気を少しは軽くしないといけないし、しんみりとした空気を払拭しないといけない。

 落ち込んでばかりいたとしても、良いことがあるわけではないのだから―…。

 そういう意味で、アルタフからの説教が上手く生きているのかもしれないが、本当のところはどうかは分からない。変なネタをしていないだけマシなのかもしれない。

 人は成長できる生き物なのかもしれないと思わせてはくれる。

 「エンゲル!!! 何、馬鹿なことを!!! まあ、言っていることを完全には否定できないけど―…。」

 リガは最後の方は、小さな声で言う。

 そのようにしないと、自分の間違いを認めてしまったことになり、エンゲルからマウントをとられるのではないかと瞬時に思ったからだ。

 エンゲルは自分が優位に立っていることに対してとる小言がかなり長く、五月蠅いとしか感じられないので、リガとしては負けを認めるわけにはいかなかった。

 元々、リガは負けず嫌いの性格があるので、余計、そのようにさせるのかもしれないのだが―…。

 エンゲルからしても、リガにマウントがとれることに対しては、嬉々とした表情をするかもしれないが、今の状況でそのようなことをすれば、リガから暴力的な制裁が下されるのではないかと思い、マウントをとることはできないのである。

 (エンゲルのくせに!!!)

 心の中で、リガが悔しそうにするのだった。

 「で、アーサルエルさんはどのような決断を―…。」

 エンゲルは言う。

 最終的な判断は、今、カルフィーア村の外で動ける人間の中で一番強いのは、アーサルエルなのだから、彼の判断がこの場での結論に大きく左右されるのは当たり前のことである。

 こちらも生き残るために必要なことを決めているのだから、一番強い者の決断の方が可能性が高いと思えるのは自然なことだ。

 そして、アーサルエルは口にする。

 「ふう~、これでお前らの意見が出揃ったのなら、俺の方でも言わないといけないなぁ~。リガ、お前の言っていることは何も間違っていない。というか、合理的に考えたら、リガの意見に賛成して、依頼を放棄し、カルフィーア村に戻り、長に報告するのが最善の選択であろう。」

 アーサルエルは、リガの意見は間違っておらず、合理的であると言う。

 本当の意味で合理的であるかは、ここでは無視することになるだろうが、アーサルエルの過去の経験や知識から判断して合理的であるということであり、主観的合理性の方の合理的であるという認識であろう。

 アーサルエルは冷静な表情をしながらも続ける。

 リガも分かっている。

 あくまでも、自分が傷つかないようにするために言っているのだと―…。

 アーサルエルは少しだけ間をおき、続けて言う。

 「だが―……、エンゲルの言っている理由があまりにもこちらとしても分かりやすい事態であり、イブラミーのじいさんを暗殺している以上、イスドラークの領主側が犯人であるならば、返って、俺らを見逃すようなことはしない。ゆえに、俺らが対処しないといけない、ということになる。俺も依頼放棄の方の気持ちを持っていたが、エンゲル、お前のさっきの言葉で、別の危険性に気づけた。カルフィーア村を無くせ、行く当てがないかは分からないが、そのために多くの村の者を―…、同胞を犠牲にすることになる。それだけは避けないといけない。なら、アイラの意見に賛成するしか俺らにはない。運が良ければ、首筋に水晶を持っている女にも会えるだろうし……な。」

 アーサルエルからしたら、エンゲルの言葉を聞いて、もう、これは自分達の村を守るための状況になっており、スラム街の人間と協力しなければならないし、依頼を放棄できるものではなくなってしまっているのだ。

 そういう意味で、スラム街の「若大将」が言っていたことが重しのように効いてくるのだし、もし、それを予見して言っていたのであれば、イスドラークのスラム街だけでなく、イスドラークそのものは「若大将」に支配させた方が良いのではないか。

 いや、頭が良いだけに、狡賢いことをしてしまい、変な支配者を擁立してしまうのではないか。

 いろんな不安というものが存在するが、もう事態は進み始めており、ゆっくりと判断している暇など一切ない、そんな状態になってしまっているのだ。

 アーサルエルの方も方針が決まれば、やるべきことは決まっているので、すぐに行動をとることが重要になる。

 「ということで、方針は決まった。リガ、嫌ならカルフィーア村に戻って、長にこの話し合いの結果を報告しに行っても構わない。だけど、少しでもこちらに残ると判断するなら、俺たちに協力してもらう。」

 リガは依頼を放棄する側に立っていたので、どうしたとしても、積極的な協力を引き出すことはできないとアーサルエルは判断して、無理に協力せずとも、カルフィーア村に戻って、長に今の話し合いの結果を報告してもらっても構わない。

 言い方としては、傲慢さのあるものであろうが、反対している者を無理してこの場に巻き込むようなことをしたくない、というアーサルエルなりの優しさというものであろう。

 ゆえに、アーサルエルは、リガの判断というものが何かを聞こうとしていたのだ。

 リガは、呆れながら、息を一息吐き―…。

 「エンゲルとアイラ、この二人の問題児を放ってカルフィーア村には戻れないわ。こいつら、絶対に、アーサルエルさんの目的を意図せずに余計な負担を増やすだけだわ。なので、私も協力します。はあ~。」

 リガからしたら、アイラもエンゲルも、問題を悪い方向に起こすことに関しては天才的な才能を持ち合わせているので、アーサルエルの行動を無意識に妨害してしまうのではないかと思っており、なので、自分がいないといけない、とリガは思ったのだろう。

 アイラの方は、リガの今の発言に不満だったのか、頬を若干ではあるが膨らませるのだった。

 一方で、エンゲルは―…。

 「いや、俺、問題児じゃないし!!! 今、アーサルエルさんは、俺の言葉を理由として、決断してくれたんだ!!! なら、俺は問題児ではないし、ここで一番の問題児はアイラだろ!!!」

 リガの言葉に不満を思ったのか、ツッコミを入れるかのように、自分は問題児ではない、という主旨でエンゲルは言うのだった。

 それに、エンゲルからしたら、一番の問題児はアイラであり、あまり言わずに勝手に行動することだってあるのに―…。

 そして、エンゲルの言葉に、怒りを感じたのか!!!

 「ガァッ!!!」

 アイラは、エンゲルに銀色のマフラーを自分の首の左右に広げて攻撃をするのだった。

 広げる動作は、手でおこなうのではなく、天成獣の力を借りておこなっている。

 ゆえに、動作は素早く、自分の思い通りになっていたりするのである。

 アイラの戦い方の一端が見えるのであった。

 そして、エンゲルは部屋の壁に衝突する。

 要は、吹っ飛ばされたのである。

 リガとアーサルエルは呆れるのだった。

 (俺、大丈夫かなぁ~。)

 アーサルエルは、自分の判断は間違っているのではないか、と思い始めるのだった。

 事態はすでに始まっており、彼らもまた巻き込まれるしかなかった。


第161話-5 狙い通りにならないのが世の常 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。


では―…。

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