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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
777/812

第161話-3 狙い通りにならないのが世の常

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 「で、返事をしなかったというわけね。」

 宿の中。

 そこには、アーサルエルとリガ、エンゲル、アイラがいた。

 この四人は、イブラミーの依頼を受けたカルフィーア村からイスドラークへと派遣された者達である。

 アーサルエルは、ログハウスでの話を皆にするのだった。

 これは、自分個人だけで判断できるような状況ではなくなってしまったのだから―…。

 勝手な判断は、時に身を滅ぼすことになる場合だってあるし、それが自分だけでなく、周囲に波及することがあるのだから、しっかりと話し合うことは重要なことなのである。

 アーサルエルは、そういうことを場合によっては守れる人物。

 そして、アーサルエルの言っていることに、リガは不満を抱くわけでもなく、淡々と言うのだった。

 「ああ、イブラミーのじいさんが殺されてしまった以上、俺らが今回の件に関わるのはかなり危険性が伴うことになる。イブラミーのじいさんは、仮にも「スラム街のボス」と言われているように、スラム街を取り仕切り、彼の言うことなら聞いてくれる人が多かったからだ。ゆえに、イスドラークのスラム街はある程度の秩序を保つことができていた。だけど、今回の悲惨な出来事で、完全にスラム街の治安は悪化することになるだけだろう。それに、スラム街の多くは、イスドラークの領主側へと恨みの矛先を向けるだろうな。犯人が一体誰なのかという証拠を一つ物的証拠に求めてしまってる。そうなると、冤罪の可能性も出るだろう。イスドラークはかなり最悪な方向でスラム街の暴発をきっかけにして、大量の死者が出る内乱状態になる。それを知った上で、依頼を継続するか、それとも、依頼を放棄して、支払ってもらった分の金を返金した上でカルフィーア村に戻るか。長の判断を聞いている時間はないと考えた方が良い。だからこそ、お前らの意見を聞く。」

 アーサルエルからしたら、カルフィーア村の長のランドロに判断を仰ぐ方が良いのだろうが、そんな時間が残されているようには感じられない。

 刻一刻とイスドラークは危険な状態になっているのだ。

 肌というか空気感というもので感じられるものでしかないが、直感の仲間であるというのは確かであり、その直感が間違っていると証明するのは困難なことであり、直感が外れる未来の方をアーサルエルからしたら望むだろうが、そうはならないだろうという、思いすらあった。

 だからこそ、一人で判断するのではなく、同じ依頼を受けている仲間の意見を聞きながら、判断しようとしているのだ。

 これを臆病だとか、卑怯だとか言う人がいるかもしれないが、そのような人は何でもかんでも一人で勇敢に判断して行動することを素晴らしいと思うかもしれないが、それはただ単に一人で判断し行動できるイコール強いと判断しているだけで、単純な思考しか自身にはできないということを証明しているだけに過ぎない。

 現実は、そのような単純な判断だけで、良い結果をもたらしたり、生き残りができるようなものでは決してない。時に、卑怯だとか、臆病だとかと言われるような判断をすることが重要な場面もあるだろう。

 結局は、状況によって、冷静に考えながら、過去の経験や得た知識や教訓を参考にしながら、自分が後悔しないような判断を下さないといけないということになる。

 その判断であったとしても間違うことがあり、間違ったとしてもその判断に責任が持てるようにしておかないといけない。

 要は、軽い口先の判断でミスしたとしても、責任というものが発生するということである。

 話を戻し、アーサルエルは、他の意見を聞きながら、自分達にとって良い判断は何であるのかを探ろうとしているのだ。自分個人では決して閃くことのできなかった判断を―…。

 そういう意味では、新たな可能性を探るというものに似ているのか、同類なのかもしれない。

 アーサルエルの言葉を聞いたアイラ、エンゲル、リガはそれぞれに考える。

 (…………………………………ここは自分達の安全を考えるのなら、さっさと依頼を放棄して、依頼金を返却した上で、カルフィーア村に戻って、長に報告するのが良いわ。余計なことに巻き込まれる方が、依頼放棄によって失われる名誉より危険だわ。名誉も信頼も地道に再度、積み上げていけば良いのだし―…。)

 その中で、リガが考えているのは、イブラミーの依頼を放棄して、カルフィーア村に戻って、ランドロに依頼放棄をしたことを報告することだ。

 イブラミーが殺されてしまった以上、アーサルエルの話から、今回のクーデターがコントロールされたものになることはない。

 なぜなら、イブラミーという存在によって、イスドラークのスラム街の治安というものが保たれている以上、イブラミー以上に統制をとれる存在がいないのだから、スラム街全体で統制をとるのは不可能だし、仮にできたとしても、かなりの時間を消費することになり、依頼で得た報酬以上の出費をしてしまうことになり、こっちにとっては、損でしかない。

 スラム街の人間の中で、依頼の追加料を支払ってくれるような人がいるとは思えない。

 そんなことを考えたからこそ、リガはさっさと村に戻る方が良いと考えるし、依頼失敗によって信頼を失うとしても、別の依頼を何度か受けていれば、自然と信頼というものは上がるだろうし、命を失ったりすれば、それこそ、信頼も報酬も意味のないことになるし、傭兵としてもなるべく数を減らすようなことをすれば、補充するのが大変だし、命あっての物種と言われるように命があればこそ、何かしらのことを成し遂げることが可能なので、自身と同じ依頼を受けたメンバーの命を大事にする。

 リガの判断を馬鹿にすることはできないし、彼女の判断に間違いはない。

 だけど、この世の中、自分の判断以上に、良い結果をもたらすことだってあるので、これを最上の考えとするのは、あまりにも浅はかなことに過ぎない。

 実際、最上の考えというものを見分ける方法は存在せず、時間を消費して見つけた有限の方法を、時間を消費して判断しているだけにすぎず、全てを見ているわけではないし、全てを見て判断しているわけではない。

 そして、アイラもエンゲルも考えているのであるが、彼らがリガ以上の答えを出すのはかなり難しいことかもしれない。

 「俺はさぁ~、依頼を放棄するかどうかは分からないけど、イスドラークのスラム街で……その重鎮を暗殺するということは何かしらの狙いがあるのだろ。アーサルエルさん。アーサルエルさんからしたら、その狙いは何だと思う。」

 エンゲルは、アーサルエルに質問するのだった。

 考えながらも、どうしても気になってしまった部分があるのだ。

 何故、イスドラークの「スラム街のボス」と呼ばれるイブラミーを暗殺する必要があるのか?

 その狙いを理解できないと判断を下すのは難しそうに感じたのだ。

 (こいつが真面な質問をするとはなぁ~。)

 アーサルエルは、エンゲルの質問に対して、感心しながらも、自身も頭を少しだけ使い、考え、自分なりの見解を言うのだった。

 「あくまでも、俺自身の考えだ。今回、イブラミーのじいさんは、イスドラークの領主に対して、クーデターを計画していた。これは、イスドラークの領主がスラム街を潰して、自身の理想とする美しい都市のための新たな宮殿を建造しようとしているからだ。それに、領主は、スラム街の人間のことを毛嫌いしていてな、スラム街の人間を殺してでも、スラム街を潰すことにしているのだと―…。イブラミーのじいさんの言葉から予想すれば―…。そして、それを可能にするために、領主はサンバリアから何かしらの武器を購入したらしい。だからこそ、その武器に対処するのが俺らの依頼というわけ。最後の方は聞いていると思うのだが―…。」

 アーサルエルからしたら、今回の依頼の内容を聞いていれば、サンバリアという言葉と、そこから購入された兵器という話ぐらいは聞いているだろうし、ランドロの方でも説明しているだろう。そのように思ったので、最後に付け加えて言うのだった。

 依頼の内容を何も教えずにランドロが派遣するということはあり得ないし、アイラに関してはしっかりとアーサルエルからもランドロからも聞いているはずだ。

 エンゲルとリガは、後から来た方なので、ランドロが説明しているものと思われる。そのようにアーサルエルは思っている。

 そして、アーサルエルの答えに対して、エンゲルは考える。

 (依頼を放棄するのは簡単なんだろうが―…。う~ん。)

 エンゲルは同時に、悩む。

 依頼を放棄することは簡単だし、カルフィーア村に帰れば良いし、イスドラークに商売をするようなことを以後、しなければ良いだけだ。

 だけど、心の中で、何かしらの引っ掛かりを感じるのだ。

 その引っ掛かりを今、言葉にすることはできないでいる。

 そんな間に、リガは決めたことを言う。

 「私は、依頼を放棄すべきだわ。イブラミーという人も殺されてしまった以上、その依頼は、依頼主死亡により、放棄。依頼金はさっさと返却して、カルフィーア村に戻って報告するべき。私たちはすでに、ある人を匿ってしまっている以上、サンバリアが何をしてくるか分からない状況。なら今は、私たちの村を守る方が重要よ。アイラもエンゲルも分かったわね。」

 リガからしたら、これ以上、イブラミーの依頼に関わる必要はない。

 カルフィーア村は、サンバリアの最後の王の時代に宰相の地位にあったアルタフとその家族を匿っている以上、こちら側から余計なことに突っ込んでいる暇はないし、依頼主であるイブラミーが殺されている以上、もう依頼放棄で十分だと考えられ、関わりあいになれば、カルフィーア村の方に大きな損害を与えるかもしれない。

 リガは、余計なことをしたくはないのだろう。

 間違った判断ではない。

 そんななか―…、エンゲルも考える。

 (………リガの言っていることは間違っていないのだが―…。)

 まだ、悩んでいるような感じだ。

 一方で、アーサルエルは―…。

 (リガの言っていることは間違っていないし、合理的だ。ある人が誰かは分からんが、リガとエンゲルはサンバリアに向かっていたということは、サンバリア関連の要人だろう。最近の情報はなかなか入ってこないが、サンバリアは議長側と王政の最後の宰相の人間が対立しているという情報があったな。そして、依頼の内容は詳しく聞いていないけど、王政の最後の宰相だった人間を匿ったのだろう。名は、アルタフと言ったか。まあ、そうだとは限らないし、ここで詳しいことをリガが教えてくれることはないだろうし、エンゲルだと軽口で余計なことを大声で喋って情報漏洩を発生させかねない。ランドロ様も何で、エンゲルをこちらの追加派遣メンバーに選んだのやら―…。もしかして、エンゲルが問題を起こしたからではないだろうなぁ~。はあ~。だが、ここで依頼放棄を判断するのは早計になる。エンゲルとアイラの意見を聞かないとな。それに―…。)

 心の中で考えながらも、答えあぐねていた。

 なぜなら、リガの依頼放棄の判断は何も間違っていないように感じられるのだが、どこかしらの引っ掛かりというものを、エンゲルと同様に感じているのだ。

 だからこそ、簡単にリガの意見に靡いて良いのか慎重になってしまっているのだ。

 その一方で―…、アイラは考えながらも、言葉にすることはなく、ただ、ある一点を見ながら、アーサルエルが考え終え、少しの時間が経過すると口を開くのだった。

 「私は―………。」

 他の三人がアイラの方に視線を向ける。

 アイラが何かを言ってくる。

 それは、何かしらの意見を言ってくれるのだろう。

 そのように感じて―…。

 アイラは続ける。

 「今回の依頼は放棄すべきじゃない。この都市には、私たちと同じ首筋に水晶を持っている人間がいるから―…。そして、このまま依頼を放棄してしまえば、イスドラークは最悪の事態になる。私は一人でも行く。」

 アイラは強く宣言する。

 その言葉の意味を完全に理解しているかは分からないが、感覚的なものであったとしても、アイラの気持ちが揺れ動くようなことはなかった。

 彼女なりの気持ちなのだろう。

 そして、リガは怒りを感じるのだった。

 (こいつぅ~。)

 リガは知っている。

 アイラもまた問題児であり、感覚的に行動することがあり、アーサルエルに銃の扱い方を教えてもらったのに、一切、使おうとしないことだ。

 なぜ、なったのかは分かっているが、それでも、少しだけその面で許せる気持ちにはなれなかった。

 そして、親友を殺された日から、アイラはサンバリアで一緒に過ごした者と会話するようなことがほとんどなくなった。

 それが、リガにとっては気に食わないことだった。

 ゆえに、リガは反論する。


第161話-4 狙い通りにならないのが世の常 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。


次回の投稿日は、2026年1月27日頃を予定しています。

では―…。

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