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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
776/812

第161話-2 狙い通りにならないのが世の常

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 一方で、領主バウネッターの方は―…。

 自らの荘厳な屋敷の食事部屋にいながら、優雅に食事をしていた。

 バウネッターは育ちが良いのだろうか、食事の姿は優雅なものであり、これを見たものは惚れ惚れしてもおかしくはないだろうが、彼の考えを理解すれば、ゾッとするであろう。

 そんななか―…、報告がもたらされ―…。

 一回、食事を止め、肉を嚙み終え、飲み込み、グラスに注がれている水を少しばかり飲む。

 それらを終えると―…。

 「それは行幸だ。あのクソ馬鹿が死んだんだ。スラム街の奴らはどこかで暴発するに決まってる。奴らが暴動を起こせば、イスドラークが綺麗で素晴らしい都市になるための計画ができるものだ。その時、奴らの血で汚くなってしまうが、それは、我の素晴らしい部下たちが綺麗さっぱりふき取ってくれるだろう。そうすれば、我が一族の伝承通りに―…。」

 バウネッターの家には、代々、伝わるという話があるようだが、ここで触れることはないが、バウネッター自身が勘違いしている可能性を否定するようなことではない。

 なぜなら、人は全ての物事を完全に理解できる存在ではなく、何かしらの欠陥を抱えた存在であり、書いてある伝承においても、伝わらない意図というものが存在していたとしてもおかしくはない。

 そうであるからこそ、バウネッターの言っていることが正しいとは限らない。

 そのこと以上に、補足する必要はないだろうが、この言葉を聞いたバウネッターの家での執事やメイド業を生業としている者達からしてみれば、恐怖そのものであろうが、自分達が反抗したり、批判したりするようなことはできない。

 そんなことをしてしまえば、自分達の首が物理的にも飛んでしまう可能性があるのだから、余計に自分の身を守るためには言えなくなるのだ。

 弱いから悪いんだと言うのは簡単であろうが、人生とは思い通りにならないのが常であり、それは、どんな地位にあったとしても変わることのないものであり、狙い通りできる可能性を上げるか下げるかしかできないのだ。決して、どんなことがあっても実現できるかを保証するものではない。

 バウネッターは―…。

 「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。」

 笑いあげるのだった。

 こんなに面白いことが世の中にあるのだろうか。

 偉い地位にあれば、何でもできる。

 他者の命をも自分の思い通りにできるのだと!!!

 まさに、バウネッターはそのように感じていることであろう。

 我が世の春。

 そんな感じに―…。

 本当に素晴らしい世の中を迎えられるのだろうか?

 向かうことができるのだろうか?

 人は得てして、調子の良い時、自分が成功している時ほど、警戒が緩むものであるし、その結果がどうなるのかまだ分からないのに、自分にとってハッピーな結末になるだろうと思っているのだろうか?

 バウネッターの笑い声は、満面なものであるが、同時に、どこかしら、見ている者達にとっては、あまりにも良い予感のするものには感じられなかった。

 この世には、やってはいけないことがあるのだ。

 バウネッターはそれを引いたのだろうか?

 自らの中に溺れたバウネッターは―…。

 (これで、スラム街の者がいなくなり、そこを我の贅をこらしたものを造れば、きっと、きっと、我の威信を目の当たりにして人々が我のためにやってくるはずだ。美しく、美しく、そして、汚いものはすべて無くなる。)

 そんな望みを抱きながら、スラム街の人間が暴発するのを嬉々しながら待つのであった。

 彼らを自らの礎の代償とするために―…。

 これを見ていた人の者は、何も言葉にすることはなかったが、こいつに今、逆らうようなことをしてはいけないと思いながらも、同時に、怒りの感情を抱くのだった。

 こんなことが許されてたまるのか、と思いながら―…。


 場所は戻って、スラム街の中にある石でできたログハウスの中。

 そこでは、アーサルエルが問い詰められようとしていた。

 「アーサルエルさん。あなたは、ボスから依頼を受けたと聞いています。なぜ、ボスの命を守ってくれなかったのですか?」

 若大将と呼ばれる男性が、アーサルエルを若干ではあるが、問い詰めるように聞く。

 若大将にとって、アーサルエルに対する怒りというものもあるが、イブラミーから依頼の内容を聞いている以上、アーサルエルに責任がないのは分かっているが、こればかりははっきりとさせないといけない。

 なぜなら、周りもイブラミーが何らかの依頼をしたのは薄々気づいており、普段はいるはずもないアーサルエルがいる以上、この人物がイブラミーから依頼を受けたのではないか、と思っている人がいてもおかしくはない。

 そして、若大将は、そんな彼らの不満を少しでも和らげる必要があるからこそ、このような質問をするのだ。

 アーサルエルが空気を読んだ解答をして欲しいと―…。

 「依頼の内容を知っているのなら分かっているだろうが、知らない者のために依頼の内容をはっきりと言っておく。今回の依頼は、あくまでもクーデターの時に協力することと、イスドラークの領主が手に入れたとされるサンバリアからの兵器は、スラム街の人間では対処できないので、スラム街のボスと言われたじいさんの昔の知り合いであるうちの村の長に依頼があり、そして、依頼金額でできる限りの最強の傭兵を派遣するということで、俺と他三人が派遣された。俺もお前がボスと崇めるじいさんに、じいさんの護衛を入れなくても良いのかと聞いたが、駄目だった。じいさん自身が断ったことだ。俺らは傭兵である以上、依頼を越えるようなサービスまではできない。残念ながら、俺らはお前らの役には立てそうもない。申し訳ない。」

 アーサルエルはこれ以上、ここにいたら、彼らの責めを受けるようになるかもしれないが、それ以上に自分が傭兵としての役割を冷静に果たせなそうと感じたからだ。

 人には感情がある。

 論理や合理性と人々が言っているもの以上に、感情は時に、人々の心の中で優先される。

 感情は人々の行動の源となるが、同時に、ある程度、自分の決まりきったパターンで判断し、相手がそのパターンを知っていたとしてもお構いなしにしようとしてくる。

 ゆえに、感情は時に悪用したいものにとって都合の良い結果を最終的に、導くことがある。

 そのため、感情ばかりで判断することは危険なことでしかなく、理性というフィルターを通して、疑念というもので疑問に思いながら、今の感情は自身にとって良い結果を導くのか、自分以外の視点ではどうなのか、と考慮しないといけないことはたくさんあるし、それを面倒くさいと思って、感情に訴えかけるから良いではないか、と思っていると、最悪の結果になることだってある。

 それは、実際に、周囲の破滅をもたらすし、現実には焼け野原になることだってあった。

 ゆえに、感情だけで判断するのは時に危険が伴うので、必ず理性というフィルターをしっかりと通しながら、本当の意味で一端落ち着く必要があるのだ。

 騙そうとする者は、あなたの感情に訴えることだけを言えば良いのだし、それで自分の都合よいように動かせるのなら、楽でしかなく、騙された者の後先など一切、彼らは考えてすらいない。

 結局、騙された者が損をするだけである。それも周囲からの関係を断絶するということになって―…。

 だからこそ、感情というものはしっかりと自分の中で正しいかどうかを監視し、感情での行動の場合は一回、落ち着き、本当にその感情で良いのかを考えないといけないということだ。

 決して忘れてはならない。短気な性格の人ほど―…。

 アーサルエルも感情が強く訴えかけてくるので、それを抑えるために、カルフィーア村の傭兵派遣でのルールを無理矢理にでも思い出させながら、素早く逃げるしかないのだ。

 だけど、そのような気持ちを理解してくれる人は、ここには一人を除いていなかった。

 「あんたがボスを守っていれば、こんなことにならなかったんだ!!! 責任取れ!!!」

 この場に集まっていた人の一人が、アーサルエルへと詰め寄ろうとした。

 アーサルエルの方も躱すことができたのだろうが、自分のことに必死となり、警戒するのを忘れるのだった。

 ゆえに、詰め寄った人物に服を掴まれる。

 「そうだ!!! そうだ!!!」

 合唱になってもおかしくはないのだが―…。

 「全員、黙りな!!!」

 若大将が圧を込めるように言う。

 若大将からしてみれば、アーサルエルは傭兵であり、傭兵は依頼の範囲内でしか行動をしないのは分かっているし、イブラミーが自分を護衛しなくても良いと言っている以上、アーサルエルにイブラミー暗殺の責任を押し付けるのは、あまりにも身勝手なことだ、と考える。

 そして、アーサルエルから謝罪もあり、アーサルエルをこれ以上追いつめるのは危険だと判断して、若大将の方もアーサルエルの悔しさを理解したからこそ、このように言ったのだ。

 「若大将―…。」

 不審な目を、アーサルエルと詰め寄った者は見る。

 この人物からしてみれば、アーサルエルがイブラミーを護衛していれば、イブラミーが命を落とすようなことはなかったと強く思っているからこそ、自分の不甲斐無さが加わって、誰かを問い詰めていないとやりきれなくなってしまっているのだ。

 感情は時に、理性すら振り切ってしまうぐらいに、時にとんでもない強さを発揮する。

 ゆえに、感情というものは行動の源であると同時に、扱いが難しいものであり、苦悩させられるものなのである。

 だけど、感情をある程度コントロールすることができなければ、最悪の結果しか待っていないし、周囲の離反を招くことになり、孤独になってしまうことだってある。

 孤独を望む人にとっては感情の暴走は良いかもしれないのだろうが、同時に、自分が一人では得ることのできなかった思考を手に入れて発展させる機会を失ったのにも等しい。そのことによって得られる利益というのは莫大のものであり、社会の発展に必要なものであったりする場合がある。その貢献が物凄いことになったりすることもある。

 だけど、気づかないことがあるのは人が不完全な存在であり、完全になることができないことの一つの証左であり、完全を目指すことができるだけの存在であることを物語る。

 そして、アーサルエルに詰め寄った者は、若大将の言葉を待つ。

 「あなたは傭兵である以上、依頼を越えることができないのは分かります。そのようなことをしてしまえば、そこに付け込んでくるものがいるからでしょう。だけど、今回、あなたが受けた依頼は、イスドラークのスラム街のクーデターに協力することになっています。そして、その時、サンバリアから購入された兵器との交戦になった場合、あなたが対処することになっています。要は、我々が近日クーデターを起こした時、あなたがたは我々に協力する義務があるということになります。すでに、ボスとの間で金銭取引をおこない、契約を交わしている以上―…。勿論、分かっていますよねぇ~。」

 若大将からしたら、イスドラークがサンバリアから購入された兵器がどんなものであるかは分からないが、サンバリアの兵器はかなりの技術力を込められているものである以上、自分達の武器で対抗できない可能性があるのなら、そういう面は傭兵に任せる方が良い。

 リスクはなるべく避けるべきであり、この依頼がイブラミーが殺されたことによって、破棄されるようなことになれば、自分達は領主側に勝てたとしても、かなりの数の犠牲が出て、イスドラークの復興に大問題が発生することは避けられない。少しでも被害は少ないに越したことはないし、払った依頼金が返ってくるか分からない以上、依頼を受けた者には依頼内容の仕事をさせた方が得だと判断している。

 損は嫌だから―…。

 そういう意味では、若大将は損益を考える能力が今の面では出ているという感じであろうし、しっかりとしていると言ってよい。

 アーサルエルの方は、少しだけ考えながら―…。

 (……あのじいさんが殺された以上、この依頼は破棄になってもおかしくはないが、この若大将とか言われる奴―…。俺の情に訴えながら、依頼内容を遂行せよ、言ってきているのか!!! ここで簡単に賛成したり、反対するのはかなり危険だな。今は曖昧にしておくか。)

 「他にも仲間がいるので、彼らと話し合わない限り分からないし、迂闊に答えを出すわけにはいかない。済まないな。」

 アーサルエルは、ログハウスから出て行くのだった。

 アーサルエルからしたら、簡単に返事をすれば、自身の命の危険に巻き込まれる可能性があるし、イブラミーが殺された以上、必要以上に巻き込まれるのは危険だし、他のメンバーと話し合った上で決めた方が良い。

 アーサルエルの一存で決められるほどの状況ではなくなってしまったのだから―…。

 「ええ、期待しています。」

 若大将の方は、敢えて、アーサルエルから良い返事を貰える可能性を上げるように、必要以上の刺激をしないように考えながら、言う。

 言葉は、自分が思っている以上の効果を時に発揮することがあるので、そのことに対して、注意しないといけない。

 良い結果も悪い結果ももたらすことがあるのだから―…。


第161話-3 狙い通りにならないのが世の常 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。


では―…。

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