第161話-1 狙い通りにならないのが世の常
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。
そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。
詳しくは本編を読み進めて欲しい。
そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。
一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。
そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。
「……………………………………………。」
餓鬼大将の子どもは理解できなかった。
何故か、イブラミーが倒れて何も言わなくなったのだ。
そして、頭から血を出していたのだ。
スラム街にいたとしても、このような光景を見るようなことはない。
人が命を落とすシーンはいくらでも見てきたはずなのに、銃殺されるということがかなりのレアケースである。
銃という武器はそれだけ珍しく、餓鬼大将の子どもにはその事例が一つもなく、訳が分からなくなっているのだ。
他の子ども達の今の光景が理解できなくなってしまい、言葉を出すことも一瞬のうちではあるが、できなくなっていた。
だけど、言葉にできない時間を永続に続けるようなことはできない。
次第に、声を出す。
「じいちゃん―…。」
恐る恐ると言った感じであろう。
餓鬼大将の子どもも警戒しながら、何か変なものはないかと思いながら、ゆっくりと近づいていく。
そして、イブラミーのいる場所に到達すると―…。
「じいちゃん…………………………………………………じい……ちゃ……………………………………ん。………返事…………………して……………………………………………く…………………れ………………………………………………よ…………。」
そのように言っている間に、子ども達のざわつきに気づいた大人の一人がやってくると―…。
「何だ!!!」
イブラミーの姿を見て―…。
(頭部から血―……。誰かに狙撃されたのか!!!)
この大人の一人は、銃で狙撃されたということに気づき、すぐに、脈を確かめるのだった。
だが―…。
「イブラミーの爺さんは殺害された。誰だ………………こんなことをやったのは!!!」
怒り狂うのだった。
その言葉は共鳴するのだった。
感情の波になって―…。
【第161話 狙い通りにならないのが世の常】
場所は、近くにある建物。
そこからは、今の広場を見下ろすことができるし、イブラミーを見ることができる。
ゆえに、恰好の射撃場となる。
そんな屋上には、一人の人物がライフル銃のスコープを覗きながら、あることを確かめる。
(ターゲットの始末は完了。流石は、サンバリアの最新式の兵器。まさか、あの兵器のおまけでこれが貰えるとはなぁ~。サイコ~。正確に目標を定めることができれば、簡単に、ターゲットを始末することができる。)
この人物が、イブラミー射殺犯の実行犯であることに間違いない。
狙撃手としての腕はあるのだが、イブラミー射殺後も自身の成功に若干ではあるが、酔いしれており、さっさと移動することを怠っている。
そのようなことをしていれば、誰かに気づかれるかもしれない。
だけど、ライフル銃なんて武器は、一般に知られていないが、遠距離からの射撃というのは多くないけど、存在はあるので、スラム街の人間が気づく人がいたとしてもおかしくはない。
ゆえに、さっさと退却するのが良いに決まっている。
そして、作戦の成功に酔いしれていたが、冷静さを取り戻したのか―…。
(さっさと退却だな。)
ということで、狙撃犯の者はさっさと退却するのだった。
その時、この場所に気づかれた時のために、イスドラークの紋章をその場に置いていくのだった。
これは、スラム街の側を怒らせるためのものであり、スラム街掃討のために必要なことであり、上からの指示なのである。
そして、話を少しだけ戻すが、ライフル銃を生産できるのはこの地域ではサンバリアのみであり、サンバリアはかなりの数のライフル銃を保有しているが、僅かばかりではあるが、ライフル銃を他の国家や都市の上層部または、自分の息のかかった者や組織に対して、売っている。
その理由は簡単だ。
武器の性能をテストするためであり、サンバリアの武器の素晴らしさを売り込みつつ、サンバリアと対立させずに支配層を支配するためであり、サンバリアと戦う段階になった時、サンバリアに反抗するようになった場合、サンバリア側がさせた場合にサンバリアの敵となった側の被害を甚大にさせ、サンバリアの言う事を何でも聞くようにするための狙いである。
そうすれば、誰もサンバリアに逆らうようなことができなくなり、相手側は理不尽な要求であったとしても受け入れるしかなく、サンバリアの目的に適うものである。アウリア大陸の支配、さらには―…。
要は、自分達の目的のためには、利用できるものを利用する、そのような感じなのだ。
話を元に戻すことにしよう。
今回のイブラミー射殺事件には、サンバリアで製造された武器が使用されたということになる。
そのことを理解して欲しいし、追加するなら、このライフル銃はかなりの値段がした、ということである。
一方で、イブラミーの暗殺事件から数時間後。
すでに夜になり、辺りは暗くなっていた。
そのひっそりとした感じは、イブラミーを暗殺されたスラム街の人々の気持ちを表現するにはうってつけのものとなってしまっていた。
そんななかで、イブラミーの暮らしていた石で造られたログハウスで、会議がおこなわれるのだった。
その中には、アーサルエルがいた。
アーサルエルもまた、イブラミーの暗殺後の夕方の時間に、イブラミーが暗殺された知らせを聞いて、素っ飛んで来たのだ。
自身の責任も感じているのであるが、依頼の範囲を越えるものであり、どうしたとしても、自分ではどうにもできない、諦めの観念を抱きながらも、依頼の範囲を越えていれば守れたのではないか、という相反する気持ちを抱き、自分の情けなさに心の奥底で苛立ちの感情を抱くのだったし、イブラミーの会話を思い出し―…。
(お前がクーデターを起こす前に死んでしまっては意味ないだろ。このスラム街にいる者の多くは、あんたを尊敬している者達ばかりだ。なのに、自分の命を大事しないなんて―…。クソッ!!!)
いくら不満を思ったとしても、人は生き返るようなことはないので、後悔したとしても、結果を塗り替えるようにすることはできない。現実に起こったことは―…。
だけど、現実に起こったことを無かったことにする人という存在は、どこかしらにいて、無かったことにしようとするものは、全てかどうかは分からないが、自分にとって主観的に不都合だと感じているものであり、国家の支配者側であれば、国家にとって、自身の勢力にとって不都合なものを隠して、さも自分や支配者側が優れているのか、素晴らしいのか、世界の中心で栄えているのかを示そうとする。
そんなことをしたとしても、実態が伴わなければ意味のないことなのであるが、彼らが見ているバラ色の世界では、実態というものと現実に起こったということは簡単に計算に組み込まないといけないものを無視したりするのだ。
そのせいで、周囲の真面な人々が被害を受けることになり、人災と化すことさえあるのだ。
ゆえに、為政者や支配者側の人間というものは、いろんなことに対して配慮をして、発言したり、考えたりして、行動しないといけないのだ。相手の行動の意味を自己都合的な主観的なものに囚われるようなことなく―…。
慎重に、慎重に、本当にそうなのか、自分の考えは合っているのか、間違っているのではないか、と思いながら―…。時には周囲に確認しながら―…。
これは、結局は人が完全に物事を把握することができず、物事を把握するのに時間を始点から終点というもの存在し、その始点から終点までの間を消費しているからにすぎず、その性質から解放されるようなことがなければ、完璧な判断というものができる可能性は皆無に等しいだろうし、そもそも、その比較する基準すら持ち合わせることもできやしない。
要は、人は間違いから確実に逃れるようなことはできないし、自分の思い通りに全てがなるわけではないということなので、自分の思っていることばかりですべてのことを判断するようなことをしていては駄目だし、いろんな人の考えを聴きながら、悩みながら、しっかりと自己都合だけになっていないかを見極めながら、判断して、行動しろ、ということだ。自分の思い通りの結果にならないことを想定した上で―…。
アーサルエルは自身の行動の制約に対して、悔しく思いながらも、自分の無力さを理解しながらも、自分の判断が現実に間違いであったとしても、自分の責任であると考えながらも、自分は依頼の範囲を越えなかったことは形式的には間違っていなかったと思うしかなく、そんな自分の情けなさに苛立ちを覚えるが、それを解消できる場所はない。
アーサルエルもまた、学びの場を得たということになっており、判断というものは難しいものであり、安易にできる場合もあるが、安易にしたがゆえに、最悪の事態になることだってあるので、アーサルエルの判断を簡単に非難するようなことはできない、ということだ。
後、アーサルエルは学びの場を得たということで、アーサルエルなりの答えを他者からのサポートを借りたとしても、何かしらの答えを導き出し、自分の世界というものを拡げないといけなくなったのであり、そのことに気づいた上で、次の判断を下さないといけない時に、生かさないといけない。
人生の道というものは、常に何かしらの反省と失敗から一部は成り立っているのだろうか?
だけど、アーサルエルはこの場で、イラつきのせいで、物に当たるようなことはできない。物に当たれば、少しばかりは気持ちをリラックスすることはできようが、そんなことをして、根本的な解決に繋がるようなことがあれば良いが、そうとは限らない。
それに、アーサルエルも立場がある以上、落ち着いた姿を見せるしかない。
気持ちのやり場に困るというわけだ。
そんなことをこの場に集まっている者達が理解できるかは分からないが、かなり難しいことであることに間違いはないであろう。彼らもイブラミーが暗殺されて、気持ちにケジメをつけることができていないのだから―…。数時間前に起こった衝撃的な出来事に対して、ケジメをつけろと言われても難しいことでしかなく、簡単にできるのであれば、苦労はしない。
そして、重い口を開くのは、この場に集まった中でスラム街でイブラミーに次いでの実力者と言われている者であり、具体的な地位があるわけではないが、若大将と呼ばれているぐらいには、影響力を持っている。
「ボスが暗殺されてしまったことは、誠に残念です。ボスがいたからこそ、スラム街の秩序を維持することができましたが、今回の暗殺事件で、スラム街の全員は私も含めて苛立っているのは確かです。報告によると、狙撃によるもので、このイスドラークで狙撃ができるのは、領主側の人間しかいませんし、それに、狙撃場所と思われるものから、このようなものが見つかりました。」
そして、若大将は、狙撃者がわざと落としたものを見せる。
それはバッジであり、イスドラークの軍隊が身に付けている物であり、狙撃することができる武器を持っていたとしてもおかしくはないということから、犯人を推測するのは簡単にさせる。
そのバッジを見た者達は、怒りの感情を爆発させる。
「バウネッターが仕組んだに間違いない!!!」
「バウネッター許すまじ!!!」
「バウネッターに天罰を!!!」
イスドラークの領主側がおこなったというまだ、確定させるような情報が完璧に出ているわけではないのだが、この場にいる人々からしてみれば、領主側が犯人であるのなら、簡単に納得することができる。
普段から、イスドラークの領主であるバウネッターによって酷い目に遭っているのだから、簡単な理由で恨むな、ということの方が無理なものであるし、彼らの怒りは当然のものであろう。
だけど、確実な証拠を積み上げていかなければ、間違いを犯す場合があるので、慎重になった方が良いであろう。
それに、相手側がこれだけのことを実行することができるのであれば、確実に、何かしらの対抗方法を持ち合わせているということにもなる。持ち合わせていないのなら、領主側は馬鹿なのか、それとも、本当の意味で、イブラミー暗殺事件には一切関わっていないのか、ということになる。
その判断をここで、この場にいる者でなすのは難しいことだ。
感情はそれだけ、起爆剤や行動を起こすための源となるのだが、場合によって、暴走という状態にも至りかねない扱いの難しいものなのだ。
ゆえに、感情のコントロールをある程度はしっかりとしないといけないのだ。
(バウネッターが犯人とは限らないが、このタイミングを考えれば、そのような判断を下してもおかしくはない。何の意図があるのか、確かめないとこちらが危険な目に遭うかもしれないし、もし、領主側が犯人で、こちら側の暴発を狙っているのであれば、依頼を受けた俺らを狙ってくることは避けられなくなるだろう。ここは、あのじいさんが殺されたということで、依頼失敗というマイナスを受けることになるが、一度退却をした方が良いかもしれない。暴発に巻きまれれば、カルフィーア村の方にも迷惑をかけることになる。)
アーサルエルからしたら、自分の中の悔しさもあるが、依頼主が殺されている以上、自分達が依頼を実現できないのは確かだし、上の判断を仰ぐ必要もあろうし、迂闊に、スラム街に関わっているとイスドラークの領主側に知られた場合、かなり厄介なことになるし、イスドラークでの交易ができなくなるのではないか、と考えるのだった。
それに、イブラミーが殺されてしまった以上、スラム街に纏められる人物がいるとはアーサルエルからしたら思えなかったのだ。
ゆえに、ランドロの判断を仰がないといけないと判断するのだった。
会議が終わってから、簡単な話し合いをアイラ達としないといけなくなるのと思うと、気が重くなるのだった。
第161話-2 狙い通りにならないのが世の常 に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていくと思います。
では―…。




