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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
771/811

第160話-10 イスドラークへ

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 「ここですね。」

 トルーガはある場所を指す。

 そこには、広場の商売をおこなうことができるスペースではあるが、何も商売がされている様ではなかった。

 そして、いつも、ここがミグリアの隊商が商売をおこなうスペースなのである。

 大きさは結構あり、十メートルの幅がある。馬車の荷台から荷物を降ろせば、馬車の方はいつもの宿泊先の方に向かわせることになる。

 「ありがとうございます。これが使用料と―…、案内料です。」

 ミグリアは百万アルガエスとプラスして十万アルガエスを案内料としてトルーガに出すのだった。

 このような不正な金のような使い方をしたくはない。

 チップと言えば、聞こえは良いのだろうが、彼らは決して、管理の仕事をより良いものへとする創意工夫ということをすることなく、何もせずにお金を得ることだけしか考えていない。チップと異なるのは、払わないという選択したら、広場で商売できなくなるように圧やら妨害を受けるのだ。そうである以上、選択肢はないと言って過言でもない。要は、自分の懐具合しか気にしていないとも言える。

 一番怠けているのは彼らであろう。

 何かしらの理由で貧困になった者に対して、自己責任だということを言うべき立場にはないし、貧困になる可能性は誰にでも潜んでいることであるし、その逆もまたしかりと言える。

 偶発の要素に関して、自己責任だと簡単に言える者を信じるようなことをしてはいけない。

 彼らは自分の利益にしか興味がなく、他者が悪い結果になろうと気にするようなことは一切しないし、そのようなことになったとしても、自分の利益になると本人が思っていること以外は何もしないであろう。

 ゆえに、無責任であり、かつ、そのような自分の利益にしか興味のない者もまた、自らの首を絞める結果になるだけであり、マイナスの被害を蒙り、マイナスにしないため、自分の利益を維持するために、他者の利益を吸い上げることに特化していく。

 結局、人の命を奪うことに特化したウイルスと何も変わらない。

 今、トルーガは、そのような哀れな存在に成り下がってしまっているのである。

 ミグリアも商売をしないといけないので、仕方なく支払っているという感じで、商人からしたら、自分達の利益を減らされるので、あまり好きではないが、払わないことによって受ける管理側の妨害に対して、対処するのはそれ以上に面倒くさいものである。

 だからこそ、大人しく払うしかないし、良心的であれば、自分の利益を減らしたとしても、買ってくれる人が払える価格にすることを望む。

 ミグリアに良心がないわけではないが、自分の隊商に属している者達の生活がある以上、良心的なことはあまりできない。

 そこが歯がゆいことであり、さっさとイスドラークの領主が真面な人に変わって欲しいと思っているのである。

 そうすれば、少しは良い商売ができるのではないかと思っている。

 言葉にはできないが、そのように思うこと自体に罪というものはないだろう。

 「いつもありがとうございます。」

 トルーガは多くを言わないが、感謝の言葉を言う。

 この案内料というのが自分の収入にとって、馬鹿にすることができないものなのだ。

 いくら使用料からの収入が得られるとしても、領主や別の上級役人、領主の直臣に納めるものがあるので、生活をしてはいけるほどだが、彼らのような存在を見ていると、自分も贅沢な暮らしを送りたいのだと思ってしまうし、腐敗したところで、彼らが後ろ盾になってくれるのであれば、自分が好き勝手をやったとしても許されると思っている。

 ゆえに、上だけを見て、下を見なくなるし、下のなかでも大量にお金を払ってくれる人しか見なくなる。ミグリアはそれを利用しているわけであるが、そのようなことをしないといけないイスドラークの現状には、飽き飽きとしている。

 そのようなことにトルーガが気づくことはないだろうし、気づけるだけの器量というものは持ち合わせていないだろう。

 (………ミグリア、お前―…。)

 グロリーガは、そんなミグリアを呆れたとように見ていたが、自分が同じ立場ならしていただろうと思うと、指摘するようなことはできなかった。

 結局、儲けないといけないし、イスドラークが腐敗していても、それを治せるだけの力量を持ち合わせていないし、ラナトールであったとしても、自分の支配下にすることができなかった以上、グロリーガがイスドラークを何とかすることはできない。

 そのように感じるからこそ、言えるわけもないし、ミグリアのおこないを糾弾するようなことは一切できない。

 力がない者は、ただ従うしかない。

 だが、その力というものは曖昧であり、普遍ではなく、常に変化しているものである以上、タイミングをしっかりと判断しないといけないし、相手の行動によって勝機もしくは最悪が訪れるということもある。

 そして、力が全てだと思っている人間はいるかもしれないが、その力を一つの基準で判断することはよっぽどの条件が整わない限りできず、複数の要因が絡むことがあり、判断が難しく、適切な方法を見つけられるかはこれからのことになるであろう。

 物理的な力ではなく、社会的な力ということの面であろうが―…。

 「では、良き商売を―…。」

 柔和な表情になりながら、トルーガは言うと、管理をおこなっている建物の方へと向かって行くのだった。

 その表情から察するに、あまり良い印象を感じられるものではなかった。

 「行ったか。すまんな、グロリーガ、李章君。見苦しいところを見せてしまって―…。ああでもしないと、真面に商売するのが難しくてね。イスドラークの交易商売用広場は、どこもこんな感じだ。」

 ミグリアとしては、苦々しい思いを抱きながらも、平静を装うように言う。

 その言葉を聞いたからこそ、グロリーガは、ミグリアを批判するのは止めようと完全に心の中で決めることができた。

 そして、ミグリアも大声では言わず、グロリーガと李章に聞こえるように言っている。

 「そうか。」

 グロリーガからすれば、このような不正を許せる気持ちにはなれない。

 だけど、同時に、自分が言える立場でもない。

 略奪を生業(なりわい)にした以上、どうしようもない。

 一方で、李章の方も、指摘することはできたであろうが、大人の世界である以上、言うべきではないし、自分達はサンバリアへと向かっている以上、余計な騒動はあまり起こさない方が良いと判断しているのであろう。

 ラナトールでのビックアイサソリに関しては、「緑の水晶」とかのアドバイスみたいなものがあったので、倒したし、そのことによって、ミグリアの率いる隊商の護衛として、イスドラークへの砂漠越えをすることができた。安全かどうかは略奪団との戦いがあったので、指摘できるようなものではないだろうが―…。

 そして、李章も正義感が強いだろうが、その正義感を本当に出して良いかを考える必要は往々にしてあるし、今、ここではない、と思っている。

 瑠璃に迷惑をかけるべきではない、という気持ちもはたらいたからなのであろう。

 「いえ、護衛もここで終わりなので、私たちは、イスドラークから別の方法でサンバリアに向かうだけです。」

 李章はそのように返事をする。

 李章たちの目的地はリースを出発した時から決まっている。

 瑠璃を襲撃した人間がいるとされるサンバリアである。

 どうして、瑠璃を襲ったのかという理由を探り出し、二度と襲えないようにしないといけない。

 サンバリアの関係者であるラグーラを捕まえたので、彼を道案内役にさせれば良いということになる。

 暫くの間、ラーグラを自分達だけで監視しないといけなくなるし、隊商といる間は、隊商の人も見張ってくれていたし、略奪団の方も見張ってくれたので、ラーグラが逃げ出すようなことはなかった。それが自分達だけとなると、どこかしらの隙が生じるのではないかという不安も感じているのだ。

 ゆえに、その不安を読まれないように、李章は、平然とした表情で返事をするのだった。

 その李章の表情を理解できないミグリアとグロリーガではないが、そうであったとしても、彼らとの護衛契約はここまでであり、これ以上、関わるようなこともないだろうし、向こうも関わるようなことはしてこないだろう。

 だからこそ、これ以上のお節介はいけないことだと思う。

 彼らの人生を背負えるほどの器量は持ち合わせていない。

 「そうか、気をつけろよ。」

 代表してグロリーガが言うのだった。

 そして、店の設営が始まり、瑠璃たちも李章は合流するのだった。


 数時間後。

 設営が終わるまでの間、手伝わされるようなことはなかったが、その間に、報酬の支払いの話とラーグラに関する話し合いになり、瑠璃たちがラーグラを引き取ることになった。

 ラーグラをサンバリアまでの案内役にしようとしているからである。

 その時、ラーグラは反抗的な態度を示したり、逃げ出そうと画策するのであれば、無事に失敗に終わる。

 そして、ミランは、護衛の報酬が良かったこともあり、ご機嫌であった。

 言葉にしないが、結構、周囲にはバレバレの模様であった。

 「護衛をしてくれてありがとう。君たちのおかげで、イスドラークへと安全に辿り着くことができたし、帰りの護衛も確保することができた。キャラバンを代表して感謝しかない。ありがとう。」

 ミグリアは頭を下げる。

 本心から思えるからこそ、自然とできるのであった。

 「いえ、こちらこそ、安全にイスドラークまでの砂漠を越えることができました。私たちは、こちらでサンバリア行きのための方法を見つけますので、出会える時があれば、その時は―…。」

 ミランは言う。

 ここで、失礼なことは言えない。

 ご機嫌であったとしても、最後に相手の不快をかうようなことはしたくない。信頼関係は重要なものなのである。

 「ええ。」

 こうして、瑠璃たちは、ラナトールからイスドラークまでの護衛の依頼を無事に果たし、報酬を得て、自分達の泊まる場所と、ミランが探している人々を探すのを開始するのであった。


 場所は変わって、イスドラークの領主のいる館。

 いや、大きな建物であり、大きなドーム状の建物の左右に合計で四つ、規則正しく並べられている塔があり、そのドーム状の建物の入り口には、数十本の木が規則正しく冊になるかのようにして並べられるようにして生えている。

 さらに、入口へと向かってくるための道路の横にも左右に木が規則正しく、その横には左右ともに水が流れており、これは、イスドラークの近くにある川から引いてきたものであり、ここから再度、イスドラークの川へと流れるようになっている。そのようなものであり、この宮殿の近くには、川が流れている。

 ゆえに、イスドラークの者は「川の宮殿」という呼び名で呼んでいる。

 そんな建物を領有するのはイスドラークの領主であり、今の領主が亡くなれば、ここに埋葬されることが決まっている。

 自分の墓標のため、自分の栄光を人々に知らしめるために建てているのだ。

 水と森を持っているというこの地域での富の象徴として―…。

 人々の生活を犠牲にしながら、威容は示す。

 そんな館、いや宮殿の中のある一室は、領主が職務をするために使う場所となっている。

 そこには領主と領主の秘書が一人いるのだった。

 「サンバリアからの情報です。」

 「何だ?」

 イスドラークは、サンバリアとは仲が悪いわけではなく、良い方であるが、領主としてもサンバリアを信じ切るようなことはできない。

 そして、秘書からこれから話されるサンバリアに関する情報に対して、面倒くさいなと思いつつも、聞かないわけにはいかないという態度になる。

 サンバリアを無視するようなことはできないのだから―…。

 秘書は報告する。

 「情報によりますと、サンバリアの民主政を築いたラング=イバラグラ議長が傘下の議員によって殺され、その傘下の議員も中央の塔で自爆する事件が発生しました。その後、サンバリアは、議長代理のアンベン=バダン=マルーシャが事実上、サンバリアを仕切るという感じになりました。」

 秘書は、報告を言いながらも、冷や汗を垂らすようなことはせず、淡々と自分の任務をこなすのであった。まるで、感情がないロボットであるかのように―…。

 ここまで感情を出さないようなことをしていると、返って、怖いものであるが、領主が気づくようなことはない。

 彼は自分のことしか見えていないのだ。

 「サンバリアが―…………。」

 驚きの表情をしているが、自分にとってチャンスだとは思えないし、サンバリアに勝てるだけの武力は持ち合わせてはいない。

 なので、サンバリアが政治危機になるのは、現状、宜しいことではない。

 (サンバリアの議長がこんなにもあっけなくなぁ~。まあ、俺もサンバリアからあの武器を買ったから変に逆らうようなことはできん。今は、あいつらをどうにかして、ぶっ潰し、今度こそ、綺麗で美しいイスドラークにしないといけない。汚物はいてはいけない。)

 その目は獰猛であり、かつ、危険な者に宿るものである。

 この人物、イスドラークの領主イスドラーク=バウネッターは、自身の支配する都市をスラムのない綺麗な都市にして、自分の栄光を末代までに知らしめようとしているのだ。

 そのために犠牲になるのは、スラム街の住民であり、イスドラークに住む人々である。


第160話-11 イスドラークへ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していきたいと思います。


これで、『水晶』に関しては、2025年度最後の投稿となります。

次回は、2026年1月中旬からの投稿予定であり、予定日は、活動報告で報告しようと思います。


今年は、色んな意味で、書けるスピードが良い時と悪い時、体調の変化に苦しめられたという印象です。そして、今日あたりはあまり体調は悪くないのですが、文章がしっくりこないという感覚に陥り、久々のスランプに近い状態になってしまいました。この話ではありませんけど、『水晶』の執筆であることは確かです。なので、少しはゆっくりとしたいなぁ~、と思います。

そして、『水晶』に関しては、イスドラークの章が、第170話後半あたりまで続くという感じで、かなりグロいシーンも登場してきますので、なるべくマイルドになるようには努めていきますが、できなかった場合は申し訳ございません。先に謝っておきます。

イスドラーク章の後は、番外編をやって、サンバリア前の最後の場所での話を書く予定です。サンバリアの過去とかがメインになると思います。それが終われば、いよいよ、サンバリアへと到着し―…、という感じになります。


『水晶』のネームに関しては、第1編の最終章あたりで、第300話まで仕上げ、後の敵は―…、という状況になっています。無理しない範囲で頑張っていきます。


最後に、今年も『水晶』を読んでいただき、感想をくださりありがとうございます。これを励みに無理しないように頑張っていきたいと思います。

皆様に良き日々があらんことを。


では―…。

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