第160話-8 イスドラークへ
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。
そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。
詳しくは本編を読み進めて欲しい。
そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。
一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。
そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。
場所は戻って、イスドラーク。
その中でも隊商の人が商売をおこなうための広場。
そこには、幾人もの隊商がおり、現地の商人と、または別の隊商と交渉をおこなっている風景が見られる。
その場所に瑠璃たちが護衛しているキャラバンは到着するのだった。
彼らは、いつもこの広場の一角で商売をおこなっているのだ。
ラナトールから運んだ品物をイスドラーク内で商売をしている者達やイスドラークより外からやってきた者達に売ることによって―…。
ミグリアは近くにいたこの広場の衛兵の人に言う。
「管理人の人はいないか? ミグリアが来たと言えばわかってくれるだろう。」
この衛兵は、広場ごとにおり、市場での商売が正規におこなわれているのかというのを監視しているのだ。それは、イスドラークの昔からの方針であり、この都市が建設された時からのものであり、史料が散逸しているため、いつから始まったのかは分からないし、イスドラーク建設の時はおおよそ程度のことしか分かっていない。
つまり、最悪の場合、適当な年代を割り込ませる要因があり、変な伝説が創られる隙というものがある状態である。
そのことについて、詳しく触れるようなことをする必要はないし、物語に何も影響を与えるようなものではない。だからこそ、気にしないで欲しい。
この衛兵は、一つの目的は今、実質はおまけのようなものになってしまっており、一番の目的は、この広場を使う商人から関税を取ることが重要なことであり、その費用は領主側の金には最低限にはなるが、それと同時に―…。
「はい、分かりました。」
ミグリアに言われた衛兵の一人が、この広場の管理の長を呼びに向かうのだった。
ミグリア規模の隊商、もしくはキャラバンになると、管理の長とその直属の部下が相手することになっている。そういうルールの制定は、領側が商人を大切にしていますよ、というアピールするのと同時に、領側に対する関税の確保をしっかりとするためでもある。もう一つ目的があるのだが―…。
呼びに行っている間に、グロリーガと李章、ミグリアは会話をするのだった。
「うわぁ~、だが、商人が少し少ないようだが、あの噂が広まっているからだろうか?」
グロリーガからしたら、ここで、イスドラークが不穏な状態になっていることを言えば、問題になることが分かり切っているので、誤魔化必要があるのだ。
世の中、正論を言ったことによって、関係を悪化させるようなこともあるのだ。それが良い方向に向かえば良いのだろうが、そうでない場合もあるので、最悪のことを想定しながら、それを回避するようにして話すのだった。
ミグリアの方も気づいているから言うのだった。
「そうだ。ラナトールでも噂になっている。イスドラークの今の状況を思えば、そのように頭がいたらない人間はおらんよ。こういう場を喜ぶのは、貪欲に自分の利益だけを欲し、相手を踏みづけることしかできないハゲタケのような奴らだけだ。」
ミグリアもイスドラークが政情不安になっていることを知っている。
イスドラークの領主が知らないとは思えないが、それを作り出した要因が領主側にあるとは気づいていないであろうぐらいの推測はできる。
その推測が正しいかは、実際に領主の言っていることだけでなく、本来の思っていることを理解することができない限りは、難しいことであろう。
人の心を完全に読むことができない以上、他者の気持ちを完全に理解することはできないであろう。
しかし、他者の気持ちを理解する必要はないと言っているのは、明らかにおかしいことであり、他者の気持ちをある程度は理解しないと、自分を危険に晒すだけであり、そのことが理解できない人は、社会の中では大きな邪魔をする存在にしかならない。
本当に他人の気持ちを慮る気持ちなくして、社会は成り立たないのだから―…。
そして、他者の気持ちを無視して、自分の儲けばかりに囚われるのは、貪欲な商人であり、そんな貪欲な商人の商売は、本当の意味での商売人にとっても迷惑なものに過ぎない。商売は相手からの信頼を得ることが重要であり、相手の利益を奪うようなことをしないように注意しないといけないし、相手の利益にした上で、自分も利益を得るということをしないといけない。
だが、貪欲な商人は相手の利益への便宜を図るようなこともしないし、今だけ、自分だけが儲かれば良い、後のことは知らないという無責任なことをしだすと商売というのは長続きせず、利益を損ねた者達が長年にわたって苦しめられるようになるだけなのだ。そんなことをしては、社会が栄えるようなことも、国家が繁栄するようなこともない。
だからこそ、真っ当な商売をしている者にとっても、貪欲な商人は迷惑な存在でしかない。貪欲な商人は、自分が悪くないと思い込み続けている囚人にすぎず、彼らは自分が得をするのなら、何だってするし、他者が損することに何の申し訳ない気持ちなど持ち合わせていない。そのせいで、社会が衰退しようが、国家が破滅しようが、彼らにとっては関係ないのだ。悲しいことに、そのことに気づかない哀れな存在でしかなく、気づく機会を何度も何度も与えられているのに、気づきもしない。儲け、利益というものの依存症になり果て、最後には周囲を不幸するだけの存在でしかなくなり、最後には、貪欲な商人の周りには真面な人は誰もいなくなるのだ。いるのは、その利益を恩恵に与ろうとして、貪欲な商人に気に入られることをする愚か者であり、コバンザメであろう。決して、人々や社会、国家などの得になるどころか、その逆にしかならない存在ばかりだ。
残念ながら、そういう者を見分けるのは難しい。人と接することを多くしていないと―…。
「だろうな。李章、お前は正義感というものが強いから聞いとけよ。世界には、自分の得のためなら、相手を踏みづけるような奴らがいる。そういう奴は、お前のような正義感のある奴の正義感というものを利用してくる。例えば、周囲の人々が悲惨な生活を送るようになり、犯罪が増加し、虐げられているのは外から来た人のせいだということを言ってくる奴がいる。だけど、実はそれは、そのことを言っている奴らが自分の政治の失敗を虐げられている人に気づかせないために言っているだけの嘘でしかない。正義感の強い者は、簡単に信じるような者は簡単に騙される。そして、多くの人を傷つけることに加担して、最後は自分の心を傷つけ、周囲から恨まれるという悲惨な結果になる。だからこそ、言葉だけでなく、その言っている者の過去の行動を含めて、調べてから、判断するようにした方が良い。自らの正義感というものを守りたいのであれば………な。そのために、普段からその人はどういう過去を辿ったのかを調べながらも、騙されないようにするために、普段からいろんな過去の人の行動や選択を善悪含めて知るようにすると良い。必ず善悪も……含めて、だ。まあ、今は分からないこともあろうが、気づける機会は与えた。だから、たとえ選択を間違ったとしても、自分の失敗に向き合うために、いろんな人の意見を聞くことを怠るな。そして、自分にとって不都合なことを含めても、考えるようにすると良い。それが李章、お前の正義感というものをより良きものにする。」
長い言葉であるが要は、正義感というものは利用されるから利用されないように、普段からいろんなことを知るようにしなさい、と言っているのだ。そして、失敗しないわけではないので、失敗したら、いろんな人の話を聞いて、自らの失敗の原因を探りなさいと言っているのだ。
これは、他者を利用して悪いことをしようとしている人は、他者にとってあまりにも都合の良いことを言ったり、他者にとって信じこませるようなことを巧妙に言ってくることがあり、決して、利用されようとしている人のことを利用されようとしている人の目の前では一切言わないし、信じ込ませるために、利用されようとしている人に対して、本当に重要なことを言っている人から離そうとしたりする。
ゆえに、簡単に見破ることは難しく、真面なことか、どうかを判断するには、それなりに人との関係を経験し、人はどういうふうに行動をするのかを知らないといけない。
そうでないと、経験不足から騙される可能性が上がってしまうのだから―…。
そして、反省しない人間も同様である。
ゆえに、正義感が強い者ほど、騙された時に、自分の正義感を悪用された時に傷ついてしまい、再起不能になってしまうことがあるので、そのようなことを発生させないために、グロリーガは忠告を込めて言っているのだ。
「グロリーガ、お前は、説教するのが好きだなぁ~。まあ、間違ってはいないが―…。」
ミグリアもグロリーガが、他者のためにならないことを言わないと分かっている。
なぜなら、こいつは略奪団の長をしていたとしても、お人好しであることに変わりない。根がそうなのだ。
だからこそ、こいつが襲ったという事実があったとしても、恨むことができないのだ。もし、こいつがラナトールのトップであれば、少しはラナトールも良い方向に変わったのではないか、と思えるほどに―…。
「言いたくなるもんだよ。まだ、良き方向に向うことができる可能性があるのなら―…。」
グロリーガだって、悪人に言ってやるほどお人好しではない。
悪人は、何をやっても悪人のままとは限らないが、そこから足を洗うようにして抜け出すのは簡単なことではなく、悪を悪だと思わなくなってしまえば、それはすなわち、危険な兆候でしかなく、人々や社会を不幸にしてしまう存在になり果ててしまっており、そのような存在のせいで、不幸になってしまえば、連鎖して、そこから抜け出せなくなる可能性だって存在する。
そんなことになってしまえば、抜け出すためにどれだけの人を犠牲にしなければ、月日を費やさないといけなくなるのか。それを想像することができれば、分からないことではないだろう。
そして、李章の方は、そろそろ自分の方で、返事をしないといけないと思ったのか―…。
「ご忠告、ありがとうございます。」
申し訳なさそうにしながら言う。
これは、自分が二人の会話を邪魔してしまったのではないか、と思ってしまったからのものであろう。
だけど、二人はそんなことを気にすることもなく―…。
「そういう感謝ができるのであれば、善人であることは分かる。それに、ビックアイサソリを一人で追い払ったというのだから、素晴らしいじゃないか。その正義感、人を貶めることしかできない奴のために利用はされたくはないな。」
グロリーガの素直な気持ち。
ミグリアから李章が、ラナトールのそれもミグリアのキャラバンの目の前に出現したのを助け、追い払ったのだから、感謝しかない。そういう正義感を悪用されるのはグロリーガにとっても許されるようなことではない。
正義感が決して、すべてにおいて正しい結果になるとは限らないが、それでも、暴走しない限りは最悪の結果になるようなだけはしてはいけない。
良き方向とは逆に向かえば、治安も商売も、そして、社会も荒んでしまうのだ。今のイスドラークやラナトールのように―…。表面上は見えないとしても―…。
「そうだな。」
ミグリアもそのように返事をするのだった。
そうこうしているうちに―…。
「ミグリア様。」
声がしたので、そちらの方を向くと、この広場の管理をしているトップが現れるのだった。
第160話-9 イスドラークへ に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していきたいと思います。
では―…。




