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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
768/811

第160話-7 イスドラークへ

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 一方、場所は変わって、カルフィーア村。

 そこでは、三人の人物がおり、何かしらの会話を村の入口でしているようだ。

 「………イスドラークのスラム街のボスから受けた依頼だ。あの金額だと派遣できるのはお前ら二人が限界だ。あの爺さんとは、昔からの知り合いだから、馬鹿なことをして死んでほしくはないんだけどの~う。イスドラークも腐敗がかなりのものじゃ。十分に気をつけるように―…。」

 カルフィーア村の長であるランドロは心配になりながら言う。

 その様は、本当にかつての強者なのかと思ってしまうほどの心配ぶりだ。

 引退して久しいが、そうであったとしても、心配という気持ちの前では前も今も変わらないということなのかもしれない。

 そんな様子を見ている二人の人物は、呆れながら見るのだった。

 長であるランドロの心配は、昔からあるとは言え、ここまで心配するのを見たのは初めてであるが、それと同時に、そんな心配されても困るのだ。

 自分達もしっかりと天成獣の宿っている武器を用いた戦いに関して、しっかりと学んでいるし、実力はしっかりとあるのだと分かっているのだ。

 なので、心配されるよりも、安心して、信頼して送り出してもらいたいものだ、そのように思う。

 そっちの方は、二人の気持ちからしたら安心できるというものだ。

 「分かってますって、長老。俺も伊達に天成獣の宿っている武器を扱ってきたわけじゃないし、サンバリアでの依頼もしっかりと達成したのだから、安心してくださいよぉ~。ほら、心配は心配しか呼ばないんだから~。」

 エンゲルが調子の良いことを言っているが、いつものことなので、必要以上に触れる必要はないだろうし、彼の言葉はあまり深い意味はない。

 まあ、少しは人の考えというか雰囲気を察知するような力をしっかりと身に付け、状況にあったもので笑いを提供できれば、周囲からの信頼が上がるのだが、まだまだ、遠そうだ。アルタフに言われたとしても、人はすぐに成長することができないというわけではないが、それはかなり珍しいものであり、簡単にコントロールできるようなものではない。そのことを理解した上で、人の成長を過剰に強要するようなことはしないようにした方が良い。

 成長をコントロールできるのなら、誰だって自分の思い通りの成長を遂げることができているのだから―…。できないからこそ、予想外が起きるのだ。そのことを忘れてはいけない。

 「エンゲルは調子の良いことしか言わないから、長老。彼の言葉は聞く必要はありません。だけど、私たちもいっぱい訓練を積んできましたし、いろんなことを学んできました。だから、心配するようなことはせずに、堂々と胸を張って送り出してください。きっと、イスドラークの革命は成功すると思いますから―…。」

 もう一人の人物であるリガとしても、イスドラークで革命が成功する可能性は決して高いとは思っていない。

 現体制の転覆をはかるのは簡単なことではないし、それが上手くいくのはイスドラークの軍隊を味方につけるようなことをしない限り、不可能であるのははっきりと分かりきっているのだ。

 だけど、軍事力を用いて国の現体制を転覆したとしても、軍人だけで、国を維持し続けるようなことはできず、必ず文官もしくは官僚、役人という存在、現地の有力者の協力が必要となるものであるし、現地から協力が得られないとその地を支配するというのは難しいことでしかない。植民という考えが頭の中に浮かぶような人もいるだろうが、それを実施するにしても、かなりの期間が必要であるし、現地の協力は必ず最初のうちは必要となることに変わりないどころか、永続に必要されるものである。

 ゆえに、支配というのは、軍事力を用いて征服して、はい、終わりというようなことにはならないし、ゲームのようには完全にはならないのだ。

 だからこそ、慎重に考えないといけないし、そこに自らの偏りを入れることを肯定するようなことを実質上してはいけない。だけど、人という存在は物事をすべて把握することができない以上、必ず偏りというものは発生するものであり、必ず予想外というものから逃れるようなことができないので、必ず自らの考えていることは完璧なものではない、と思っておく必要があるし、そのような気概というものを抱いておく必要があるのだ。

 これをマイナスで消極的で、良くないと考える人はいるだろうが、それを排除したものが自信だと思っているのなら、その人間の考えというのは、結局、自らの不都合というものをしっかりと見れるような存在ではなく、何も学ぶことのない愚か者であり、社会的地位を与えるべきではない人なのだ。そういう学ばない人間は、社会や周囲、国家を損させるだけであり、私欲を進めすぎて、他の人々の得をも奪い、最悪は破滅へと向かわせるだけの存在にしかなれない。

 彼ら自身も望んいないだろうが、彼ら以外の人々も望んではいないのだ。

 だからこそ、反省して、次へと進むということは必要なことであり、その反省の仕方もまた完璧ではないと認識し、しっかりと悩み、考えることを忘れないようにしないといけない。自信はそれを喪失させる要因にもなるデメリットが存在するのだから―…。

 さて、話を戻すと、リガはこのイスドラークの現体制を転覆させる革命が上手くいく可能性は低いと思っており、その行動が余計に最悪の結果さえ導くのではないかと思っているのだ。

 そう、逆に、イスドラークの現体制の側である領主が、革命を起こしたスラム街を完全に潰すための口実とするように―…。

 そんなことは、スラム街のボスも想定しているが、遅れれば遅れるほど、イスドラークの領主側の方が有利になるかもしれないと判断しているのであれば、スラム側が追いつめられるのであれば、どこかの時点で仕掛けるしかない。

 それが、イスドラークのスラム街の側にとっては、近頃だ、ということになる。

 世の中、人が思っている通りに動くようなことはあまりなく、予想外だらけであり、それに適応していくしかない。

 そして、イスドラークの革命が確実に失敗するとは限らない以上、可能性での議論でしかなく、未来のある一地点で分かることなので、確定的に考えるのはあまりにも愚かな思い込みを招くことになるだけだ。

 リガは、長に対して、依頼は成功するというように、自身が思ってもいないことを言って、安心させようとするのだった。

 最悪でも、スラム街のボスの命を守っていれば、悪い結果にはならないだろう、と思って―…。

 「そうか―…、悪かった。信じることにしよう。」

 ランドロはこのように言う。

 (じゃが、嫌な胸騒ぎがしてならない。一番最悪な事態―………、スラム街のボスが殺され、イスドラークの領主側が勝利し、スラムが潰れ、我々が現体制を転覆しようとしていることがバレることじゃ。一つでも回避することができれば、負けにはならんじゃろ。………かなり可能性の低いことだが―…。いずれにしても、スラム街のボスにしても、ここは一世一代の賭けということになるだろう。上手くいってくれよ。)

 ランドロからしたら、イスドラークの現体制を転覆するには、「人に創られし人」の一族の多くを派遣することでしか、完璧に上手くいくとは思えないほどなのだ。

 だけど、依頼料は四人を動かすのがやっとのものである。傭兵業もやっている以上、資金がない者および組織を助けるようなことはできないし、そこから得られる報酬は自分の部下たちや一族の者達が生きていくために必要なことなのだから―…。

 だからこそ、貧しくなるようなことはできない。一介の村の長であるからこそ、友であったとしても、そこはしっかりと区別しないといけない。残念なことだが、金の切れ目が縁の切れ目となるのは避けて通れないことであろうが、信頼がなければ、どんな金を積まれたとしても、金の中での最高の仕事をしてもらえない。商売は結局、金銭と同時に、信頼というものが何よりも大切なことであり、金払いが誠実でない者にろくな者はいない。それが世の中における人の道理になっているかのように思えるほどに―…。

 そして、ランドロは、その可能性の低さに気づきながらも、嫌な予感を感じながら、イスドラークの現体制が上手く崩壊してくれることを望む。

 そうすれば、イスドラークとの交易における商売もし易くなるだろうし、今のイスドラークの関税はあまりにも高すぎるので、中々、物を運ぶことができないでいる。

 それに、サンバリアとの関係は確実に悪化するから、イスドラークとの交易は何が何でも繋ぎとめておきたいし、より密なものにしていきたい。カルフィーア側の狙いもあるわけだ。

 世の中、欲だらけ。そのように思われたとしても仕方ないことであるが、欲は生きる上では重要なものであり、行動の源となるものである。だけど、それは過剰に注ぎ過ぎるとかえって、自滅へと向かうことになる副作用があるものであり、欲の使い方には注意しないといけない。欲は良く考えて使いましょう、なんてダジャレが生まれたとしてもおかしくはないであろう。

 「では、行ってきます。」

 「行って来るぜぇ~。」

 こうして、二人はイスドラークの方へと向かって行くのだった。

 果てしない砂漠の中を進みながら―…。

 これが、瑠璃たちがイスドラークに到着する一日前のことであった。


第160話-8 イスドラークへ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していきたいと思います。


今回は、少し短くなりましたが、次回も短いかもしれません。

これぐらいがちょうどよい感覚だったので―…。

申し訳ございません。

では―…。

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