4話 遭遇
いつも読んでいただきありがとうございます。
ヘンリーは慌てて車へ駆け戻った。
勢いよくエンジンをかけ、そのまま急ハンドルでUターンする。
「このままではマズい……。」
アクセルを踏み込みながら呟く。
(私を認める前に、奴らが死んでしまう。)
(認める前に死ぬことだけは許さん!)
ヘンリーの車は猛スピードでショッピングモールの駐車場へ飛び込んだ。
急ブレーキをかけると、車を降り、一目散にオメガリマスを放した場所へ向かう。
しかし、その姿はもうなかった。
残されていたのは、地面を這った跡だけ。
粘液が付着したアスファルトは黒く変色し、一部は溶け落ちている。
「……留まる習性はないか。」
ヘンリーは跡を辿る。
それは建物の壁まで続き、壁には人が通れるほどの穴が開いていた。
まるで何かが溶かしながら進んだような、不自然な穴だった。
「……わざわざ店の中へ入ったのか。」
ヘンリーは正面入口へ回り、自動ドアをくぐる。
店内は普段と変わらない。
買い物を楽しむ家族。
談笑する若者。
走り回る子供達。
誰1人として、自分達のすぐ近くに怪物が潜んでいることなど知らなかった。
ヘンリーは店内を見渡しながら、小さく呟く。
「……まだ間に合う。」
一方その頃――。
エマはトイレで見つけた穴の先を調べようとした。
しかし、その先は男子トイレへ続いている。
「……さすがに入れないか。」
諦めたエマは、そのまま正面出口へ向かって歩き始めた。
(あんなナメクジが自然界で生まれる……?)
(いや、あり得ない。)
(人工生命体……。)
エマは自分の考えをすぐに打ち消す。
(まさかな。映画じゃあるまいし。)
そんなことを考えながら歩いていると、1人の男性が目に入った。
スーツでも、ラフな格好でもない
どこにでもいそうな中年の男。
しかし、その男は落ち着きなく辺りを見回しながら、何かを探すように床ばかり見ていた。
(……何をしてるんだろう。)
落とし物を探しているようにも見えない。
どこか様子がおかしかった。
その時だった。
「キャーーッ!!」
食品売り場の方から、女性の悲鳴がショッピングモール中に響き渡る。
エマは反射的に駆け出した。
同時に、先ほどの男も悲鳴のした方へ走り始める。
(……何だ、この人。)
(探し物をしていたんじゃないの?)
嫌な予感が胸をよぎる。
エマは人混みをかき分け、食品売り場へ向かった。
そして、そこで目にした光景に言葉を失う――。
今後もよろしくお願いします。




