第3話 異変
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休日のショッピングモールは、多くの買い物客で賑わっていた。
その人混みの中を、1人の女子大生が歩いている。
彼女の名はエマ。
目的の買い物を済ませ、帰ろうとしていたその時だった。
同級生
「エマじゃん!」
聞き覚えのある声に振り返る。
そこには同じ大学の女子大生達が立っていた。
同級生
「何でこんなところにいるの?」
エマは小さく舌打ちをする。
エマ
「……買い物。」
その一言に女子学生達は笑い出した。
同級生
「へぇ~、虫しか興味ないと思ってた。」
同級生A
「キモッ!」
「研究室から出てくんなよ!」
同級生
「近寄らないでよ!」
周囲から笑い声が上がる。
エマはため息をつき、小さく呟いた。
エマ
「……うるさいよ。」
同級生「え?」
女子学生達が聞き返す。
エマはゆっくり顔を上げた。
エマ
「虫以下が。」
一瞬、空気が止まる。
同級生
「なんだって!」
同級生A
「生意気なんだよ、このネクラ!」
「だから友達いないんだよ!」
言いたいことだけ言うと、女子大生達は笑いながら去って行った。
エマはその背中を見送り、小さく息を吐く。
エマ
「……本当に虫以下。」
エマは大学で昆虫や微生物など、小型生物の研究を専門としていた。
だからこそ、人より生き物をよく知っている。
そして、人間という生き物も。
決して好きではなかった。
買い物を終えたエマは、帰る前にトイレへ立ち寄った。
しかし、中には先ほどの女子大生達がまだいた。
エマは深いため息をつく。
エマ
「またか……。」
個室へ向かおうとした瞬間、1人の女子学生が前へ立ち塞がる。
同級生
「ここは使えないから。」
同級生A
「お前は外でしろよ。」
「虫なんだからさ。」
周囲は笑い声に包まれる。
エマは呆れたように目を閉じた。
その時だった。
同級生B
「キャーーッ!!」
1人の女子学生が突然悲鳴を上げた。
同級生
「何よ!」
「うるさいな!」
全員の視線が床へ向く。
1匹のナメクジがゆっくりと床を這っていた。
同級生
「キモッ!」
同級生A
「何なの、このトイレ!」
同級生B
「もう行こう!」
女子学生達は逃げるようにトイレを飛び出していく。
だが、エマだけは動かなかった。
エマ
「……何だ、このナメクジ。」
ゆっくりとしゃがみ込み、観察する。
エマ
「形状がおかしい……。」
普通のナメクジよりも僅かに大きい。
体表には鈍い光沢があり、粘液も妙に濃い。
さらに、這った後の床を見てエマは目を見開いた。
エマ
「……タイルが変色してる。」
粘液が付着した部分だけが黒く変色していた
、粘液で光る事はあるが変色はしない、
エマ
「まさか……腐食?」
エマはナメクジの這った跡を目で追う。
跡は壁際まで続き、そこで途切れていた。
エマ
「……?」
壁を見る。
そこには、小さな穴が開いていた。
最初から開いていた穴ではない。
まるで何かが壁を溶かし、自分で通り道を作ったかのような、不自然な穴だった。
エマは穴の縁にそっと指を近づける。
まだ微かに熱を帯びている。
エマ
「……そんな馬鹿な。」
急いで振り向くと、
ナメクジの姿は、もうどこにもなかった。
今後もよろしくお願いいたします。




