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この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~  作者: 鳥助
第四章

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98.人材の紹介

 応接間の扉が開かれると、声がした。


「ようこそ、ニニベールト家へ。私がヒスコックだ」


 一人の男性がソファーに座りながら、こちらを見てきた。


「突然の訪問にもかかわらず、受け入れてくださりありがとうございます」

「旧友の子供が来たのであれば、歓迎するしかない。さぁ、かけなさい」


 にこやかに対応されて、私たちは向かいのソファーに座った。


「手紙は読ませてもらったよ。サンドリーナ乾燥地帯にある、カイザルスコーピオンと天水のサボテンに用があるんだってね」

「はい。母の病気をよくするために、その二つの素材が必要なんです。ぜひ、協力していただきたいです」

「あの……こちらが手土産になります」


 私は手に持っていた小さな壺を手渡した。


「メセグリンという蜂蜜で作ったお酒です」

「何、酒だと!?」


 酒と聞くと、ヒスコックさんが身を乗り出した。すぐにメイドにコップを持ってくるように言い、コップを受け取るとその中に少量入れた。


「これは……いい香りだ。甘い匂いがしているのに、刺激的でもある」


 うっとりとした顔をして、メセグリンを一口飲む。すると、カッと目を開いた。


「なんだこれは……!」


 ヒスコックさんは驚いたように目を見開き、もう一口ゆっくりと口に含んだ。


「甘い。だが、ただ甘いだけではないな。蜂蜜の濃厚な風味が舌に広がった後、喉を通る頃には熱が抜けるように消えていく……」


 感心したようにグラスを揺らし、香りを確かめる。


「香りも実に良い。花畑の中にいるような柔らかさがあるのに、後から草木のような爽やかさと、わずかな刺激が鼻を抜ける」

「はい。少しだけ辛みが出るように入れています」

「なるほど……面白い。蜂蜜酒は知っているが、これは別物だな。口当たりは優しいのに、酒としての力強さもある。飲みやすいくせに、飲み進めればしっかり酔わされそうだ」


 ヒスコックさんは楽しそうに笑うと、再びグラスに口をつけた。


「いやいや、最高の手土産を持ってきてくれてありがとう。ぜひ、協力させて欲しい――だが」


 笑顔だったヒスコックさんが表情を曇らせる。そして、自分の足をテーブルに乗せた。その足は頑丈な石膏で固められている。


「あいにく、私は骨折していてな。私が手伝うのは無理のようなのだ」


 えっ、そ、そんな! その時、こそっとアマリアお姉様が耳打ちしてくる。


「ねぇ、ポーションじゃ治せないの?」

「ポーションはあくまで傷を治すものだから、骨折は無理かな……」

「そ、そうなのね……」


 ど、どうしよう……。協力者がいないと、広い砂漠を当てもなく歩く羽目になる。そうしたら、カイザルスコーピオンも天水のサボテンの見つからない。


「わざわざ、来てもらってすまないな。私は協力出来ないが、町の有力者を紹介出来る」

「有力者?」

「『風船』を操る集団がいる。その集団に協力してもらえるように手紙を出そう」


 風船を操る集団?


「集団の名前は『ロメネクス』。このサンドリーナ乾燥地帯を自由に行き来する船を持つ集団だ。彼らはサンドリーナ乾燥地帯の事をよく知っている。彼らの協力を得ることが出来れば、探すものも見つかるだろう」


 陸上に船? その疑問が頭から離れない。


「では、ロメネクスに手紙を書いてもらえませんか?」

「もちろんだ。すぐに書こう」


 ヒスコックがメイドを呼びつけて、道具を持ってこさせた。便箋に文字を書き、封筒に入れ、封蝋をする。


「さぁ、出来た。もし、何か困ったことがあれば、また尋ねてくると良い」

「ありがとうございます」


 アマリアお姉様は手紙を受けると、お辞儀をして私たちは屋敷を出た。


 ◇


 私たちは教えられた拠点へと向かった。そこは町はずれにあって、近づくと本当に船が並んでいた。


「うわー、本当に船がある。どうやって動かすんだろう」

「気になるわね。船は後回しにして、事務所に行くわよ」

「はーい」


 後ろ髪を引かれながら、私たちは建物の中に入った。そこには広いカウンターがあって、お姉さんたちが対応してくれていた。


「あの、この手紙を読んで欲しいんですけど」

「手紙? ……ヒスコック様から!? しょ、少々お待ちください!」


 アマリアお姉様が手紙を差し出すと、お姉さんは驚いた顔をした。そして、すぐに手紙の内容を確認して、カウンターの奥へと消えていった。


 しばらく待っていると、そのお姉さんが一人のおじさんを連れてやってきた。


「お待たせしてすいません。お手紙読ませていただきました。ぜひ、協力させてください」

「ありがとう、助かるわ」

「それで、どのような協力をお望みなんでしょうか?」

「カイザルスコーピオンと天水のサボテンを探したいのだけれど」

「なっ……強敵だけじゃなく、希少な天水のサボテンをっ!? むむむっ……」


 話をすると、おじさんがとても悩まし気に腕を組んだ。


「かなり難しいですが、適任者がいないわけでもないんですけど……」

「何か、問題がありますか?」

「えぇ……。それに適した人材はセリウス兄妹なんですが……兄の方が怪我をして、すぐには出航出来ないんですよね」


 怪我?


「それなら、私のポーションで治るかもしれないよ」

「えっ? そ、それはなんですか?」

「傷を治す薬かな。ねぇ、その兄妹がいる場所を教えて」

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