表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~  作者: 鳥助
第四章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
97/99

97.サンドリーナ乾燥地帯

 準備が終わると、私はアマリアお姉様と一緒にサンドリーナ乾燥地帯に向かった。移動は乗馬で十日間。かなり長い旅路になった。


 道中、魔物に襲われたり、盗賊に襲われたりしたが、アマリアお姉様と一緒に撃退した。特に問題なく、進んでいった。


 そして、とうとうサンドリーナ乾燥地帯に入った。


 サンドリーナ乾燥地帯へ足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。


 それまで見えていた緑は急激に減り、大地はひび割れたように乾燥している。風が吹くたびに、細かな砂埃が舞い上がった。


 木々も少ない。生えていたとしても、葉の小さな低木ばかりだ。厳しい環境の中で、どうにか生き延びているのが分かる。


「ここから先が、本格的な乾燥地帯なのね」


 アマリアお姉様が周囲を見回しながら呟く。さらに進んでいくと、景色はより過酷なものへ変わっていった。


 地面から草が消え始め、代わりに広がるのは一面の砂。ざらりとした黄色い砂地が、どこまでも続いている。


 植物は完全になくなったわけではない。だが、それも水辺の近くや岩陰など、本当に限られた場所だけだった。


 そして何より――暑い。頭上から照り付ける太陽は容赦がなく、まるで焼かれているみたいだった。


 空気そのものが熱を持ち、息をするだけで喉が乾いていく。普通なら、かなり厳しい環境だろう。だけど、私たちは事前に対策をしていた。


 【素材保管】から小瓶を取り出し、冷感クリームを腕や首筋へ塗り込む。ひんやりとした感覚が広がり、熱がすっと引いていった。さらに、その上から厚手のローブを羽織る。


 乾燥地帯では、直射日光を防ぐために肌を隠した方がいい。熱気を遮断しつつ、冷感クリームの効果も合わさって、驚くほど快適だった。


 アマリアお姉様が感心したように息を漏らす。


「ルイの冷感クリームのお陰で、平常時と変わらない暑さだわ。流石は錬金術で作ったアイテムね」

「ふふっ、凄いでしょ」


 ちょっと得意げに胸を張る。実際、この環境で普通に活動できるのはかなり大きい。もしこれがなかったら、もっと頻繁に休憩を挟まなきゃいけなかったはずだ。


 そんな話をしながら、砂漠の道を進んでいく。すると――。


「あれ、見て」


 アマリアお姉様が前方を指差した。揺らめく陽炎の向こう。砂色の景色の中に、ようやく人工物らしき影が見えた。


 高い外壁。砂色の建物群。そして、その周囲を行き交う人影。サンドリーナ乾燥地帯の町が、ようやく見えてきた。


 ◇


 町の中へ入ると、外の乾いた景色とはまるで別世界だった。人々が忙しなく行き交い、あちこちから話し声が聞こえてくる。思っていた以上に賑やかだ。


 乾燥地帯の町というから、もっと静かで寂れた場所を想像していたけれど、そんなことはなかった。市場の近くを通ると、その活気はさらに強くなる。


「安いよ安いよ! 今日採れたばかりだ!」

「こっちの肉は朝締めだぞ!」

「果実酒もあるよー!」


 威勢の良い声が飛び交い、人々の熱気で満ちていた。並べられている商品も豊富だ。


 乾燥地帯特有の硬い果実や香辛料。吊るされた肉。見たことのない野菜まである。


 特に驚いたのは、新鮮な作物が普通に並んでいることだった。この環境なら食料事情は厳しいと思っていたけれど、どうやら水源を中心に農業が発展しているらしい。


 町全体に、確かな活力があった。そんな中、アマリアお姉様は周囲の人に声をかけながら情報を集めていた。そしてしばらくすると、こちらへ戻ってくる。


「ルイー、ヒスコックさんの居場所が分かったわ」

「本当?」


 ヒスコックさん。ロザンお父様の旧友の一人で、この町を治めている人物だ。


 今回、私たちはその人に協力を仰ぐためにここまで来ていた。案内された道を進み、町の中心部から少し離れた場所へ向かう。すると、やがて大きな邸宅が見えてきた。


「わぁ……」


 思わず声が漏れる。そこだけ空気が違った。


 高い外壁の向こうには青々とした木々が見え、水路には透き通った水が流れている。乾燥地帯の中とは思えないほど緑豊かで、まるでオアシスそのものだった。


 きっと、この町の中でも特別な場所なのだろう。門の前には槍を持った門兵たちが立っていた。アマリアお姉様は落ち着いた様子で前へ進み、一通の手紙を差し出す。


「グレンジャー家より参りました。こちらをヒスコック様へ」


 門兵は手紙を受け取ると、中身を確認し、態度を改めた。


「少々お待ちください」


 そう言って一人が邸宅の中へ入っていく。私たちは門の前で待機することになった。


 しばらくして――。邸宅の奥から、一人の女性が現れる。どうやらメイドさんみたいだ。


「お待たせいたしました。ヒスコック様がお会いになるそうです」


 丁寧に一礼すると、門がゆっくりと開かれる。私たちはそのまま邸宅の中へ案内されることになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新連載!

スラムの孤児は慎ましく生きたい~大賢者の遺産を継いだけど、救世主にはなりません~

旧作

転生難民少女は市民権を0から目指して働きます!

転生少女の底辺から始める幸せスローライフ~勇者と聖女を育てたら賢者になって魔法を覚えたけど、生活向上のため便利に利用します~

追放を計画的に利用して自由を掴んだ王女、叡智と領地改革で無双する

転生したら魔法が使えない無能と捨てられたけど、魔力が規格外に万能でした

スラムの転生孤児は謙虚堅実に成り上がる〜チートなしの努力だけで掴んだ、人生逆転劇〜

ゾンビがいる終末世界を生き抜いた最強少女には異世界はぬるすぎる

元社畜はウィンドウで楽しい転生ライフを満喫中! ~ゲームのシステムを再現した万能スキルで、異世界生活を楽々攻略します~

異世界喫茶で再出発ライフ

ゴミスキルだと捨てられた少女たち、実は最強の生活能力スキルだったので気楽なスローライフ冒険旅を満喫する

推し命の転生者、弱小ポンコツな推し神様のために万能な推し活パワーで騎士爵領を大領地にする

過保護なお姉ちゃん系王女を救うために何度も死に戻っていたら、全部バレていて曇らせてしまった


この世に一人だけの錬金術師~物作り好きのゲーマーが家族のためにアイテム革命起こします!~

コミュ障クラフターの私、引き継いだ能力が異世界では規格外すぎて無自覚に無双してしまう件~地味に暮らしたいだけなのに、なぜか注目されて怖いんですが~

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ